「執行役員」は労働保険の対象となるのか

弊社で雇用している社員に執行役員がおりますが、この度、直接雇用から委任契約に変更することになりました。

委任契約にしますと形式上退職と同様の手続きを行うため、雇用保険については資格喪失手続きをすると思います。

このとき、労災保険については引き続き加入することができるのでしょうか。

加入する場合、次回の年度更新で労災保険料を算定する際の取り扱い方で注意すべき点があればご教示ください。

回答

執行役員については、委任契約の場合には労働者性がないため、ご認識の通り雇用保険の適用対象外です。また、労災保険につきましても直接雇用でないことから適用対象外となります。

しかしながら、労働者性は実態で判断されますので、委任契約であっても労働者性が認められる場合、労災保険が適用される可能性があります。(※)
労働者性が認められる例としては、下記のようなものがあります。
・業務内容が執行役員就任前後で変更がない
・指揮命令を受けている
・法令上定められた業務執行権がない 等

労働者性があると認められる場合には算定基礎賃金に含めて労働保険料を計算しますが、役員報酬については対象外となります。


※マルカキカイ事件(東京地判、平成23.5.19)
従業員から執行役員となった場合の労働者性を判断したもの。従業員身分を喪失、委任契約となる旨が記載された執行役員規程の存在や、従業員勤続期間の退職金精算の実施、執行役員としての経営会議への参加等があったが、委任契約への契約変更後の業務内容については執行役員就任前後で変わりがなく、管理職が行う業務と同等であったこと、法令上定められた業務執行権を有する者ではないこと等を理由に、労働者性があると判断された。


執行役員とは?

取締役会が決定した重要事項を実行する、経営に関する責任を持つ経営執行者のこと。執行役員の特徴は、会社の重要事項に対する遂行の責任者だが、重要事項に関する決定権は持たない、法律上の明確な位置づけはなく単なる敬称であり従業員である、取締役会により指名され、雇用ではなく委任契約等であるなど。

労働者性があることの判断はどこで見る?

・登記簿謄本の役員欄に記載がないこと(記載があると法的には役員に該当)
・取締役会における議決権や全社的な業務執行権がないこと
・部長など一般従業員としての身分があり、実際に従業員としてその職務をこなしていること
・執行役員としての役員報酬分より、従業員としての給与分の割合が多いこと
・報酬や給与の決定方法が、賃金規程どおりの決定であるなど明確であり、特別ではないこと
・同格の従業員との権限や給与の格差がさほどではないこと
・特別待遇が保証されていないこと(送迎等)
これらの要件を満たすと、執行役員という名称であっても、雇用保険・労災保険に加入することになります。
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SR人事メディア編集部
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