【10月度】労務情報まとめ 36協定届の記載例が公開 経団連 新卒採用ルールを廃止の意向

そろそろ年末調整の時期が近づいていますでしょうか。弊社ではお客様向けに今年の年末調整のご案内を進めているところで、申告書の社員様向け記載例やQ&Aを配信しています。今年は所得税の配偶者控除に改正があり、新たな申告書として「配偶者控除等申告書」が追加されていることなどは別の記事でご紹介するとして、10月度の労務情報まとめをお届けいたします。

 

 

働き方改革のリーフレットが配布開始

厚生労働省より、働き方改革の要点をまとめたリーフレットが配布されました。これまでの政府資料に比べて図解や表が用いられ、一般向けに分かりやすい内容となっております。働き方改革の全体像を「労働時間法制の見直し」と「雇用形態に関わらない公正な待遇の確保」に集約し、改革の内容を各ポイントで紹介しています。

 

 

厚生労働省:「働き方改革~ 一億総活躍社会の実現に向けて ~」のリーフレット
厚生労働省:年次有給休暇の時季指定義務のポイントのリーフレット

 

 

 

厚生労働省 働き方改革を推進するための通達を公開

厚生労働省より、働き方改革関連法案の運用を行うための通達が公開されました。内容としては、フレックスタイム制、時間外労働の上限規制、年次有給休暇、中小事業主における月60時間超の時間外労働に対する割増賃金率の適用猶予の見直しなどを含む6点となっています。

 

厚生労働省:働き方改革を推進するための通達

 

 

 

36協定届の記載例が公開

働き方改革における労働時間法制の見直しに合わせ、36協定届の記載例が公開されました。これまで特別条項の記載は様式の下部に記入するものとなっておりましたが、様式が別となりましたので記載例も別となっております。また、労働時間法制の見直しを趣旨とした追加項目への記入ポイントも記載されております。

 

厚生労働省:36協定届の記載例

厚生労働省:36協定届の記載例(特別条項)

 

 

 

厚生労働省 高度プロフェッショナル制度の具体化を検討

6月に成立した高度プロフェッショナル制度について、省令の具体化が進められています。成立時点では、適用要件が定められるにとどまっていましたが、来年4月の施行に向けて、労働政策審議会による省令の素案が公開されました。素案では、年収要件を1075万円、使用者が業務に従事する時間を示した場合は対象から除外するなど明記されています。今後、対象業務となる具体的な業務の議論が進められます。

 

厚生労働省:高度プロフェッショナル制度の省令(素案)

 

 

 

経団連 新卒採用ルールを廃止の意向

経団連は、2021年度以降に入社の新卒学生から就職・採用活動のルールを策定しないこととしました。これを受け、政府は関係省庁による連絡会議の中で2020年度に入社の新卒学生については学生の混乱を避けるため現行のルールを踏襲するよう企業に求める方針。また、2021年度以降について、企業、大学、政府で構成する協議会等で新たなルールを主導して策定する方とのことです。

 

 

 

雇用継続給付、本人の押印不要に

平成30年10月より、被保険者の合意のもと作成される同意書を作成、保管することで、雇用継続給付の本人の署名、押印を省略できるようになりました。電子申請でも同様の取り扱いとなり、これまで添付していた同意書は不要となります。

 

厚生労働省:「雇用継続給付の手続を事業主等が⾏う場合、同意書によって被保険者の署名・押印が省略できます」リーフレット

 

 

 

社会保険 報酬、賞与、賞与扱いの区分が明確化

厚生労働省の通達により、通常の報酬、賞与に係る報酬、賞与の区分について、客観的に見て二以上の異なる性質を有する手当等であることが明らかな場合には、同一の性質を有すると認められるもの毎に区分を判別すると明文化されました。通達の他、具体的な場面を考えて企業での処理を解説するQ&Aも公開されています。この取扱いは、平成31年1月4日から適用されます。

 

これまでは、支給されるものが社会保険上の報酬に該当するのか、賞与扱いとするのか、賞与に該当するのかという判断を年金事務所へ問い合わせてみても、なかなか明確な回答が得られなかった部分ですが、「客観的に見て」という判断基準に「諸規定による定義や支給方法による区分」と「賃金台帳の項目による区分」を使用するという明文化がなされました。

 

支給される手当については、恩恵的に支給されたり臨時的に支給されるものは社会保険料の対象となりませんが、それ以外の手当は基本的には社会保険の対象となることが前提となり、社会保険料の対象となる中で報酬に該当するのか、賞与に類するものとするのか、賞与とするのかという判断が必要となります。

 

今回の通達では、支給される手当に対する報酬等の判断を給与規定や賃金台帳によって一律、客観的に行う方法を記載した内容となっており、具体的に「〇〇手当」が報酬に該当するのか賞与に該当するのかといった定義までには言及していないものです。企業としては、手当を新設する際には、給与規定や賃金台帳にどのように記載し運用するのかという検討が必要となるかと思われます。

 

厚生労働省:「健康保険法及び厚生年金保険法における賞与に係る報酬の取扱いについて」の一部改正についての通達
厚生労働省:「「健康保険法及び厚生年金保険法における賞与に係る報酬の取扱いについて」の一部改正について」にかかる留意点についての通達(Q&A)

 

 

 

 

いかがでしたでしょうか。主だった動きとしては、やはり働き方改革の各論の運用に向けて行政から情報発信されている点でしょうか。また、経団連による新卒採用ルールを廃止する方向性についても、今後の企業、ひいては日本の採用手法の変化をさらに促すきっかけになると思われます。企業の労務現場にどのような対応を必要とするのか、引き続き動向をお送りいたします。労務相談、アウトソースはこちらまで。

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堀越 敬太

給与計算、社会保険手続にて3000名から100名までの規模を経験し業務フローの改善に従事する傍ら、社内研修の運営にも参画。人事情報のトレンドをお届けいたします。

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