健康診断の受診を拒否する社員へ受診を強制することはできるのか?

健康診断の採血の項目を受けたがらない社員がいます。

採血をすると気分が悪くなり半日動けなくなってしまうためとのことです。

このような場合、血液検査を受けなくても問題はないのでしょうか。

回答

会社は労働者に対して健康診断を受けさせなければならず、労働者はそれを受診しなくてはなりません。雇入れ時については労働安全衛生規則の第43条、定期健診については同法の第44条でその実施項目が法的に定められています。
血液検査は、雇入れ時健診は省略不可で、定期健診は対象者が40歳未満で医師が不要と認めた場合は省略できます。定期健診の方の省略規定ですが、あくまで「医師が不要と認めた場合」であり、労働者側の意思で拒否する事は法的にはできません。
どうしても拒否したい場合は、必ず気分が悪くなる等の原因をはっきりと確認し、「血液検査を拒否する事により、その検査によって早期発見早期治療につながる病気に罹患しても、会社に補償を求める事はしない」と一筆書いて頂き、双方承諾の上、その方には血液検査はしないという誓約書を交わしておかれると良いでしょう。
医師の倫理綱領に「宗教上の理由などの個人的事情で健康診断を従業員が拒否する場合、医師は受診拒否による本人への影響について十分に説明をしなければならない。
受診拒否を続ける場合は、将来の健康影響や自己責任などについて明記した書面を用意し、本人の署名を求める等により、本人の意思の確認の手続きをとる方がよい。」とありますし、会社としても管理責任があるためです。
事業者には使用する従業員の健康状態を管理する義務が法律により規定されています。
これにより使用者は従業員に対して健康診断を受けさせる義務を負う事になり違反した場合、50万円以下の罰金などの罰則規定が用意されています。
自分でいざ、検査をしようとするとかなり料金がかかりますし、思ってもみなかった病気が発見されることもあります。貧血、甲状腺異常、腎臓の機能、肝臓の機能、白血球の異常など色々と血液検査の意味がありますので健診も採血もご自身の健康管理に必要な事だと採血の必要性を説いて、病院にも採血する前に看護師さんに「苦手なのでフラフラして倒れてしまいます。寝転んでして下さい」とお願いしてみてはいかがですか。病院で採血する時も同様、どこの病院でも寝転んでしてくれます。
意外と倒れる人はいるようで、普通に対応してくれますのでご安心ください。
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