男性も育児休業をとって夫婦円満に!

1.男性の育児休業

(1)男性の育児休業取得率

 

厚生労働省の「平成29年度雇用均等基本調査(確報)」によると、平成27年10月1日から平成28年9月30日までの1年間に配偶者が出産した男性のうち、平成29年10月1日までに育児休業を開始した人(育児休業の申し出をしている者を含む。)の割合は5.14%と、前回調査(平成28年度3.16%)より1.98%上昇しています。

 

徐々にではありますが、確実に上昇している男性の育児休業取得率。

それでも女性に比べたらまだまだです。

 

出産は女性にしかできませんが、育児は夫婦ともにできるもの。

政府は2020年までに男性の育児休業取得率を13%とする目標を10年前に掲げています。あと2年。

男性の育児休業について考えてみたいと思います。

 

(2)男性の育児休業を阻む壁とは?

 

なぜ、男性は育児休業を取得しないのか・・なかなか取得できない『壁』はなんでしょう。

 

平成の時代ももはや残り1年を切りました。男性が外で働き、女性が家を守る・・・こんな“昭和”な発想を語るのは時代錯誤となりますね。でも、男性が育児休業を取得するのには、まだまだ周りの理解が不足しているのが現状です。

そして、若い夫婦にとっては、現実問題として、やはり収入減が一番の『壁』になるでしょうか。

 

一時期世帯収入は下がるとしても、子供の大切な時期をそばで過ごすことができる、この時間はかけがえのない人生の財産となるはず。

 

育児休業期間中の収入を補うものに、社会保険料免除と雇用保険からの育児休業給付金の制度があります。

 

社会保険の制度を上手に利用して、そう、1ヶ月でも、1週間でもいい。育児休業を取得してみてはいかがでしょう。休業して奥様とともに育児をした経験が、いずれ夫婦の絆となり、夫婦円満となっていくこと間違いありません。

 

男性も育児休業をとって、正面から育児をしてほしい。そんなメッセージを送ります。

 

2.育児休業制度

 

育児休業は、「育児・介護休業法」に定められた制度です。法律に基づき、労働者が請求できる権利ですので、会社に規定がなくても申し出により取得することができます。

なお、事業主とその事業所の過半数の労働者を代表する者との書面による労使協定がある場合には、次の労働者は対象者から除外されます。

〇その事業主に継続して雇用された期間が1年に満たない労働者

〇育児休業の申し出の日から1年以内(1歳から1歳6ヶ月まで及び1歳6ヶ月から2歳までの育児休業をする場合には6ヶ月以内)に雇用関係が終了することが明らかな労働者

〇1週間の所定労働日数が2日以下の労働者

契約社員であっても要件をみたせば育児休業の取得が可能です。

 

育児休業をすることができるのは、子が1歳に達する日(誕生日の前日)までの間で労働者が申し出た期間です。

なお、子が1歳以降又は1歳6ヶ月以降、保育園に入所を希望しているが入所できない等一定の事情がある場合は、子が1歳6ヶ月又は2歳に達するまでの間、育児休業をすることができます。

 

妻が専業主婦であっても育児休業を取得することができます。

また、パパ、ママともに育児休業を取得する場合は、1歳2か月まで取得することができます(ただし、休業期間はそれぞれ1年間が限度です)

 

そして、さらにパパに限っての「パパ休暇」という制度があります。まず、そちらから説明してみましょう。

 

(1)パパ休暇

通常、育児休業の取得は原則1回までですが、子の出生後、父親が8週間以内に育児休業を取得した場合には、特別な事情なくても、再度育児休業取得ができる制度です。

 

〇要件

  • 子の出生後8週間以内に育児休業を取得していること
  • 子の出生後8週間以内に育児休業が終了していること

 

どんな場合に利用できるでしょう。具体的な例をご紹介します。

 

すでに上にお子さんがいて、里帰り出産は事情によりできない場合、配偶者が出産のため入院している期間、上のお子さんの面倒をみるために育児休業をすることができます。

一人目の出産であれば、奥様と病院でゆっくり時間をとり、生まれたばかりのお子さんのビデオを撮るなども、大切な家族の思い出の時間を過ごすこともできることでしょう。

 

そして、ママの退院後、通常の家事に加えて、赤ちゃんの世話は大変な重労働。

授乳は一度に30分以上もかかり、4,5時間ごとに繰り返されます。ママが育児を楽しいと思えるかどうか、ママには周りのサポートが大切です。さあ、パパの出番です!

一緒に育児をすること、家事を分担すること、ミルクを作るでも、おしめを取り換えるでも、パパにできることはたくさんあります。

出産後のママを強力サポートすることができます。

 

パパ休暇の要件は、先述のように、子の出生後8週間以内に育児休業を取得し、出生後8週間以内に育児休業が終了していること。これが1度目の育児休業です。

 

出産直後のママを1度目の育児休業でサポートし、仕事に復帰。

その後、再度育児休業を取得することができることとなります。

 

2度目の育児休業開始は出生後8週間以内でも大丈夫です。

 

いつ育児休業を取得するのか、産後の1度目、その後に2度目の育児休業を取得するのか、仕事ともすり合わせて、制度をうまく利用できるとよいですね。

 

(2)パパ・ママ育休プラス

「パパ・ママ育休プラス」は、両親がともに育児休業をする場合に、以下の要件を満たした場合には育児休業の対象となる子の年齢が、1歳2か月にまで延長される制度です。

 

〇要件

  • 配偶者が子が1歳に達するまでに育児休業を取得していること
  • 本人の育児休業開始予定日が、子の1歳の誕生日以前であること
  • 本人の育児休業開始予定日は、配偶者がしている育児休業の初日以降であること

 

〇1人当たりの育休取得可能最大日数(産後休業含め1年間)は変わりません。

 

さて、どんな場合に利用できるでしょう。

 

ママが産前産後休業に引き続き、子の1歳の誕生日前日まで育児休業取得。保育園に入園ができたため、ママの育児休業は子の1歳の誕生日前日に終了です。

そんな場合に、パパが子の1歳の誕生日(上記、要件を満たせば、もっと前から取得できます)から1歳2か月まで育児休業を取得できることになるのがこの制度です。

 

保育園に入っても、まだ1歳になったばかり。復帰したママが仕事帰りに保育園に赤ちゃんを向かえに行って、家事と子の世話をするのは体力的にも相当な負担。仕事に気持ちを向けることも難しいでしょう。

その期間、パパがサポートをすることができることになります。

 

育児休業をパパとママとで一緒に取得することも可能です。0才児は日々成長していきます。

突然ハイハイを始める。歩き出す。その瞬間をパパも目撃することができるのです!

一緒に子の成長を見つめて過ごす時間、夫婦の絆が深まること間違いありませんね。

 

1か月という単位で育児休業を取ることは難しいというのであれば、半月でも1週間でもいいんです。え?それぐらいなら有給休暇が余っているから有給休暇を使うって?

 

でも、育児休業には社会保険料(健康保険料・厚生年金保険料)の免除と育児休業給付金の支給という、賃金のバックアップがあります。制度を知り、制度を利用する。

これも一つの方法です。

 

 

3.育児休業中の賃金保障について

 

育児休業期間中、給与が支払われないなど一定の要件を満たす場合には、「育児休業給付金」として、休業開始時賃金の67%(休業開始から6ヶ月経過後は50%)が支給されます。

この育児休業給付金は非課税のため、所得税はかかりません(翌年の住民税算定額にも含まれません)。

また、育児休業中の社会保険料は、労使ともに免除されます。給与所得が無ければ、雇用保険料も生じません。

その結果、手取り給与で比べると休業前の最大8割となります。

 

具体的に見てみましょう。

仮に毎月40万円(本給38万円+通勤費2万円)の給与で賞与がないAさん。

通常の手取り額は、社会保険料(標準報酬月額410千円)の健康保険料20,295円・厚生年金保険料37,515円・雇用保険料1,200円)と所得税(仮に税扶養1名)7,600円を控除されて、333,390円(住民税を除く)です(保険料は東京都協会けんぽとしました)。手取り給与から定期代を買っているので、実際は313,390円になりますね。

 

育児休業給付金は40万円の67%ですので、268,000円になることになります。

268,000円÷333,390円=0.803863 通勤費を含めた手取りで8割!

268000円÷313,390円=0.855164 通勤費を抜いた実際の手取りでは8割5分!!となるわけです。

 

それだけではありません。Aさん育児休業を2ヶ月取ったと仮定しましょう。

育児休業を取らなかった場合の課税給与は38万円×12=456万円、育児休業2ヶ月とった課税給与は38万円×10=380万円 ザックリの計算ですが、年間の所得税は6万円以上少なくなりまし、翌年の住民税も年間で4万円以上少なくなるんです!

税金としてお得になる11万円を育児休業の2ヶ月に仮にプラスで考えてみたら・・育児休業とらないで働いていた通勤費を除いた手取りとほとんど変わらないか、それ以上になることになります。

数字をみると、この制度、使わないのはもったいないとさえ思っていまいます。

(ただし、育児休業給付金には上限がありますので、月給が高い方にはお得度が下がりますのでご注意ください。後述参照)

 

育児休業は制度としてとても厚い支援があることがお分かりになったことでしょう。

 

以下、育児休業給付金の制度の概要です。

 

  • 育児休業給付金

 

育児休業給付は、雇用保険の被保険者が1歳又は1歳2か月(パパママ育休プラス制度を利用する場合)(支給対象期間の延長に該当する場合は1歳6か月又は2歳)未満の子を養育するために育児休業を取得した場合に、休業開始前の2年間に賃金支払基礎日数11日以上ある完全月(過去に基本手当の受給資格や高年齢受給資格の決定を受けたことがある方については、その後のものに限ります。)が12か月以上あれば、受給資格の確認を受けることができます。その上で、育児休業給付金は、

  1. 育児休業期間中の各1か月ごとに、休業開始前の1か月当たりの賃金の8割以上の賃金が支払われていないこと。
  2. 就業している日数が各支給単位期間(1か月ごとの期間。下図参照)ごとに10日(10日を超える場合にあっては、就業している時間が80時間)以下であること。(休業終了日が含まれる支給単位期間は、就業している日数が10日(10日を超える場合にあっては、就業している時間が80時間)以下であるとともに、休業日が1日以上あること。)

の要件を満たす場合に支給されます。

育児休業給付金の支給額は、支給対象期間(1か月)当たり、原則として休業開始時賃金日額×支給日数の67%(育児休業の開始から6か月経過後は50%)相当額となっています。

 

正確な金額はハローワークに提出する雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書により、休業開始時賃金日額が確定し、算出されますが、育児休業期間を対象とした賃金の支払いがない場合の支給額は、育児休業開始前6か月間の総支給額により、概ね以下のとおりです。

・平均して月額15万円程度の場合⇒育児休業開始から6か月間の支給額は月額10万円程度、6か月経過後の支給額は月額7,5万円程度
・平均して月額20万円程度の場合⇒育児休業開始から6か月間の支給額は月額13,4万円程度、6か月経過後の支給額は月額10万円程度
・平均して月額30万円程度の場合⇒育児休業開始から6か月間の支給額は月額20,1万円程度、6か月経過後の支給額は月額15万円程度

なお、育児休業給付金の賃金月額の上限額は449,700円(平成30年8月1日~31年7月31日)ですので、それに合わせて支給上限額は67%(休業日数が通算して180日になるまで)なら301,299円、50%なら224,850円です。

 

 

(2)社会保険料免除の注意

 

社会保険料(健康保険、厚生年金)については、育児休業期間中の被保険者本人及び事業主負担分が免除されます。ただし、月末に休業していることが要件となります。

例えば、育児休業を8/30~9/10まで取得した場合、8月の保険料は免除となりますが、9月の保険料は免除されません。9/10~9/25 に育児休業を取得した場合には保険料の免除はありません。

数日の違いで免除になる、ならないが変わるのであれば、そこを加味して休業期間を決めることも、制度を知ればできることですね。

ちなみに保険料免除については、休業でなく有給休暇取得の期間であっても免除となります。育児のために休業(有給休暇取得)していることを、会社が認めていることが原則となります。

 

4.育児休業取得を支援することで会社も大きなメリットが!

 

男性の育児休業取得率が上がらない理由は経済的な問題もありますが、これまでの慣例上、なかなか取得しにくい状況は否定できません。

育児休業を取得することは、本人のメリットだけではなく、育児休業取得を支援する会社側にもメリットがあります。さて、会社側のメリットとは、どんなものがあるでしょうか。

 

(1)採用のメリット

厚生労働省では、男性の育児と仕事の両立を積極的に促進し、業務改善を図る企業を「イクメン企業」として表彰し、その企業一覧をHPにて示しています。

 

https://ikumen-project.mhlw.go.jp/company/list/

 

イクメン企業として表彰されることは、女性のみならず、男性の採用に向け大きなメリットになることは自明でしょう。

 

これからは、子育てを家庭内で完結するものと考えていては時代遅れとなります。会社も子供を育てる視点を持つ必要があります。その視点を入社する社員が感じとれれば、安心して就職先、転職先に選ぶことができることでしょう。

 

男性の育児休業の取得率0%と採用情報にあったら、あなたはこの会社を就職先に選びますか?

男性の育児休業が推進されていない会社は、今後、若者たちから最初に就職先希望リストから外される会社となっていくことでしょう。

 

(2)働き方改革のメリット

 

現在、働き方改革という旗じるしの下、いかに効率よく仕事を行うかをそれぞれが考え、実践することが求められています。

育児休業を経験した社員が増えることで、仕事と育児を両立させることの大変さを具体的にイメージすることができる男性が増え、育児をする女性にとって働きやすいと感じる職場を自然に作ることができることでしょう。

その男性自身も、復帰後、育児のために無駄な残業をすることなく、仕事の効率を図っているはずです。

 

会社側が無理に残業を規制したりしなくても、育児を経験した男性たちが率先して仕事の効率を図り、働き方改革を実践してくれるのです。会社の大きなメリットとなります。

 

男性が育児休業を取得するとき、有給休暇残存日数が40日もあるような猛烈社員であれば、是非有給休暇も使ってもらってはどうでしょう。会社の有給休暇取得率もアップしますね。

 

(3)人材育成のメリット

 

子育てにより親も人間として成長する。

よく言われることです。

 

一日中、話相手にもならない赤ちゃんと過ごし、夜中には何度も起こされ、睡眠不足。

こちらの都合も感情も、伝えるすべさえありません。

自分の思い通りになることは何一つありません。

そんな時間が続きます。

 

今の時代、これだけの忍耐力を要求される機会はそうそうないのではないでしょうか。

育児の経験は、「忍耐力」を培う経験となるはずです。

 

忍耐だけではありません。

 

家庭という枠の中、マネジメントなしではそれぞれがバラバラになってしまいます。

最初は話ができなかった子供も成長し、言葉を話し、自分の感情をぶつけだします。

その時にどう対処するか。一時たりとも手を抜けません。誤った対応がその子の心に残れば、子供との関係がいずれ崩れることにも繋がりかねないからです。

 

会社であれば、向き合わないですませることができても、家庭では目を背けて過ごすことはできません。子供は毎日成長し、毎日、新たなことを吸収しています。

親がどのように過ごし、子供と向き合うのか。責任ある時間になります。

 

子育ては会社のマネジメントと同じ。それもよく言われることですね。

なら、子育てで会社でのマネジメントを学んでくれる・・・育児休業を取得した夫であれば、夫婦円満にもきっとなる・・会社のメリットに必ずなるはずです。

 

 

5.厚生労働省 イクメンプロジェクト

 

先ほども紹介しましたイクメンプロジェクトです。

 

『イクメンとは、子育てを楽しみ、自分自身も成長する男性のこと。または、将来そんな人生を考えている男性のこと。イクメンがもっと多くなれば、妻である女性の生き方が、子供たちの可能性が、家族のあり方が大きく変わっていくはず。』

 

https://ikumen-project.mhlw.go.jp/employee/faq/

 

あなたもイクメンを目指しましょう!

 

イクメンをバックアップできる会社は、社員にとって魅力ある会社となることに間違いありません。

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関 光子

関 光子

入社以来、3000人規模の会社の社会保険手続業務をいかに円滑に行うかに日々取り組んでいます。業務を通して学んだこと、確認したことを発信し、円滑な手続業務のお役に立てれば幸いです。
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