65歳の誕生日を迎えてからの退職、雇用保険の給付はどうなる?

65歳の誕生日目前で退職を考えている社員がいます。

離職後にもらえる失業給付に何か違いがあったように記憶しているのですが、雇用保険64歳11か月での退職と、65歳を迎えてからの退職ではどのような違いがありますでしょうか。

回答

雇用保険より受給できる基本手当日額は離職時の年齢で異なっており、65歳未満の離職者に対しては、離職の日における年齢、雇用保険の被保険者であった期間及び離職の理由などによって決定され、90日~150日の間でそれぞれ決められます。
(※特定受給資格者、特定理由離職者、就職困難者を除く)
これに対して、65歳以上の離職者には基本手当は支給されません。代わりに被保険者であった期間に応じ基本手当日額の30日分又は50日分に相当する高年齢求職者給付が支給されます。

仮に離職時における雇用保険の加入期間が20年以上とすると、64歳11か月で退職された場合は150日分、65歳で退職された場合は50日分の基本手当日額が受給できることになります。

単純に受給できる基本手当日額の日数だけを比較すると、受給できる最大の金額にかなりの差がありますが、定年退職をした場合と定年退職ではなく自己都合により早めに退職をした場合では、基本手当につき支給制限がかかる事に加え、通常退職金が大きく異なると思います。
また、65歳未満で退職をした場合は28日毎の失業認定日にハローワークに出向き、規定回数の求職活動実績を行わなければ支給されませんが、高年齢求職者給付は1回だけ失業認定を受ければ済むので手間も違います。

老齢厚生年金との関係について、65歳を前後にして調整方法が違います。

・65歳未満の間は、基本手当と特別支給の老齢厚生年金は併給できません。有利な方を選択することになります。なお、加算部分も含めた年金合計額と基本手当との比較となります。
・65歳以後に基本手当を受給する場合、老齢厚生年金と基本手当は併給できます。ただし、併給できるのは基本手当が受給できる期間のみです。
・65歳到達日前に退職していれば、65歳到達日以後に求職の申込みを行い、実際の受給期間が65歳以後になっていても年金との調整は行われません。

その他よくある質問として、退職後の健康保険はどうなるか

本人が国民健康保険に加入する、あるいは退職した企業が加入する健康保険の任意継続被保険者になる、または親族の扶養に入る(配偶者や子など)が考えられます。もちろん退職後に新たに就職し、勤務先にて社会保険に加入することも可能です。(健康保険は75歳、厚生年金保険は70歳まで)

65歳以上の雇用について、法改正が予定されています

「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」(高年齢者雇用安定法)の一部が改正され、令和3年4月1日から施行されます。この改正により、事業主として5つのうちのいずれかの措置を制度化する努力義務が設けられます。また、雇用保険法の一部改正も予定されております。
詳細は下記資料をご参照ください。

70歳までの就業機会確保(改正高年齢者雇用安定法)(令和3年4月1日施行)
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