有休・賞与を「退職金」とできるか

このたび、社員が退職するにあたり、有給休暇残25日をすべて消化してから退職する予定となっていますが、引き継ぎの関係である日付までは出社してもらいたいと考えております。
しかし、そうなると退職希望日までに有給休暇をすべて消化することができない見込みが立っています。
そこで、有給休暇25日分に相当する金額と退職金を合わせて「退職金」として支給できないかと考えております。
また、6月初旬には夏季賞与を支給する予定となっておりますが、その前に退職となるため、この金額も含めて「退職金」としてもよいのでしょうか。

回答

ご質問を以下2点に分け回答させていただきます。

1)有給休暇25日分に相当する金額と退職金を合わせて「退職金」として支給できるか
会社が有給休暇の買取を行うのは有給休暇の趣旨(労働者の心身の疲労を回復させ、労働力の維持培養を図るとともに、ゆとりある生活の実現にも資する)に反して違法ですが、例外的に退職時の買取は違法とされません。
また、退職所得(退職金)として課税される退職手当等とは、「退職しなかったとしたならば支払われなかったもので、退職したことに基因して一時に支払われることとなった給与」と定義されておりますので、退職時に有給休暇を買い取る際は上記に該当するため退職金として処理をすることが正しいということになります。

2)夏季賞与を退職金としてあわせて支給できるか
1)の退職所得の定義に照らしますと、夏季賞与は退職したことに基因して支払われるものではないため、退職所得として処理することは認められません。仮に退職後の支給であっても賞与として処理をして支払うことが必要になります。

そのため支給方法としては、有給休暇25日分と退職金を合わせた「退職金」
として1回、夏季賞与として1回、少なくとも2回に分けての支払い処理となります。源泉徴収票・社会保険料の徴収の計算や届出が異なる点にご注意ください。

なお、有給休暇の買取については、対応したことにより前例・慣例となりますので今後の退職者がもし希望した場合に拒めなくなることも考えられます。その点も考慮して買取を行うのか、退職日を調整してもらうのか等ご判断いただいたほうがよいでしょう。
The following two tabs change content below.
人事実務の専門家集団「社会保険労務士法人人事部サポートSRグループ」のwebメディア。人事制度、採用、労務、HRtech、法改正など旬の人事ニュースを掲載。実務に役立つExcelツールも無料配信中!

最新記事 by SR人事メディア編集部 (全て見る)

公開日: 賞与・退職金

日常業務に関するちょっとした疑問から、コンプライアンス、人事戦略まで、お気軽にご相談ください。

無料労務相談のお申し込みは、以下のバナーからどうぞ!
無料労務相談のお申し込み
PAGE TOP ↑