管理監督者の勤務時間の自由裁量について

部長ですが規程の勤務時間で業務するようにと叱責を受けました

グループ会社から部長として転籍して1年半が経過した方なのですが、社長から勤務態度がすこぶる悪いと筒抜け状態のオフィスの一角で叱責を受けていました。

内容は、この方が入社以来、9時の始業も17時半終業も守っておらず、早く帰ったり遅く出てきたりしていることが大いに問題であるとのことです。これに対して、その方は「部長職という責任のある役職を頂いており、時間に厳格に束縛されない裁量をいただいたと理解して就業していたつもりでした」と言ったところ、社長はわが社の勤務時間は社員は全員9時から17時半だから特別扱いするわけにはいかない、とかなり声を荒げて言われました。

それで納得したのかなと思っていると、その方が「それでは名刺に部長と書かれた一般社員ということで、管理職には当たらないということでいいですか?それなら算出可能な残業代なども請求できるということですか?」と聞き返したため、更に口論に近い状態になっていました。
社長は「いや管理職には代わりは無いのだから残業は発生しない。うちは外資だから誰にもこれまで払っていないし、雇用契約書にも残業代は無いと書いてある。管理職だからといって勤務時間を守らない理由にはならないから、以後、厳格に守るようにしなさい!」と一方的に通告を受けて打ち切りのような形で終わりました。

その部長は、私のデスクにきて「僕は部長の肩書きを与えられて、時間裁量のある責任ある仕事をしているという思いで1年半がんばってきたのに納得がいかない。同じ言うならどうして1年半もたった今言われないといけないんだ」と言ってきました。今年の賞与の査定評価のことなどを聞かれましたが答えるわけにもいきません。
社長は社長で「あんな素行の悪いやつはだめだ。」と私にこぼしてきます。
人事、総務、経理を1人でやっているので板ばさみになっても相談相手もいません。どちらの言い分に肩入れしても角が立つので困っています。社長の方が上なので社長に従った方が自分のことを考えると無難だとは思っていますが。。。

回答

法的な権利や義務の問題と、仕事に対する取り組み姿勢や服務規律などのややあいまいな評価になりがちなものとの総合的な課題があるものと考えます。

法的な権利義務の話で言えば、確かに管理監督者であれば時間の拘束を受けず自由裁量であることが規定されています。
しかしそもそもの法的趣旨として管理監督者が他の一般社員よりも"自由に仕事をしてよい"わけではなく、業務の特性上経営と行動を共にする上で土日や夜間の対応など、本人の裁量によって勤務時間を調整する必要があるために勤務時間に"自由裁量"が定められています。

今回のケースで言えば、そもそも管理監督者に規定の始業・終業時刻という考え方はありませんので、遅刻・早退という概念もないことになります。
ただ、評価として"遅刻・早退が多いから"ではなく、"自由裁量労働にみあった成果を出せているか"、という点で総合的な評価を下し、賞与等へ反映することは可能と言えます。
質問者の方としては、もちろん査定評価などについて回答することはできないとした上で、上司にあたる代表へ総合的な判断を仰ぐ必要があると考えます。
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