採用時に応募者の健康状態を聞いても問題ない?

弊社は業績が好調なため、スタッフを大幅に増員中です。しかし、このところ入社数日で体調不良で欠勤する者が立て続けに出ていて、各部署の責任者から仕事を任せられないと不満が噴出しています。採用担当者に確認をしたところ、採用選考の中で病歴等の健康状態を聞いてはいけないという認識で、確認をしていないようです。
採用の際、応募者の健康状態を確認することは問題があるのでしょうか。

回答

厚生労働省のガイドライン「採用選考時に配慮すべき事項」に就職差別につながるおそれがある具体的事項として「合理的・客観的に必要性が認められない採用選考時の健康診断の実施」という項目はございますが、健康状態を確認すること自体は禁止事項には含まれておりません。

また、職業安定法第5条の4に「社員を募集するにあたって、業務の目的の達成に必要な範囲内で個人情報を収集することができる」と定められていることから、応募者の適性と職務遂行能力を判断するうえで、合理的かつ客観的にその必要性が認められる範囲において健康状態を確認することは差し支えないと考えるのが妥当でしょう。

安全配慮義務の観点からも事前に健康状態を確認しておくことは重要です。

但し、個人情報保護の観点から以下の点に注意が必要です。
・健康状態を確認する目的を明らかにすること
・健康状態の確認方法が任意解答の形式で同意を得て行われるものであること
・収集した情報は採用選考以外のことに使用したり、第三者に情報提供したりしないこと

近年増加しているメンタル面の病歴は採用面接等で直接尋ねにくい傾向があります。また誤解を避ける意味でも口頭での聴取より書面等を活用し、本人から病歴を申告してもらう形をとるとよいでしょう。

その他、健康状態というよりストレス耐性を見極めるものになりますが、適性検査を活用するという方法も考えられます。

採用段階では、応募者に職業選択の自由があるように、企業側にも採用の自由が認められていますが、一旦採用してしまいますと、採用取消や解雇は簡単には出来なくなりますので、採用選考の段階で、応募者の健康状態について、人権侵害にならない範囲で確認することをお勧めいたします。

但し、採用選考は基本的人権を尊重し、適正・能力を基準に判断するというのが基本的な考え方になりますので、健康状態だけを理由に採用の可否を判断することは避けましょう。
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公開日: 募集・採用 採用・雇用

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