厚生年金受給中に就業していたら保険料は支払わなければならないか?

66歳の社員から「現在、年金を受給しているが、なぜ給与で厚生年金が控除されているのか」という問い合わせを受けています。

年齢から年金受給を受ける年齢であるとは思いますが、厚生年金にも加入しているため、保険料が控除されることは妥当であると考えております。

社員が納得するよう説明をしたいのですが、本人に示すものとして何か根拠のようなものはありますでしょうか。

 

回答

厚生年金保険は、以下のように厚生年金保険法(以下厚年法)で被保険者を定義し納付を義務付けております。

<厚年法第九条>適用事業所に使用される七十歳未満の者は、厚生年金保険の被保険者とする。

また、老齢厚生年金の受給権について以下のように規定しております。

<厚年法第四二条>老齢厚生年金は、被保険者期間を有する者が、次の各号のいずれにも該当するに至つたときに、その者に支給する。
一 六十五歳以上であること。
二 保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が十年以上であること。

上記定めは別々に運用されますので、65歳から70歳までの間は納付と受給が同時に発生いたします。

年金事務所のパンフレットにも案内がございます。
日本年金機構「厚生年金保険・健康保険制度のご案内」
「70歳未満で老齢厚生年金を受給している人を雇用した場合でも加入要件を満たす方は被保険者になります」P2下段
こちらのパンフレットをご本人様にお渡しいただいてもよろしいかと存じます。

厚生年金の加入要件に満たない働き方であれば納付はございません。
あくまでも厚生年金に加入するのであれば納付と受給が並行することになります。
今回、ご入社の方であれば加入しない程度の労働時間に抑えることで受給のみにすることが考えられます。
すでに働いていらっしゃる方であれば、労働時間を加入要件に満たないように抑え資格喪失することで受給のみにすることが考えられます。

今回のご質問は年金を受給しながらお仕事をされているケースですが、厚生年金を繰り下げ(66歳~70歳)にすることも可能です。
2021年4月から高年齢者雇用安定法が「70歳までの就業機会確保を企業の努力義務とする」と閣議決定された背景などから、長く働く事を選択できる時代になっていくことが予想されます。
個人型確定拠出年金など老後の資金確保にも多様性が出てきておりますので、健康状態等を考慮しながら老後の働き方を一考してみてはいかがでしょうか。
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