子供を預けるため保育園へ行く途中の事故は通勤災害と認められるか

共働きでお子さんのいるスタッフが、お子さんを保育園に預けるために通勤途中に保育園に立ち寄っています。保育園は会社に申請している通勤経路とは少し離れたところにあるのですが、もし出社前に自宅から保育園への移動途中に事故にあった場合、通勤災害とは認められないでしょうか。

回答

回答いたします。
結論から言うと、会社に申請された通勤経路と異なる場合であっても、
それが合理的な経路と認められる場合は、通勤災害に認定される場合があります。
なお、実際認められるかどうかは最終的には労働基準監督署の判断になる点ご承知おきください。

まず「通勤」とは、就業に関し、次に掲げる移動を合理的な経路及び方法により行うことをいいます。
(1)住居と就業の場所との間の往復
(2)就業の場所から他の就業の場所への移動
(3)住居と就業の場所との間の往復に先行し、又は後続する住居間の移動
移動経路を逸脱したり中断した場合にはそこで通勤とはみなされなくなります。
しかし、日常生活上必要な行為であって、厚生労働省令で定めるやむを得ない事由により行うための最小限度のものである場合は例外的にそこに行く移動中も「通勤」となります。

ただし、通勤災害と認められるのはあくまで移動中の場合だけです。例えばお子さんを預けに行った保育園の敷地内でケガをした場合は、通勤を中断している最中となるため、経路が合理的なものであっても通勤災害とは認められなくなりますので注意が必要です。

今回の事例の場合は、保育園にお子さんを預けに行くことが「合理的な経路」として認められるかどうかがポイントになりますが、昭和48年11月22日基発644の行政解釈によると、「他に子供を監護する者がいない共稼労働者が託児所、親せき等にあずけるためにとる経路などは、そのような立場にある労働者であれば、当然、就業のためにとらざるを得ない経路であるので、合理的な経路となるものと認められる」とあり、共働きの両親が託児所や親戚等にお子さんを預けに行く場合に合理的な経路と認める見解を示していますので、今回のケースでも認められる可能性があります。

合理的な経路かの認定基準は多様な視点で労基署が判断するものですので、実際にもし事故が発生した場合は、通勤災害の申請を行い判断を仰いでください。
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