65歳定年退職後に適用される雇用保険給付にはどんなものがある?

当社の就業規則では、定年について、「従業員の定年は満65歳とし、定年年齢に達した直後の賃金締切日をもって退職とする。」としています。

来月、65歳になり定年退職する社員から、雇用保険の給付についての質問がありました。

この社員が受けられる雇用保険の給付は何になるのでしょうか。

回答

退職した後、雇用保険から受けられる給付は、退職が65歳未満であれば「基本手当」の受給となり、65歳以上であれば「高年齢求職者給付金」となります。
ご質問の社員の方は、65歳に達した直後の賃金締切日で退職となりますので、「高年齢求職者給付金」を受給することとなります。

「高年齢求職者給付金」は、離職の日以前1年間に賃金支払基礎日数が11日以上の月が6ヶ月以上あること、積極的に就職しようとする意思といつでも就職できる能力があるにもかかわらず失業の状態にあること、が受給の条件です。
受給は、被保険者期間が通算して6ヶ月以上1年未満であれば基本手当の日額の30日分が、1年以上であれば50日分が一時金で支給されます。一時金ですので、年金との併給調整がありません。
「高年齢求職者給付金」は、離職後、最初にハローワークに休職の申し込みをし、7日間の待期期間を経て支給がされます(最初の手続から約1カ月後に振込みがされます)。
65歳未満の方が受給する「基本手当」と同様、一身上の都合による退職などの理由では、さらに3か月の給付制限期間がありますが、定年退職は、解雇、契約期間満了等と同様に給付制限はありません。

なお、誕生日の前々日までに退職すれば「64歳」での退職となり、「基本手当」を受給することとなります。
こちらは、雇用保険加入期間と離職理由により「基本手当」の所定給付日数が90日から最大330日となります。「基本手当」は一時金ではありませんので、年金との併給調整があります。

「高年齢休職者給付金」は認定日に失業状態にあれば支給され、翌日から就職しても返還の必要がありません。
平成29年1月から、65歳以降に再就職した場合にも雇用保険に加入できるようになりました。
再就職し、雇用保険に加入する働き方をし、6ヶ月以上勤務して退職した場合には、再び「高年齢求職者給付金」が支給されることとなります。

65歳定年をむかえる社員の方々には、これら雇用保険の制度について事前にお伝えすると、その後の生活設計が立てやすいものと思われます。
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公開日: 採用・雇用 高齢者雇用・定年

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