なぜ採用辞退は起こるのか。原因と対策をわかりやすく解説します!

「採用辞退」とは、採用選考や内定を求職者の都合で辞退することを指し、

人材の売り手市場を背景に、求職者は複数社を比較して厳しい目をもって就職先を選ぶようになっているためこの選考辞退が増加しています。

人材確保競争が加速しているのも大きな要因の一つですが、採用辞退が連続して起こっているようであれば、選考方法や応募者対応に問題があるかもしれません。

 

そこで今回は、求職者心理を読み解きながら選考辞退の原因と対策をご紹介!

求職者から「入社したい」と選ばれる企業を目指しましょう。

 

1.人材確保競争が加速

1-1.新卒採用

リクルートワークス研究所の調査によると、2019年3月卒業予定の大学生・大学院生対象の大卒求人倍率は1.88倍と、前年の1.78倍より0.10ポイント上昇しており、7年連続上昇している結果となりました。

出典:リクルートワークス研究所「第35回 ワークス大卒求人倍率調査(2019年卒)」

また、株式会社ディスコの調査によると、4月1日時点での内定率は8.8%と、3月(8.0%)より10.8ポイント上昇しています。これは前年同期実績(14.6%)を4.2ポイント上回っています。

今後もこの傾向は続くと見られ、企業間での優秀な学生の確保競争の激化や、採用辞退の増加などの課題が発生しています。

出典:株式会社ディスコ「キャリタス就活2019学生モニター調査(2018年4月)」

1-2.中途採用

株式会社リクルートキャリアの調査によると、2018年4月時点の転職求人倍率は前年同月差▲0.09ポイントの1.78倍となり、求人数は前月比103.6%、前年同月比124.4%。登録者数は前月比103.2%、前年同月比130.5%となりました。

出典:株式会社リクルートキャリア「2018年4月末日時点の転職求⼈倍率」

2.一人当たりの内定取得社数と採用辞退率の増加

2-1.新卒採用

株式会社リクルートキャリアの調査によると、2018年卒大学生の12月1日時点の就職内定状況は、

内定率が92.1%、内定取得社数が2.51社、複数社の内定を取得している割合が66.7%にのぼることがわかっています。内定取得社数が「平均2.51社」は過去最高の結果となります。

また、12月1日時点での内定取得者のうち、大学生の就職内定辞退率は65.7%でした。

2社以上内定を取得した学生の多くが内定辞退をした経験があることがうかがえます。

出典:株式会社リクルートキャリア「2【確報版】「2017年12月1日時点 内定状況」― 就職プロセス調査(2018年卒)」

2-2.中途採用

パーソルキャリア株式会社の調査によると、DODAを利用して転職をした人が、転職活動を始めてから内定までに応募した求人の数は平均して17.7社(※)で、全体の84.1%の人が2社以上の企業に応募していました。

さらに50.8%の人の応募社数は10社を超えており、転職成功者の多くが積極的に求人に応募することで内定を手にしている、という実態が明らかになりました。

※2017年1月~12月の1年間にDODAエージェントサービスを利用して内定を得た人のデータを元に算出

出典:パーソルキャリア株式会社「転職成功者の 「平均応募社数」」

また、エン人事のミカタの調査(2016年12月4日~12月7日 有効回答数1655名)によると、選考辞退をしたことが「ある」と答えた人は67%で、2016年と比較すると7ポイント減少している結果となりました。

しかし、一人当たりの辞退者数を見ると、選考辞退した社数でもっとも多かったのは「1社」39%で、2016年と比較すると8ポイント増加している結果となりました。

このことから、求職者の応募が慎重になってきている可能性があり、人を吟味し、闇雲に多くの企業に応募しなくなった分、辞退社数も減り、辞退そのものが減っているとも考えられます。

 

出典:人事のミカタ「選考辞退の心理2017」

3.選考辞退理由

エン人事のミカタの調査によると、選考辞退のタイミングでもっとも多いのは「面接前の辞退」で63%で、ほぼ昨年同様です。一方、3年連続で減少しているのは「面接後の辞退」。「内定後の辞退」も4ポイント減少となりました。

3-1.面接前の辞退理由

面接前の辞退理由で、多くの回答を集めたのは

①応募後に再考し、希望と異なると判断した

②希望に反したスカウトメール

③ネット上でよくない評判や噂を見た

となりました。

スカウトメールに関しては、求職者側から「希望していない業界・職種にスカウトされた」「多くの人に同一の文面を送っているのだとわかるスカウトメールだった」との不満の声があり、送る際は細心の注意が必要です。

3-2.面接後の辞退理由

面接後の辞退理由で、一番多くの回答を集めたのは

①面接で詳しく知った仕事内容が希望と合わなかった

②面接で詳しく知った勤務地・給与などの条件が希望と合わなかった

③面接での説明内容と求人情報に齟齬があった

となりました。

面接に至るまでの情報量の不足や、誤解を生む表現、面接官と人事担当者の認識違いなどが起きている可能性があります。求職者を呼び込むための表現が、不信感となり結果、選考辞退へと繋がってしまうのでは元も子もありませんので注意が必要です。

3-3.内定後の辞退理由

内定後の辞退理由で、一番多くの回答を集めたのは

①勤務地・給与など条件の折り合いがつかなかった

②社風が自分に合わないと判断した

③他社での選考が通過した・内定が決まった

となりました。

求職者の待遇に関する本音や、自社とのマッチ度、選考状況など正直に話をしていくことが重要となります。

特に「待遇や条件」について求職者からは、「条件が最後の最後に提示される」「条件提示もなく内定取得を促す企業が多々ある」ことに不満の声が上がっています。可能な限り自社の出せる条件を早めに提示することが賢明です。

出典:人事のミカタ「選考辞退の心理2017」

4.採用辞退の対策

4-1.情報開示は求職者目線でわかりやすく

求職者が企業研究をする際に、もっとも確認しているのが、企業HPや採用ページとなります。

もし、面接前の辞退が多いと思われている企業は一度、自社HPの見直しをご検討されることをお勧めします。

掲載されている情報は常に最新か。求職者目線のわかりやすいものになっているか。この採用情報の広報こそ、求職者の安心と採用辞退対策へと繋がります。

出典:人事のミカタ「選考辞退の心理2017」

4-2.選考時の対応に注意

求職者と企業が初めて顔を合わせる場所は、会社説明会や面接などの選考時となります。つまりそこで出会う社員や面接官が、求職者にとっての「初めての顔」となります。求職者が会社へ訪れる際は、社内で「社員の態度・言動などには注意してもらうこと」を呼びかけて、求職者に「ここで働いてみたい」「この人と一緒に働きたい」と思わせる雰囲気づくりを心がけましょう。

また、対面だけではなく、メールや電話のコミュニケーションにも同様の注意が必要です。

 

4-3.内定者フォロー

現在、新卒採用を中心に「内定者フォロー」に力を入れている企業が増えています。

主な内定者フォローは以下の通りです。

・内定者懇親会

・先輩社員との交流会

・勉強会や研修

・職場見学

・社内報などによる情報発信

求職者は内定後も他社の選考を受けていることが当たり前となっていますが、その中で定期的に求職者との接点を持つことが採用辞退を防ぐ効果的な手段となります。また、勉強会や研修は入社後に即戦力として活躍してもらうことが可能です。

 

▽内定者フォローについての記事はこちら

内定者研修のススメ

内定辞退者続出!?内定者フォローの見直し

実践しやすい!内定者フォローの事例

一段階上の内定者フォロー

今どきの新入社員は電話応対ができない?これで安心!電話応対マニュアル

4-4.スピーディーな選考

採用辞退の理由には「他社での選考が通過した・内定が決まった」が多くを占めている事から、採用活動においてそのスピードが重要となっている事が分かります。

求職者への連絡・日程調整などのレスポンス改善はもちろん、

万が一、選考結果連絡が遅れる場合には「○日までにご連絡します」といった配慮も必要になります。

5.コア業務に専念するためには

5-1.採用代行会社へアウトソース

「採用代行」とは、企業の採用活動に関わる業務を、採用代行サービス企業が代行する人材サービスのことを指し

別名「採用アウトソーシング」や「RPO(Recruitment Process Outsourcing)」とも呼ばれます。

業務委託できる範囲は企業によってさまざまですが、

一般的には「採用計画」⇒「母集団形成」⇒「選考」⇒「内定」⇒「研修」⇒「入社」に至るまでのプロセスの

全てかいずれかをアウトソーシングする事が可能です。

採用支援サービス内容

 

5-2.採用管理システムの導入

近年、採用業務を一元管理できる「採用管理システム」を導入する企業が増えています。

このシステムを活用する事で、採用活動の進捗の可視化や、応募者一人ひとりの状況に応じたコミュニケーションの実現、オペレーション漏れの回避、採用後の人事評価までを踏まえた採用手法の最適化が可能となります。

 

6.まとめ

採用担当者にとって、時間と労力をかけて集めた求職者が採用辞退をしてしまうことは避けたいものです。

これまでの対応について、求職者目線で振り返り改善するとともに、人手不足によってコア業に専念できていないのであれば、採用業務のアウトソースや採用管理システムの導入をご検討してみてはいかがでしょうか。

また、万が一採用者と求職者という関係は無くなっても、今度は会社と顧客という立場に変わるということを忘れずに

最後まで常識ある対応を心がけましょう。

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