妊婦の時短勤務希望は認めなくてはならない?

妊娠中のフルタイム勤務のアルバイト従業員から時短勤務の希望がありました。認めなくてはならないのでしょうか。

回答

企業には妊娠中の女性労働者に対して、母性健康管理措置を講ずる義務があります。この措置は雇用形態を問わず、全ての女性労働者が対象になります。

母性健康管理措置には以下のものがございます。

・男女雇用機会均等法における母性健康管理の措置
①保健指導又は健康診査を受けるための時間の確保(第12条)
②指導事項を守ることができるようにするための措置(第13条)
③妊娠・出産等を理由とする不利益取扱いの禁止(第9条)

・労働基準法における母性保護規定
④産前・産後休業(第65条第1項及び第2項)
⑤妊婦の軽易業務転換(第65条第3項)
⑥妊産婦等の危険有害業務の就業制限(第64条の3)
⑦妊産婦に対する変形労働時間制の適用制限(第66条第1項)
⑧妊産婦の時間外労働、休日労働、深夜業の制限(第66条第2項及び第3項)
⑨育児時間(第67条)

上記②として、妊娠中及び出産後の女性労働者が、健康診査等を受け、医師等から指導を受けた場合は、指導事項を守ることができるようにするため、事業主は勤務時間の変更、勤務の軽減等の措置を講じなければならないことになっています。

従いまして、今回の時短勤務の希望が医師等の指導によるものであった場合には認めなくてはなりません。

仮に医師等の具体的な指導がない、もしくは不明確な場合であっても、医師等と連絡を取り判断を求める、または産業医や企業内の産業保健スタッフに相談し、必要な措置を決める等適切な対応が必要となります。医師等の指導がないからといって直ちに時短勤務を認めなくてよいということにはなりませんのでご注意ください。

尚、医師等の指導事項を的確に伝えるためのツールとして「母性健康管理指導事項連絡カード」というものがございますので、活用されてみてはいかがでしょうか。
https://www.mhlw.go.jp/www2/topics/seido/josei/hourei/20000401-25-1.htm

尚、母性健康管理に対する企業の義務について、下記サイトに詳細に掲載されていますので参考にされると宜しいかと存じます。
「妊娠・出産をサポートする女性にやさしい職場づくりナビ」
https://www.bosei-navi.mhlw.go.jp/
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公開日: 労務管理 育児介護休業

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