海外派遣の開始・終了に伴う社会保険手続きの留意点

アメリカの関係会社へ一時的に派遣していた社員を日本に帰任させることとなりました。
当初5年を予定しておりましたが1年早く4年で戻ることとなります。このとき、必要な社会保険手続きとして留意する点はございますでしょうか。
また、中国へ別の社員を数年派遣する予定もございますため、派遣開始時の手続きについてもお知らせいただけますと幸いです。

回答

一時的な海外派遣に関する手続きについて、派遣開始・終了時合わせてご案内します。

1)社会保障協定について
海外で働く場合の年金に関する措置として、「保険料の二重負担防止」「年金加入期間の通算」等の為に、社会保障協定を締結している国がございます。
社会保障協定を締結している国は下記の通りです。
ドイツ・英国・韓国・アメリカ・ベルギー・フランス・カナダ・オーストラリア・オランダ・チェコ・イタリア・スペイン・アイルランド・ブラジル・スイス・ハンガリー・インド・ルクセンブルク・フィリピン・スロバキア・中国

該当の国で一時的(5年以内)に働くこととなった場合には、「社会保障協定厚生年金保険・健康保険・船員保険適用証明書交付申請書」を提出します。
当初予定していた一時派遣終了日より早く日本に帰国した場合は、「厚生年金保険 適用証明期間終了届」を提出します。
このときの一時派遣終了年月日は、海外勤務を終えた日を指します。
各国の協定は多くの点で共通しておりますが、それぞれ対象となる制度等が異なる箇所がありますので、ご状況に合わせて管轄の年金事務所へご相談されることをお勧めいたします。

2)介護保険について
日本に居住しなくなった(転出した)場合は介護保険の適用から外れるため「介護保険適用除外等該当届」、日本に居住するようになった(転入した)場合は「介護保険適用除外等非該当届」を提出します。
適用除外該当年月日は住民票の転出日、適用除外非該当年月日は住民票の転入日となります。
添付書類として住民票の除票が必要となります。

3)労災保険について
海外派遣に伴い労災保険の特別加入者となる場合は、「労働者災害補償保険 特別加入に関する変更届または特別加入脱退申請書」の「特別加入者に関する事項の変更」部分に該当する社員の情報を記載し提出します。
帰国等により海外勤務を終え、特別加入者の資格を失った人がいる場合は、同じ書式の「特別加入者の異動」部分に該当する社員の情報を記載し提出します。移動年月日は海外勤務を終えた日となります。

4)健康保険について
海外派遣を開始・終了する場合の手続きはございませんが、もし必要があれば、海外の医療機関では日本国内と異なり健康保険被保険者証が利用できない旨ご本人にご説明ください。
療養費については、医療費全額を一旦立て替えていただいたのち、診療報酬明細書や領収明細書等とそれらの日本語翻訳文を添付し、改めて健康保険組合や協会けんぽに対して請求していただく必要がございます。
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