【令和4年度は7月11日(月)まで】労働保険年度更新が始まっています

今年も労働保険の年度更新時期を迎えました。毎年のことではありますが年に一度の手続きのため手間取ることもあるのではないでしょうか。

そこで今回は、そもそも労働保険とは何ぞや?から令和4年度労働保険年度更新における注意点を解説します。

1.労働保険とは?

労働保険とは労働者災害補償保険(労災保険)と雇用保険の総称です。

 

労災保険は、従業員の通勤中や勤務中のケガや病気等に対して、必要な給付をするための保険制度です。業種・規模を問わず従業員(パートタイマー・アルバイト含む)を1人でも雇ったら成立(加入)手続を行い、労働保険料を納付しなければなりません。

 

雇用保険は、育児休業給付、介護休業給付等の雇用継続給付や教育訓練給付に加え、従業員が失業したときのための給付を行う保険制度です。雇用保険の加入要件を満たす従業員がいる場合に加入します。

 

保険給付はそれぞれ別々に行われますが、保険料の申告・納付等、徴収に関しては「労働保険」として一体のものとして取り扱います。

2.労働保険料とは?

健康保険等の社会保険と同様に労働保険も保険給付を受けるためには保険料を納付しなければなりません。社会保険の保険料は会社と従業員の折半ですが、労働保険の保険料は労災保険が全額会社負担、雇用保険は会社の事業内容によって定められている保険料率と負担割合によって、会社と従業員(雇用保険被保険者)がそれぞれ負担することになっています。

 

労働保険料の額は、原則として以下の計算式により算出されます。
(全従業員に支払った賃金の額(賃金総額))×(保険料率)
※雇用保険は、被保険者以外の賃金は除外されます。

労災保険のメリット制とは?

労働災害(労災)発生リスクは、同一業種であっても事業場の環境等によって異なります。労災保険のメリット制は、一定規模以上の会社について、労災発生リスクに応じた公平な負担になるよう、事業場での労災発生状況に応じて保険料または保険料率を調整することを目的とした制度です。端的に言えば、労災発生率が高ければ保険料は高くなり、反対に発生率が低ければ保険料は低くなります。(言うなれば自動車保険と同じ理屈です)

 

※詳細は厚生労働省パンフレット「令和4年度事業主の皆様へ(継続事業用)労働保険年度更新申告書の書き方」P.15をご覧ください。

https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/000923183.pdf

3.労働保険の年度更新とは?

労働保険料は、4月1日から翌3月31日までの1年間(これを「保険年度」といいます)に支払われる予定の賃金総額を概算して前払いすることになっています。この時納付した保険料はあくまでも概算の金額です。実際に賃金が支払われた後でないと保険料は確定しません。従って、保険料が確定した後、精算する手続きが必要となります。これがいわゆる「労働保険の年度更新」です。

 

原則として毎年6月1日から7月10日までの間に、前年度の確定保険料と今年度の概算保険料をあわせて申告し、保険料を納付します。労働保険に加入している限り、年に1回、必ず更新手続きを行わなくてはなりません。

4.令和4年度の注意点

①年度途中での雇用保険料率変更

令和4年度は雇用保険料率が年度途中の10月で変更になるため、令和4年4月1日~9月30日の概算保険料額と令和4年10月1日~令和5年3月31日の概算保険料額を別々で算出し、その合計額を令和4年度の概算保険料額として申告・納付することになります。それに伴い、都道府県労働局から届く申告書の概算・増加概算保険料算定内訳の⑬保険料率欄には、労災保険率のみが印字され、雇用保険料率は空欄になっています。雇用保険分の概算保険料は、申告書に同封されている「確定保険料・一般拠出金算定基礎賃金集計表」を使用して算出したものを申告書に転記します。

 

尚、厚生労働省の年度更新申告書計算支援ツールでは、令和3年度の確定賃金総額を入力すると自動で令和4年度概算保険料(雇用保険分)の算定基礎額に反映され、雇用保険料率も4月~9月の料率を入力すれば自動的に10月~3月の料率に反映されるので、こちらを利用するのもよいでしょう。

②マルチ高年齢被保険者の賃金算入

令和4年1月1日に施行された雇用保険マルチジョブホルダー制度により雇用保険被保険者(マルチ高年齢被保険者)となった従業員がいた場合、加入日から雇用保険賃金総額を算入する必要がありますので、漏れが無いように注意しましょう。

 

※雇用保険マルチジョブホルダー制度については下記参照
https://media.o-sr.co.jp/news/news-29240/
https://media.o-sr.co.jp/news/news-29582/
https://media.o-sr.co.jp/question/question-30724/

③QA方式の電子申請様式導入

令和4年度の年度更新より、従来の申請書形式の電子申請様式に加えて、新しい電子申請様式「QA方式」が導入されました。QA方式とは、様式の左側に項目名、右側に項目の説明と入力欄が表示される、一問一答形式の電子申請様式のことです。どちらの様式で電子申請するかは申請者が任意に選択することが可能です。

5.まとめ

令和4年度の労働保険の年度更新は例年と計算方法が異なりますので、都道府県労働局から届いたパンフレットや厚生労働省HPできちんと確認したうえで対応するようにしましょう。ご不明な点、ご心配な点等ありましたら、弊社までお気軽にお問い合わせください。

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