要確認!人事担当者が押さえておきたい2021年法改正
今年も残すところわずかとなりました。新型コロナウイルス感染拡大により、テレワークや時差出勤の推進、休業手当の支給、助成金支給申請等これまでにないイレギュラーな対応に追われた1年だったのではないでしょうか。
人事担当者が押さえておきたい2021年の法改正をまとめました。施行される前に会社として対応すべきところはないか確認してみましょう。
目次
2021年1月1日
子の看護・介護休暇 時間単位取得可能に(育児・介護休業法)
すでに2017年1月より、子の看護・介護休暇は半日単位取得が可能となっていますが、今回の法改正によって時間単位取得が可能となります。時間単位取得は原則全ての労働者に適用され、就業規則の変更が必要です。
2021年3月1日
障害者法定雇用率引き上げ(障害者雇用促進法)
すべての事業主には、法定雇用率以上の割合で障害者を雇用する義務があります。今回の改正で民間企業の法定障害者雇用率は、現行2.2%から2.3%に引き上がります。障害者を雇用しなければならない民間企業の事業主の範囲が従業員45.5人以上から43.5人以上に変わりますのでご注意ください。
厚生労働省「令和3年3月1日から障害者の法定雇用率が引き上げになります」
マイナンバーカードが健康保険証として利用可能(健康保険法)
2021年3月から医療機関・薬局等でマイナンバーカードを健康保険証として順次利用可能になります。
・就職や転職をしても保険証の切替えを待たずにマイナンバーカードで受診できるようになります。
・限度額適用認定証がなくても高額療養費制度における限度額以上の支払が免除されます。
※マイナンバーカードを健康保険証として利用するためには事前登録が必要です。また、既存の健康保険証はこれまで通り使用できますのでご安心ください。
2021年4月1日
70歳までの就業確保を努力義務化(高年齢者雇用安定法)
現行では65歳までの雇用機会を確保するため、高年齢者雇用確保措置(定年の引上げ、定年廃止、継続雇用制度の導入のいずれか)を講ずることを事業主に義務付けています。さらに、2021年4月からは70歳までの雇用・就業機会の確保に向けた以下のような取り組みが努力義務として事業主に課せられることになりました。
1.70歳まで定年引き上げ
2.定年廃止
3. 継続雇用制度(再雇用制度・勤務延長制度等)の導入
4.他企業への就職支援
5.業務委託
6.起業支援
7.社会活動参加への支援
今回の改正は、定年の70歳への引上げを義務付けるものではありませんが、一人ひとりの労働者の多様な特性やニーズをみて、企業では高齢者の雇用・就業機会確保に向けた環境整備に努めていく必要があります。
中小企業も同一労働・同一賃金対象に(パートタイム・有期雇用労働法)
働き方改革の一環として、2020年4月から大企業を対象に施行されたパートタイム・有期雇用労働法が2021年4月からは中小企業も対象となります。
・不合理な待遇差の禁止
雇用形態だけで正規労働者と非正規雇用労働者との間に待遇差を設けることが禁止されます。業務内容や責任等によって待遇差を設ける場合は、必ず合理的な理由が必要です。
・労働者に対する待遇に関する説明義務の強化
事業主は、非正規雇用労働者から待遇差の内容や理由を求められた場合は、説明をしなければなりません。
中途採用比率の公表義務化(労働施策総合推進法)
常時雇用する労働者数が301人以上の大企業に対し、正社員と短時間正社員のうち中途採用で雇い入れた労働者の割合を公表することが義務付けられます。
年1回以上、直近3事業年度度分の公表をインターネット等で公表しなくてはなりません。新卒一括採用が中心の採用制度を見直し、中途採用や経験者採用の拡大を図る狙いがあります。
脱退一時金の支給上限引き上げ(厚生年金保険法)
外国人労働者の増加や長期雇用の見込みを受け、脱退一時金の支給上限が加入期間3年から5年に引き上げられます。
※脱退一時金とは、日本の年金制度(国民年金・厚生年金等)に、6ヵ月間以上加入して帰国する外国人に対して納付した保険料金額に応じて一定額を払い戻す制度のこと
2021年4月1日(2020年12月公布予定)
36協定等の署名押印不要に(労働基準法)
36協定届を含め、押印を求めている労働関係書類について、使用者および労働者の押印欄の削除、押印または署名を求めないこととします。電子申請における電子署名の添付も不要になります。現状、過半数代表者の記載のある法令様式については、36協定届も含め、押印を廃止する代わりに様式上に労働者側と合意した事実をチェックするボックスを設けることとしています。
終わりに
2020年は働き方改革を中心に法改正がありましたが、2021年以降も多岐にわたる法改正があります。法改正内容のポイントをしっかり押さえて、会社としてどのように対応していくのか早めに検討していきましょう。
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