雇用契約書は事業所の代表者名で作成しても良いのか

雇用契約書を作成する際の代表者についてお聞きします。

押印の関係で、法人代表ではなく事業所代表で作成をしたいのですが、これは無効でしょうか。

社会保険の事業所登録は法人代表となっているため、揃える必要がありますでしょうか。

回答

論点として考えられるのは
1)会社の代表社印のない雇用契約書は無効にならないか
2)事業所の代表者の印でも会社との契約として足り得るか
の2点と思われます。


まず1点目、そもそも雇用契約書を作成することは法律上義務付けられておらず、記載事項に関しての有効要件はございません。
労働契約法第4条において、「労働契約の内容はできる限り書面により確認する必要がある」旨が規定されておりますが、こちらは労働条件および労働契約の具体的内容を労働者に理解してもらうことを趣旨としております。
「契約を交わした」旨が記載されただけの雇用契約書は会社が任意で作成しているものですので、事業所の代表者名で雇用契約書を作成しても、労働法上の問題はないということになります。

また、雇用契約書に労働条件を記載してこれを労働条件の通知書としている場合について考えますと、労働条件通知書への法定記載事項(労働基準法第15条)に代表者名の規定はございませんので、こちらも問題はないといえるでしょう。


2点目に関しては民法の代理権の規定が問題となります。
結論から申し上げれば、会社から事業所の代表者に対して、事前に雇用契約を締結する代理権を授与、あるいは人事権を付与していれば何の問題もございません。
例えばチェーン店などで、従業員の雇用は本社ではなく事業所に一任しているような状況が挙げられます。
一方、権利のない者を挟んだ契約は無権代理となり、本人(=本件では会社)には効果は帰属致しません。つまり、本人と相手方(=本件では労働者)間での有効な雇用契約とはなりません。(民法113条1項)
最もこの条文は契約の意思のない本人を保護することを意図したものですので、追認をすることで効果を帰属させることもできます。


本件のような会社(本人)の意思で事業所の代表者(代理人)の名前で雇用契約書を作成したいということであれば、「雇用契約書は事業所の代表者の押印であっても、雇用契約の効果は会社に帰属している」と会社、事業所、労働者の3者が認識している体制が整っていることが必要です。
就業規則に権利の所在を明記したり、OO代理OOのように雇用契約書に記載することでトラブルが防げるかと存じます。
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SR人事メディア編集部
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