目標達成のための要素

人事評価制度において、部下に毎期(半期)目標設定をしてもらい、目標達成に向けて取り組んでもらっているのですが、どうも達成できない社員がいるのですが、いろいろとアドバイスをしているのですが、なかなかうまく伝わらず、本人も苦労しているようで、何か目標達成のためのポイントなどありましたらお教えいただければと思います。宜しくお願い致します。

回答

会社の状況、目標設定の仕方、その後のフォローアップなどの詳しい状況が分からないので、具体的なヒントとなるか分かりませんが、一般的、かつ、経験上で回答したいと思います。


目標設定については、いわゆるSMARTなどを活用して設定し具体的な目標が立てられたとしても、達成する(させる)ためにはいくつかのヒントがあります。

1.目標に具体性を持たせる

まずは、具体的かつ詳細に自分が達成したいことを考え抜くこと、そして、目標達成のために「やるべきこと」を具体化します。
「やるべきこと」を具体化すると同時に「目標達成への障害となるものは何か」を明確にします。これは、「メンタル・コントラスト」と言います。「自分にとって成功とは何か」そして「成功への障害は何か」、この2つを繰り返し考えることが大切です。


 

【目標を達成した時のイメージをする(感情とともに) ⇒ そこに至るまでの障害を考える】


 

①これによって出てきた障害に対してどのような対策を講じておくか、②その障害を乗り越えるために何をするか、を意識化して具体的な行動に落とし込むことが重要となります。


 

2.目標達成への行動計画をつくる。

これは一般的にも目標設定時に行っていることですが、行動計画を立てても、急な業務などが入ってきて、目標達成への行動を邪魔されることは多々あります。このような事態に対処するために、事前に「もし○○になったら、△△をする」というプランニングをしておきます。「もしXだったら、Yをする」という具合です。


このシンプルな行動計画の立て方は、脳にとっては記憶しやすい文章となります。すなわち、脳が勝手に働いてくれることを促すことができます。(これは、最近、一番効果的な手法として有名ですので、ご存知の方も多いと思います)


 

3.目標までの距離を意識する。

フィードバックで目標との距離を確認することです。フィードバックによって、うまくやれているのかが分からなければ、行動を見直すこともできませんし、フィードバックを心がけなければ、やる気を持続させることも困難です。


短期的な目標については、頻繁なフィードバックを受けるように設定して、正しい方向に向かっているか確かめる必要があります。(ちなみに進捗フィードバックは、モチベーション向上にも効果があるとエビデンスがあります)正しいフィードバックは、モチベーションを高めてくれますが、誤ったフィードバックはモチベーションを削いでしまいかねません。


フィードバックの視点として2つの思考があります。「これまで思考」と「これから思考」の2つです。




  • 「これまで思考」は、「どこまでやり遂げたか」に視点を向ける思考スタイルで、「これまで進んだ距離に目を向けること」となります。

  • 「これから思考」は、「あとどれだけやらなければいけないか」に視点を向ける思考スタイルで、「目標までの距離に目を向けること」となります。

  • 「これまで思考」の場合は、早い段階で達成感を持つため早く気が緩んでしまいます。例えば、「すでに50%できた」と思考するスタイルです。

  • 「これから思考」の場合は、目標までの距離を測ると、モチベーションは維持されます。さらに「これからやるべきこと」を意識することでモチベーションを高めることができます。


(上記については、研究結果としても明らかになっています)


 

これら以外にもいくつかポイントはありますが、まずは、このようなことを意識して、部下へのアドバイスを行っていただき、達成に近づけるよう支援してみてください。
また、貴社の状況次第によっては、上記についても、ひと工夫、必要となると思いますが、この方法を参考にやってみて下さい。
The following two tabs change content below.
人事実務の専門家集団「社会保険労務士法人人事部サポートSRグループ」のwebメディア。人事制度、採用、労務、HRtech、法改正など旬の人事ニュースを掲載。実務に役立つExcelツールも無料配信中!

最新記事 by SR人事メディア編集部 (全て見る)

公開日: 人事制度設計 人材育成・研修

日常業務に関するちょっとした疑問から、コンプライアンス、人事戦略まで、お気軽にご相談ください。

無料労務相談のお申し込みは、以下のバナーからどうぞ!
無料労務相談のお申し込み
PAGE TOP ↑