育児休業終了後に有給休暇を消化してから退職を希望する社員への対応

育休を取得している職員から「復帰はしません、残っている有給を使用してから退職させてください」と言われたのですがそのようにしなければなりませんか?

回答

具体的な御状況が不明ですので一般的な回答を記載いたします。


法律的には、復帰後に有給休暇を消化することは問題ございません。

育児休業は労働義務が免除される無給の休暇となります。一方、有給休暇は労働義務のある日に対して取得することが前提となっており、その効果として労働義務を免除しつつ有給の休暇となります。

育児休業を明けてから有給休暇を取得する場合、通常の労働の義務のある日に対して、労働義務を免除する有給休暇を取得するという解釈になりますので、有給休暇は取得できることとなります。また、労働基準法により従業員から有給休暇の取得を申し出された場合、取得させなければならないこととなっていますので、会社として一方的に拒否することはできないこととなります。


もし育児休業中に有給休暇を取得したいという場合には、育児休業期間という労働が免除された日がすでに決まっている状況で有給休暇を取得するという解釈になりますので、有給休暇を取得することは出来ません。


ただ、会社として育児休業を取得してもらう趣旨としては、復帰を前提としており、そのために業務の調整や採用活動を行うこともあるかと存じます。育児休業給付金の趣旨としても復帰してまた働こうとする労働者のための給付金という面がございますし、復帰後に有給休暇を取得して退職する申し出などご担当者様としてはすぐさま承諾しづらい面があるかと思います。

ここはやはりご本人様とご相談をなさることがよろしいかと存じます。
ご本人としても、育児休業に入る際には復帰のつもりでも、育児休業中にご家族などが理由で復帰して働くことが出来なくなったなどのご状況の変化がある場合もございます。

ご本人様のご状況とご希望を確認し、もし復帰が可能であれば復帰できる状況を御社として作ることができるか、退職の場合には退職日を復帰日前とするか復帰日でも大丈夫なのか、それともやはり復帰後の退職となるのか、といった調整を行うことが考えられます。退職日が復帰日前とする場合には、育児休業給付金の受給は直近の支給単位までとなりますので、ご本人様へ補足いただいても良いかもしれません。
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