働き方改革により残業代が減少した社員から不満が出た場合

働き方改革の取組として、業務効率化システムの導入と残業時間の削減に着手し、利益額を維持したまま残業時間を削減することができました。大まかな数字を確認すると、売上高に占める人件費の割合は減ってきているようです。しかし、現場からは残業時間が減ったことにより給料が減っているという声も聞こえてきています。会社としては固定費を少なくしていきたいのですが、社員の意欲低下や退職されても困ります。社員の意欲向上・定着を図りつつ、利益を上げていくためにはどのようなことをすればよろしいでしょうか。

回答

以下、(1)~(6)の順番でご説明します。

(1)労働分配率の把握
質問文にて「売上高に占める人件費の割合が減ってきている」とご記載いただいていることから、貴社では売上高人件費率を人件費管理の指標とされていることと推察します。売上高人件費率は、売上高に占める人件費の比率を示しますが、人件費に関係なく変動する可能性があります。例えば、売上高が増加したとき変動費も同じだけ増加して、人件費が増えていなければ、見た目上は売上高に占める人件費の比率が下がるため、売上高人件費率は低下したことになります。そのため人件費管理の指標とすることが最適とは言えません。一方で、労働分配率は、企業の生産活動によって新たに生み出された付加価値に占める人件費の割合を示します。労働分配率が低下する要因は、付加価値が増加したことか人件費などの固定費が減少したことのいづれかということがわかります。計算方法が複雑であること、様々な算出方法がありわかりづらいことなどが理由で労働分配率を把握していない企業も多くあります。労働分配率ではなく売上高人件費率を用いる企業も多くありますが、人件費管理の指標としては労働分配率が適していると考えられます。

(2)労働分配率の計算方法
労働分配率は以下の計算式によって算出することができます。労働分配率にも様々な集計方法があるため、WEB上に公開されている数字と安易に比較することは注意が必要です。算出方法を合わせたうえで労働分配率を算出し比較することが必要です。今回は経済産業省の「企業活動基本調査」で用いられている計算式をご紹介します。

労働分配率=給与総額÷付加価値×100

給与総額=売上原価(人件費、製造原価に含まれる労務費)+販売費及び一般管理費(給料+賞与+役員報酬・賞与+引当金等)

付加価値額=営業利益+減価償却費+給与総額+福利厚生費+動産・不動産賃借料+租税公課

(参照:経済産業省「企業活動基本調査」)

(3)労働分配率の確認
自社の過去データを確認し、労働分配率の推移を確認します。また、同業種や競合他社の労働分配率と比較します。同業種であっても収益構造の違いなどにより一概に比較できるわけではないため注意が必要です。労働集約型であるサービス業などは労働分配率が高い傾向にありますが、設備投資額が高くなる製造業などの業種は労働分配率が低い傾向にあります。

(4)自社の給与水準の確認
ご質問内容に「働き方改革をした結果、社員の残業代が減少し不満が出ている」とありました。そもそも残業代が無ければ生活が苦しくなる給与水準になっていないかを確認する必要があります。また採用や定着に課題を抱えている場合も、競合他社や同業種の給与水準と大きな乖離が無いかをご確認ください。その上で、給与水準自体に問題が見られた場合は、給与水準の見直しをご検討ください。
また、利益分配の役割として多くの会社で業績連動賞与を導入しています。未導入の場合はご検討ください。

(5)人件費シミュレーション
このとき、給与水準を見直したと仮定し、人件費シミュレーションを行います。その結果、どの程度労働分配率が上がるかを分析し、人件費を増加させても問題ない範囲内であれば、社員の労働意欲を高めるための施策として人件費を上げることをご検討ください。

(6)施策の実行
給与水準の見直しにより、一時的に労働分配率は上がりますが、社員の労働意欲を喚起することができ、利益増加に繋げることができれば労働分配率は下がります。労働分配率をコントロールしつつ利益を拡大させることで会社の永続的な成長サイクルを作ることができます。


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人事制度設計 コンサルティング 数千人規模・複数社の制度運用、労務全般業務を経験後、現職
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