コロナに負けるな!~part2~助成金を活用しよう
ニュース等で連日のように取り上げられている「雇用調整助成金」。新型コロナウイルス感染症対応のため、休業等の対応を余儀なくされている企業・事業主の方にとっては是非とも活用したい制度ではないでしょうか。そこで今回は雇用調整助成金の最新情報をまとめました。
※当記事は2020年5月21日現在のものです。最新の情報は厚生労働省ホームページよりご確認ください。
目次
1.雇用調整助成金とは?
雇用調整助成金は、景気の変動、産業構造の変化その他の経済上の理由により、事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、一時的な雇用調整(休業等)を実施することによって労働者の雇用の維持を図った場合に、労働者に支払った休業手当に要した費用の一部が国によって助成される制度です。
そもそも労働者の雇止めや解雇を防ぐための助成金ですので、労働者の雇用維持を図っていなかったり、休業手当を支払っていない場合は助成金は受けられません。
2.新型コロナウイルス感染症拡大防止にかかる特例措置について
4月1日~6月30日までの3か月間は緊急対応期間として、雇用調整助成金の特例措置が実施されています。特例措置の内容は以下の通りです。
①支給対象となる事業主
新型コロナウイルス感染症の影響を受ける事業主(全国、全業種)
事業所設置後1年未満の事業主も申請可能
風俗関連事業者も限定なく対象
労働保険料の滞納、労働関係省令違反により送検処分を受けていても申請可能
②生産指標
前年同月比5%以上減少
③雇用量要件の撤廃
最近3か月の雇用量が対前年比で増加していても申請可能
④クーリング期間の撤廃
過去に雇用調整助成金を受給したことがある事業主について、前回の支給対象期間の満了日から1年を経過していなくても申請可能
⑤対象労働者
雇用保険被保険者でない労働者の休業も対象
新規学卒採用者など、雇用保険被保険者として継続して雇用された期間が6か月未満の労働者についても対象
⑥助成率の引き上げ
中小企業4/5、大企業2/3
※解雇等を行わない場合は中小企業9/10、大企業3/4
◇中小企業が下記要件を満たす場合は、助成率100%
都道府県知事の休業または営業時間の短縮の要請に協力して休業等を行っている事業主で、労働者に対して100%の休業手当を支払っている、もしくは上限額(1人1日あたり8,330円)以上の休業手当を支払っている場合(支払率60%以上の場合に限る)
◇休業要請を受けていない中小企業でも、解雇等を行わず、支払率60%超の休業手当を支給する場合は、60%を超える部分については助成率100%
⑦教育訓練を実施した場合の加算額の引き上げ
中小企業2,400円、大企業1,800円
自宅でインターネット等を用いた教育訓練も対象
半日教育訓練と半日就業も可能
⑧支給限度日数
過去の受給日数に関わらず支給限度日数まで受給可能
緊急対応期間は1年間100日、3年で150日とは別に支給
⑨計画届
計画届の提出不要
⑩短時間休業
事業所内の部門、店舗等施設毎の休業も対象(但し、部門、施設毎に一斉に行われる必要あり)
⑪残業相殺
休業等から時間外労働等の時間を相殺して支給すること(残業相殺)を停止
⑫休業規模要件
休業等の延べ日数が対象労働者に係る所定労働日数の1/40(中小企業)、1/30(大企業)以上に緩和
3.申請方法(休業の場合)
緊急対応期間は計画届が不要になりましたので、支給申請のみの手続となります。
①申請に必要な書類
小規模事業主(従業員がおおむね20人以下の会社や個人事業主)と小規模事業主以外、また雇用保険被保険者と雇用保険被保険者以外で申請書類の様式が異なります。
<小規模事業主>
雇用保険被保険者
1.雇用調整助成金支給申請書(様式特小第1号)
2.支給申請書 別紙 助成率確認票(様式特小第1号 別紙)
3.休業実績一覧表(様式特小第2号)
4.支給要件確認申立書(雇用調整助成金) (様式特小第2号)
※1~4の様式は厚生労働省ホームページからダウンロード可能です。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyouchouseijoseikin_20200410_forms.html
5.生産指標の低下が確認できる書類
・売上簿、営業収入簿、会計システムの帳票、レジの月次集計など
・休業した月と1年前の同じ月の2か月分必要
※2回目以降は提出不要
6.休業させた日や時間がわかる書類
・タイムカード、出勤簿、シフト表など
・休業日について「休業又は帰休」と表示されていることが必要(全日休業でなければ時間数も記載)
7.休業手当や賃金の額がわかる書類
・給与明細の写しや控え、賃金台帳など
・休業日に支払われた手当(休業手当)と通常労働日(就労日)に支払われた賃金、手当等と区分して記載していることが必要
・初回のみ判定基礎期間とその前3か月の計4か月分、2回目以降は判定基礎期間の1か月分
8.役員名簿(役員がいる場合)
・性別・生年月日が入っているもの
※事業主本人以外に役員がいない場合や個人事業主の場合は提出不要
9.通帳又はキャッシュカードの写し
・口座番号やフリガナの確認ができる部分
※2回目以降は提出不要
10.所定の労働日・労働時間・休日や賃金制度の確認のための書類
・就業規則、賃金規定
・常用労働者が10人未満で就業規則がない場合は、雇用契約書など
雇用保険被保険者以外
◇1~4の申請書類は「緊急雇用安定助成金」と記載されているものを使用
◇5~10については雇用保険被保険者と同じ
※参考 小規模事業主向け「支給申請マニュアル」
雇用調整助成金支給申請マニュアル~休業編~(雇用保険被保険者)
https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000631986.pdf
緊急雇用安定助成金支給申請マニュアル(雇用保険被保険者以外)
https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000631528.pdf
<小規模事業主以外>
雇用保険被保険者
1.雇用調整助成金(休業等)支給申請書(様式特第7号)
2.雇用調整事業所の事業活動の状況に関する申出書(様式特第4号)※初回のみ提出
3.支給要件確認申立書・役員等一覧(様式特第6号)
4.助成額算定書(様式特第8号)
※休業の最終日が令和2年4月7日までと4月8日以降で様式が異なりますのでご注意ください。
5.休業・教育訓練(実績)一覧表(様式特第9号)
※1~5の様式は厚生労働省ホームページからダウンロード可能です。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyouchouseijoseikin_20200410_forms.html
6.休業協定書
7.事業所の規模を確認する書類
8.生産指標の低下が確認できる書類
9.休業手当・賃金の実績に関する書類
10.労働・休日の実績に関する書類
11.所定労働日・労働時間・休日や賃金制度の確認のための書類
雇用保険被保険者以外
1.緊急雇用安定助成金支給申請書(様式第2号(1))
2.休業実施事業所の事業活動の状況に関する申出書(様式特第1号(2))※初回のみ提出
3.支給要件確認申立書・役員等一覧(様式第3号)
4.緊急雇用安定助成金 助成額算定書(様式第2号(2))
5.休業計画・実績一覧表(様式第1号(3)・様式第2号(2))
◇6~11は雇用保険被保険者と同じ
※参考 雇用調整助成金ガイドブック(簡易版)(4月24日現在版)
https://www.mhlw.go.jp/content/000625731.pdf
雇用調整助成金FAQ(5月11日現在版)
https://www.mhlw.go.jp/content/000625730.pdf
②申請先
1)事業所の所在地を管轄する都道府県労働局またはハローワーク(持参もしくは郵送)
2)オンライン申請
※現在、システム不具合発生のため、稼働延期中
③申請期限
令和2年8月31日
(新型コロナウイルスの影響を受けて休業を行った場合で、支給対象期間の初日が令和2年1月24日~5月31日までの休業に限る)
4.問い合わせ先
特例措置の内容や申請に関する詳細は下記へお問い合わせください。
・都道府県労働局・公共職業安定所(ハローワーク)
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_10702.html
・学校等休業助成金・支援金、雇用調整助成金コールセンター
0120-60-3999 ※受付時間 9:00~21:00(土日・祝日含む)
・厚生労働省公式LINEアカウント
友だち追加用リンク https://lin.ee/qZZIxWA
5.まとめ
4月1日~6月30日までの緊急対応期間は雇用調整助成金の申請手続が大幅に簡素化され、事業主の申請手続の負担がかなり軽減されています。これを機に雇用調整助成金を活用してみてはいかがでしょうか。
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