【年末調整】海外に居る居住者、国内に居る非居住者の年末調整

弊法人は海外に拠点があり、日本法人-海外法人間で出向・出張の受け入れも頻繁に行われております。

 

1.日本法人から海外法人に在籍出向している社員(非居住者)につき、通常時は海外で生活しておりますが一時帰国の折に海外法人(出向先)から「コロナの関係でしばらく日本にいてほしい」とのことで日本で海外法人の業務を行っています。少なく見積もっても年末時点まで日本にいることになるのですが、本社員は年末調整の対象となるのでしょうか?

 

2.日本法人から海外法人に出張している社員(居住者)につき、通常時は国内で生活をしておりますが現在海外法人に出張しており年内は帰国の予定がありません。本社員は年末調整の対象となるのでしょうか?

回答

年末調整は給与の支払いを受ける人(社員)の一人一人についてその年一年間の給与の総額が確定した時点で行うものですが、必ずしも給与の支払いを受ける人すべてが対象になるわけではありません。年末調整の対象となるのは原則として以下に該当する人です。
本年中に支払われる給与の総額が2,000万円以下の人で、
・引き続き勤務する人で年末調整を行う時までに本年の「給与所得者の扶養控除等申告書(以下マル扶)」を会社に提出している人
・本年の途中で就職した人で年末調整を行う時までに本年のマル扶を会社に提出している人
・本年の途中から「丙欄適用者」(いわゆる日雇い労働者と呼ばれる方等で日額表の丙欄によって所得税額を決定している人)でなくなり、年末調整を行う時までに本年のマル扶を会社に提出している人
・本年の途中で国外勤務から国内勤務になり居住者となった人で、年末調整を行う時までに本年のマル扶を会社に提出している人
・本年の途中で死亡により退職となった人で、その亡くなるときまでに本年のマル扶を会社に提出している人
・本年の途中で国外に転勤のため出国し非居住者となった人で、その出国の時までに本年のマル扶を会社に提出している人
・本年の途中で著しい心身の障害のために退職した人のうち、その退職の時期からみて本年中に再就職することができないと認められかつ退職後本年中に給与の支払いを受けることとなっていない人で、その退職の時までに本年のマル扶を会社に提出している人
・いわゆるパートタイマーとして働いている人などが退職した場合で、本年中に支払いを受ける給与の総額が103万円以下である人で(退職後本年中に他の勤務先等から給与の支払いを受けると見込まれる場合を除く)、その退職の時までに本年のマル扶を会社に提出している人
・本年の最後に支給される給与の支払いを受けた後に退職した人で、その退職の時までに本年のマル扶を会社に提出している人
参考:No.2665 年末調整の対象となる人

前述の通り、非居住者の方は年末調整の対象とならないことが原則です。「非居住者」とは国内に住所がなく(例えば住民票をおいていない状態)、かつ現在まで引き続いて1年以上の日本に居住していない(居住のための住所を有していない)人のことを指します。
参考:No.2875 居住者と非居住者の区分

以上を踏まえますと、
1.→本年の12月31日時点において帰国から1年未満の居住であれば非居住者に該当しますので年末調整の対象とはなりません。逆に日本での居住が1年以上であれば年末調整の対象となります。

2.→原則的な年末調整の対象に該当することを前提に、本年の12月31日時点において出国から1年未満の滞在であれば年末調整の対象となります。ただし、出国時点で海外滞在が1年以上を予定されていた場合は、本来であれば出国時に年末調整を行う必要があり、出国以降は非居住者となりますので年末時点での年末調整は対象外となります。
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公開日: 税務・税法

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