出産育児一時金の受取代理制度とは?

出産予定の従業員から、出産育児一時金は「受取代理制度」を利用したいと申出がありました。受取代理制度とはどの様な制度なのでしょう。直接支払制度との違いがよく分かりません。健康保険への申請方法で注意点があれば教えてください。

回答

受取代理制度は、本来、被保険者が受け取るべき出産育児一時金を医療機関等が被保険者に代わって受け取る制度のことです。出産にかかる費用に出産育児一時金を充てることができるよう、加入している健康保険から出産育児一時金を医療機関等に直接支払う仕組みであるのは直接支払制度と共通しています。

直接支払制度と受取代理制度、どちらか選択するというものではなく、出産する医療機関等がどちらを実施しているかで利用する制度が決定いたします。

受取代理制度を採用している医療機関等は、厚生労働省に届出をしている限られた機関で、年間平均分娩取扱い件数が100件以下の診療所、小規模施設、助産所や正常分娩に係る収入割合が50%以上の診療所、助産所が届出の目安となっております。直接支払制度を実施する事で、医療機関等への負担が大きいと考えられる小規模の医療機関等でも、妊産婦等の経済的負担の軽減を図ることができるよう、制度化されたものです。

ほとんどの医療機関等は、直接支払制度を採用していますので、一時金の申請でもあまり見受けられないケースかと存じますが、申請には、医師の証明が必要となり、出産予定日2ヵ月を過ぎてからの事前申請となりますので、産前休業に入られる前に、あらかじめ申請書をお渡ししておく事をお勧めいたします。


【受取代理制度の流れ】
受取代理用申請書に医師の証明をもらう

出産予定日まで2カ月を過ぎてから健康保険へ事前申請を行う(※)

医療機関等が健康保険に出産育児一時金を請求

健康保険から医療機関等に出産育児一時金を支払い

(※)妊娠期間中は母体や胎児の状態により、本人の意志にかかわらず転院しなければならない場合等がある為、予定日まで2カ月を過ぎてから申請を受け付けています。これは厚生労働省保険局の指導によるものです。

分娩予定の医療機関等が受取代理制度を採用しているかは、あらかじめ医療機関等にご確認いただければと存じます。厚生労働省HPでも受取代理制度医療機関一覧を確認する事ができますので、ご参考になさってください。

(参考)厚生労働省「出産育児一時金の支給額・支払い方法について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/shussan/index.html
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