社会保険「4分の3ルール」にどう対処すべきか

短時間勤務者にかかる社会保険の加入については、現行では「1週間の所定労働時間が同一の事業所に使用される通常の労働者の4分の3以上」「1月間の所定労働日数が同一の事業所に使用される通常の労働者の4分の3以上」という両方の条件を満たす場合にと定められているかと思います。

 

当社の正社員は7時間40分/日で週5日(週38.3時間)勤務ですが、先月まで正社員として勤務し、今月より定年再雇用で7時間/日で週4日(週28時間)勤務となった社員がおります。

社会保険は引き続き加入していたのですが、「通常の労働者の4分の3」を単純計算したところ、38.3×3÷4=28.725 となり、加入条件をわずかに下回っております。

この場合、当該社員は社会保険に入れないということになってしまうのでしょうか?

尚、当社は被保険者数が常時500人以下の事業所で、社会保険加入に関する労使の合意はありません。

回答

ご認識の通り、短時間勤務者の社会保険につきましては「1週間の所定労働時間が同一の事業所に使用される通常の労働者の4分の3以上」「1月間の所定労働日数が同一の事業所に使用される通常の労働者の4分の3以上」という両方の要件を満たす場合に加入と定められています。
年金事務所でも、これまでは総合的な状況を鑑みて判断していましたが、平成28年10月1日の改正以降は勤務時間数のみを判断基準とし、「1週の所定労働時間および1月の所定労働日数が常時雇用者の4分の3以上」という要件を満たさない場合は自動的に非加入と判断しています。

ただし、該当の社員の方はこれまで正社員として勤務し、定年再雇用となった経緯もございますので、勤務時間数のみで判断しすぐに喪失となる可能性は低いかと存じます。

いずれにしましても、年金事務所の判断によりますので明確にはお答えできかねますが、今後勤務時間が増えるなど状況が変わる可能性があるのであれば、社会保険の加入要件も踏まえて、ご本人と契約内容の見直しを行う必要がございます、
また、勤務状況は変わらないということであれば、今後の法改正や年金事務所の指導によっては時間数を基準にして判断され、社会保険を喪失することになる可能性もあるということをご本人にご説明いただければと存じます。
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