公的年金と給与所得がある場合の住民税納付について

従業員より下記質問がございました。

住んでいる市より市県民税の「市県民税 普通徴収」請求書類が届いた為、納付をいたしました。

毎月給与で特別徴収もされておりますが、納付すべきものだったのでしょうか。会社に勤務しているにも係わらず普通徴収の納付書が届いていることに疑問を感じているとのことです。

※該当社員の生年月日…昭和31年10月生まれ(現在66歳)

回答

今回お手元に届いた「市県民税 普通徴収」の請求は、年金の所得に対して納付をしなくてはならない住民税です。
住民税は所得に対してかかるものですから、所得であれば給与所得以外として雑所得である年金にも別途住民税はかかります。

従業員様は65歳以上該当の方ですので、年金の所得に対して市県民税が課税される場合、
年金からの特別徴収制度(年金支給額から個人住民税を天引きして納付する制度)により納付することとなります。(地方税法第321条7の2)

年金からの特別徴収制度とは・・・
年金保険者(日本年金機構等)が、納税者に支給する公的年金から個人住民税を引き落とし、納税者に代わって市へ納入する制度です。
公的年金等を受給されているかたのうち、当該年の4月1日において65歳に達しているかたが対象です。
 ただし、次の事項に一つでも該当する場合は特別徴収(引き落とし)の対象になりません。
• 住民税が非課税又は公的年金等に係る所得に対する税額が生じない
• 1月1日以降、当該市区町村に引き続き住所を有しない
• 支払いを受ける公的年金等の受給額が年額18万円未満である
• 市が行う介護保険の特別徴収(引き落とし)対象者でない
• 当該年度の特別徴収(引き落とし)税額が公的年金等受給年額を超えている

対象となる方は65歳以上の一定の要件を満たしている場合に限り、公的年金等に係る市県民税の税額を公的年金から引き落とします。
要件外の方は、普通徴収(納税通知書で納めていただく方法)となります。
この制度は、地方税法第321条7の2の規定に基づき実施されているもので、個人の選択による徴収方法の変更はできません。

年金特別徴収の制度導入に伴い、65歳以上の方の年金に対する税額は給与所得から引き落とすこと(特別徴収)ができなくなりました。その為、給与所得に対する住民税は給与から、年金所得に対する住民税は公的年金からそれぞれ徴収されます。
尚、給与所得と年金所得以外の所得(不動産所得、事業所得等)に対する税額は、これまでと同じく給与所得に対する住民税と合算して給与から特別徴収することができます。

つまり一年間の住民税額を、給与所得からの特別徴収と年金所得からの徴収方法に分けて納めていただいておりますので、二重に支払っているわけではありません。
したがってお支払いいただいて問題ございません。
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公開日: 税務・税法

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