男性の育児休業取得時の注意点

配偶者の出産を控えた男性社員から「妻の出産後に、育児休業を取得したい」と相談を受けました。男性の育児休業というといわゆる「パパ・ママ育休プラス」を使って、子が1歳2か月になるまで育児休業を取得できる認識ですが何か注意点等はありますか?

また、一般に産後休業期間が終わってからの育児休業はの取得となりますが、育児休業の取得時期を早めることは可能なのでしょうか。

 

回答

・大前提:育児休業は男女ともに認められた制度です
日本の育児休業の取得率は、女性:80%以上 男性:5%と圧倒的に男性の取得が低いことが特徴的です。男性の取得が少ないことの原因は様々でありますが、その原因の一つに、男性従業員が「育児休業の制度を知らない」ことがあげられます。
後述のように男性の場合、女性の場合と比べて若干利用できる内容に違いはありますが、「1歳未満の子を養育する場合に育児休業を取得できる」ことは男性・女性ともに共通のルールとして存在します。

・パパ・ママ育休プラス
育児休業の期間は子が1歳になるまで(子が1歳時点又は1歳6ヶ月時点で保育園に入所できない等一定の事情がある場合は、子が1歳6ヶ月又は2歳に達するまで)というのが原則ですが、両親がともに育児休業を取得した上で下記条件を満たした場合に、子が1歳2か月になるまで育児休業を取得できるのがパパ・ママ育休プラスです。
① 配偶者(今回の場合妻)が子の1歳の誕生日の前日までに育児休業を取得していること
② 本人の育児休業開始予定日が、子の1歳の誕生日以前であること
③ 本人の育児休業開始予定日は、配偶者がしている育児休業の初日以降であること

「両親がともに育児休業を取得した上で」という書き方をすると少し紛らわしいですが、育児休業の取得の時期は同時である必要はなく、交代で取得する、間を置いて取得するということも可能です。
(※)両親のどちらかが雇用保険に加入していない場合(例えば専業主婦・夫、自営業)は育児休業を取得できないので、パパ・ママ育休プラスは利用できず、子が1歳になるまでの育児休業となります。

また、「子が1歳2か月になるまで育児休業を取得できる」制度ではありますが、父・母それぞれ取得可能な日数は最大(産後休業含め)1年ですので注意が必要です。

・男性の育児休業取得可能時期
女性の場合は産後8週間経過後から育児休業を取得することが可能ですが、男性の場合出産予定日(出産予定日前に子が生まれた場合には出産日)から育児休業取得が可能です。

・パパ休暇
パパ・ママ育休プラスは子の両親どちらかに適用される制度ですが、出産後8週間以内に父親が育児休業を取得した場合「パパ休暇」と呼ばれる制度を利用することが出来ます。通常育児休業は特別な事情がない限り一人の子につき1度しか取得できませんが、この制度を利用した場合1度育児休業を終了しても再度育児休業を取得することが出来ます。(ただし子の出産後8週間以内に「パパ休暇」が終了していることが必要)

最後に、男性の育児休業取得は社会的にも大きな課題であり、積極的に取得を促す企業も増えてはいますが、原則1年間取得できるところをほんの数日だけ取得するというケースも多く見られます。家庭の意向や本人の業務の都合等、その事情は様々であることは重々承知しておりますが、「パパ休暇」を利用した場合を除き育児休業は原則一人の子につき1度までしか取得することができません。取得時期、取得期間についてしっかりと話し合った上で制度を活用していただきたいです。

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公開日: 育児介護休業

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