メリット料率とは?

労働保険料の申告書が会社に届き、現在、労働保険料の申告準備を行っております。
その中で、「労災保険料率決定通知書」というものが届き、そこにはメリット料率として、昨年までと異なる料率が記載されていました。
メリット料率とはどういったもので、なぜ昨年までは無かったものが本年になって届いたのでしょうか。

回答

お問い合わせの件につきまして、結論から申し上げますと、メリット料率とは、労災保険のメリット制に基づいて算出された労災保険率をいいます。

通常、労災保険率は事業の種類ごとに決定されます。
しかし、同じ事業の種類であっても、その作業環境や安全衛生への取り組み状況などにより、労働災害の発生状況は異なります。

そのため、一定の要件を満たす事業については、過去の労災保険料と労災保険給付等の状況をもとに、労災保険率を増減させる制度が設けられています。
この制度を「メリット制」といい、メリット制により増減された労災保険率を「メリット料率」といいます。

メリット制は、労働災害の発生状況に応じて労災保険料を調整することで、事業主間の保険料負担の公平性を図るとともに、事業主に対して労働災害防止への取り組みを促すことを目的としています。

メリット制には、「継続事業」のほか、「一括有期事業」や「単独有期事業」等の種類がございますが、それぞれ仕組みや適用要件が異なります。
今回は、一般的な会社等に多い継続事業におけるメリット制の適用について説明いたします。

一般的な会社等の場合、メリット制は全ての事業所に対して適用されるわけではございません。
主に、労災保険の保険関係の成立から一定期間(3年以上)経過していることと、事業の規模が一定以上であること等により適用されます。

そのため、昨年まではメリット料率の適用がなかった場合でも、要件を満たすことにより、本年からメリット制の対象となり、メリット料率が記載された通知書(労災保険料率決定通知書)が届く場合がございます。

メリット料率は、簡単に申しますと、一定期間における労災保険料の納付額と、業務災害に係る保険給付等の額をもとに算定されます。

具体的には、以下の方法で算出いたします。

①過去一定期間の確定保険料に対して、業務災害に係る保険給付等がどの程度発生しているかを確認する。
②①の割合をもとに「メリット収支率」を算出する。
③メリット収支率に応じて、「メリット増減率」を決定する。
④通常の労災保険率から非業務災害率を除いた部分にメリット増減率を反映する。
⑤最後に非業務災害率を加えたものが「メリット料率」となる。

なお、メリット料率は直近の労働災害で決定されるわけではなく、原則として、適用年度の前々年度以前の3保険年度における実績をもとに算定されます。

【例】
令和6年度に適用されるメリット料率の場合の算定期間
・基準日:令和5年3月31日
・対象期間:令和2年度~令和4年度の3保険年度(令和2年4月1日~令和5年3月31日)

このように、メリット料率は、直近の労災発生状況だけで決まるわけではなく、過去の複数年度の実績が反映される点に注意してください。

また、メリット制では、主に業務災害に係る部分について、その事業場の労働災害の状況が反映される仕組みとなっていますが、実際の保険料率の算出にあたっては、上記のほか、通勤災害等に係る給付に充てる部分として、全業種共通の一定率(非業務災害率)が含まれていることにもご留意ください。

メリット料率により労災保険率が下がっている場合は、過去の労働災害が少なく、保険給付等の額も少なかったことが反映されていると考えられます。
一方で、メリット料率により労災保険率が上がっている場合は、過去の労働災害に係る保険給付等が多かったことが影響している可能性がございます。

そのため、メリット料率の通知が届いた場合は、単純に年度更新時の労働保険料計算に反映させるだけでなく、その内容を確認することが重要です。
特に、メリット料率により労災保険率が上がっている場合には、過去の労災発生状況や職場環境、安全衛生体制などを見直すきっかけとしていただくとよいかと存じます。
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公開日: 労働保険手続き

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