喫煙者の喫煙時間への非喫煙者の不満にどう対応すべきか

現在当社では、喫煙者は1日平均15分程度(1日数回程度)の喫煙時間があり、これを労働時間としていますが、これに対し、非喫煙者から、同じ賃金であるのに不公平であるとの不満が噴出しております。
また、非喫煙者からは、1日1回15分程度のリフレッシュタイムを有給扱いで設定してほしいとの要望が上がっております。
このことについては、喫煙時間は特に制度として認めていないのに、リフレッシュタイムについて特別に設定してしまうと、それはそれで逆の意味で不公平感につながるおそれがあるのではと危惧しています。
リフレッシュタイムを設定すべきでしょうか。

回答

この件を考えるにあたり、まず考えておかなければならないのは、喫煙時間はそもそも労働時間に該当するのかという点です。
裁判例では、喫煙時間は、上司から命令されたり、緊急事態発生時等にはすぐに戻って対応しなければならない場合には、「労働時間」にあたるとされています。
御社においては、現在は労働時間とされており、上述の裁判例からしても、おそらく労働時間と判断されることになると考えられます。

御社従業員から意見としてあがっているリフレッシュタイム(1日15分)については、休憩時間に該当するか否かはさておき、非喫煙者に対しては、権利としてその時間を労働から離れることを保障されることとなり、実質上労働時間より休憩時間に近いものとなってしまいます。
一方喫煙者に対しては、そのような制度はないことになります。
この点に置きまして逆に喫煙者から不満が生じてしまう可能性があると考えます。
また、働かない人に合わせる制度にしてしまうと、会社の業績に悪影響を与えてしまうことになる可能性もあると考えられます。
そのためこのままこのリフレッシュタイム制度を認めるべきではないと考えます。

この喫煙時間問題については、対応は各社様々なものとなっております。

例えば次のようなものがあげられます。

①喫煙時間を休憩時間として設置し、同時に非喫煙者に対しても同じ時間の休憩時間を与える

②非喫煙者に「●●手当」という非喫煙者のみに与えられる手当を設置する

③非喫煙者に通常の年次有給休暇とは別に有給の休暇を与える

いずれも大なり小なり問題がございます。
①については、その時間の労働時間が減少することとなりますので、年間総労働時間や時間外労働単価等に多大な影響を与えてしまうことになります。
②③については、喫煙者なのか非喫煙者なのかという認定の問題が生じることとなります。

何らかの制度を創設するのでしたら、喫煙者、非喫煙者の双方ともに納得のいく公平な制度が望まれます。
例えば健康増進に寄与するような付加的な制度が比較的導入しやすいと思います。
上述の②③もある意味それに該当してくると思いますがもう少し福利厚生的なものや表彰的なものでもよいのかと思います。

とはいえ、新制度は導入せずに、まずは行き過ぎた喫煙時間を取っている者や、喫煙のために能率が悪い者についてきちんと管理し、評価等に影響させることや、逆に非喫煙者、喫煙者に限らず効率よく成果を上げている社員に対しては高評価をつける等についても考える必要があると考えます。
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公開日: 労務管理 勤怠・休憩時間

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