育児休業中の社員から就労したいとの申出があった場合

育児休業中にある程度は出社して仕事をしたいと申し出ている社員がいます。

月80時間までは働いても育休として認められるはずだ、というのが当該社員の主張です。

会社としては、育休というのはあくまでも休業期間を設けるというものであり、1ヶ月80時間までは好きなように出退勤してもよいという仕組ではないと考えています。

 

育児休業中の就労は緊急を要する仕事が発生した場合、会社側からやむを得ず仕事を要請する場合に就労する制度であり、好きなときに仕事ができる制度ではないと当該社員に説明したところ、どのような仕事であれば認められるのか、基準は何かと問われました。

 

質問なのですが、育休中に出社して仕事がしたいと社員から要望があれば会社側は80時間までであれば認める必要はあるのでしょうか?

それとも育休中はあくまでも休業期間のため出社してはならないと要望を拒否することができるのでしょうか?

 

会社側として、育児休業中は休業として出社せず休んでもらいたいと考えています。

回答

育児休業は休業をすることが原則であり、その期間の労務提供義務を消滅させる制度です。
恒常的・定期的に就労をする場合には育児休業をしているとは認められません。
しかし、育児休業中に労使の話し合いによって、一時的・臨時的にその事業主の下で就労することは可能です。

一時的・臨時的に就労する場合というのは以下のような状態を指します。

1.大災害などを理由に他の従業員が出勤困難な状況で、当人が出勤できる場合、臨時的な災害対応として業務を行う
2.突発的に発生した事態に対応するため、他の従業員では対応できない業務を行う

育児休業開始当初よりあらかじめ決められた条件(1日4時間で月20日間勤務する等)で勤務する場合や、毎週特定の曜日又は時間に勤務する場合は「一時的・臨時的な就労」には該当しません。

当人の仰られる、「1ヵ月80時間までは働いてもいいと認められている」というのは、あくまで育児休業給付金が、全額もしくは減額支給される対象であるというだけであり、80時間まで働くことが保障されているというわけではありません。

出勤を希望する理由をヒアリングしたうえで、上記のような当人でなければ対応できない事柄なのかを判断し、他の従業員で対応可能もしくは当人である必要性のないものであれば要望を拒否していただいて問題ありません。
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