人事担当者必見!書類の保管期限について
はじめに
最近は様々な書類のペーパーレス化が進んでいますが、まだまだ人事労務部門においては書類を使う場面が多く、保管しなくてはならない書類はたくさんあるかと思います。
そしてその書類には、それぞれに保管しなければならない期間が決まっています。
人事労務において扱う主な書類について、その保管期間についてまとめてみました。
書類を保管する期間を知り、正しく扱いましょう。
雇用保険に関する書類
雇用保険法施行規則第143条には、
「事業主及び労働保険事務組合は、雇用保険に関する書類(雇用安定事業又は能力開発事業に関する書類及び徴収法又は労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則による書類を除く。)をその完結の日から二年間(被保険者に関する書類にあつては、四年間)保管しなければならない。」と明記されています。
「雇用保険に関する書類」はその完結の日(退職、解雇や死亡の日)から2年保管する必要があるということになります。
人事労務部門でよく見かける「雇用保険の被保険者に関する書類」といえば、資格取得等確認通知書、離職票、休業開始時賃金月額証明書などがあり、こちらはその完結の日から4年保管が必要となります。
労働保険に関する書類
労働基準法109条では、
「使用者は、労働者名簿、賃金台帳及び雇入れ、解雇、災害補償、賃金その他労働関係に関する重要な書類を五年間保存しなければならない。」と明記されています。(経過措置として、当分の間は3年が適用されます。)
労働保険に関する書類はその完結の日から5年保存する必要があるということになります。
主な書類の起算日は以下の通りです。
雇用契約書…退職・解雇・死亡から5年
出勤簿…退職・解雇・死亡から5年
労働者名簿…退職・解雇・死亡から5年
タイムカード…最後の記入日から5年
賃金台帳…最後の記入日から5年
労働保険に関する書類は109条に違反すると30万円以下の罰金になる可能性があります。
労働保険の徴収・納付に関する書類
労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則72条では、
「事業主若しくは事業主であつた者又は労働保険事務組合若しくは労働保険事務組合であつた団体は、法又はこの省令による書類を、その完結の日から三年間(第六十八条第三号の帳簿にあつては、四年間)保存しなければならない。」と明記されています。
労働保険の徴収・納付に関する書類である、成立届、概算保険料申告などは3年保管が必要になります。
労災保険に関する書類
労働者災害補償保険法施行規則51条には、
「労災保険に係る保険関係が成立し、若しくは成立していた事業の事業主又は労働保険事務組合若しくは労働保険事務組合であつた団体は、労災保険に関する書類(徴収法又は労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則による書類を除く。)を、その完結の日から三年間保存しなければならない。」と明記されています。
労災給付の請求書類である、療養補償給付たる療養の給付請求書等などは3年保管が必要になります。
社会保険に関する書類
健康保険法施行規則34条には、
「事業主は、健康保険に関する書類を、その完結の日より二年間、保存しなければならない。」
厚生年金保険法施行規則28条には、
「事業主は、その厚生年金保険に関する書類を、その完結の日から二年間、保存しなければならない。」と明記されています。
社会保険に関する書類はその完結の日(退職、解雇や死亡の日)から二年間保管する必要があるということになります。
社会保険に関する書類には、健康保険(厚生年金保険)資格取得(喪失)確認通知書、被保険者標準報酬決定通知書などがあります。
年末調整に関する書類
年末調整に関する書類は、翌年1月10日の翌日から7年間保管する必要があります。
一般的には書面での保存がされておりますが、従業員から電子データで提出された場合には、会社は電子データのまま保存することを選択することも可能です。
具体的には下記の書類になります。
・給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
・従たる給与についての扶養控除等(異動)申告書
・給与所得者の配偶者特別控除申告書
・給与所得者の基礎控除申告書(令和2年分以降)
・給与所得者の保険料控除申告書
・所得金額調整控除申告書(令和2年分以降)
・退職所得の受給に関する申告書
・公的年金等の受給者の扶養親族等申告書
・給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書
※税務署長からこれらの書類の提出を求められた場合には、提出する必要があります。
(所得税法施行規則 第76条の3、77、77の4、措規18の23、18の23の3)
保存期間が過ぎた文書の扱い
保存期間が過ぎた文書は破棄して問題ありません。
ただし、人事の書類には多くの個人情報が記載されています。情報漏えいをさせないように紙の書類はシュレッダーを使用したり、専門業者に依頼して溶解するなど適切に破棄する必要があります。
まとめ
上記でまとめた保管期限を正しく守るのはもちろんですが、中には様々な個人情報、マイナンバーが記載されているものあり取り扱いには注意が必要です。
保管期限を守り、保管期限を過ぎたら迅速に破棄すると安心でしょう。
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