新型コロナウイルスによる一時帰休実施での定時決定(算定)

新型コロナウイルスの影響で、社員を休業させ休業手当を支給している会社は多くあると思います。
通常の給与額より少なく支給している会社も多いのではないでしょうか。

休業手当を支給している場合、定時決定、随時改定にはどのような影響がでるのでしょうか。
今回は、その休業手当を支給している場合の定時決定、随時改定について説明していきます。

 

1.定時決定とは

毎月、給与から社会保険料(健康保険料や厚生年金保険料)が徴収されます。その社会保険料は標準報酬月額から計算されています。

 

実際に受ける報酬と、すでに決められている標準報酬月額との間に大きな差が生じないよう、毎年1回、事業所に使用される被保険者の報酬月額を届け出て、各被保険者の標準報酬月額を決定することを定時決定といいます。

 

給与額は昇給・減給や、月給から時給に変更、残業などにより変化するので、標準報酬月額と実際の報酬額に差が出ないようにし、給料と保険料のバランスをとらなければなりません。

 

(1)対象となる人

5月31日までに資格取得をし、7月1日現在、雇用しているすべての被保険者。

 

(2)対象とならない人

①6月1日以降に資格取得した被保険者
②6月30日以前に退職した人
③7月に月額変更届・産前産後休業終了時変更届・育児休業等終了時月額変更届を提出する人
④8月に月額変更届・産前産後休業終了時変更届・育児休業等終了時月額変更届を提出する人
⑤9月に月額変更届・産前産後休業終了時変更届・育児休業等終了時月額変更届を提出する人

※8月改定または9月改定の月額変更等に該当しない場合は、その時点で算定基礎届を提出する必要があります。

 

(3)報酬月額の算定方法

・一般の被保険者の場合

  支払基礎日数 算定方法
1 3カ月すべて17日以上 すべての月が対象
2 1カ月または2カ月が17日以上 17日以上の月が対象
3 3カ月すべて17日未満 従前の標準報酬月額を引き継ぐ

 

・パートタイム労働者の場合

  支払基礎日数 算定方法
1 17日以上が1カ月以上 17日以上の月が対象
2 3カ月すべて17日未満 15日以上17日未満の月が対象
3 3カ月すべて15日未満 従前の標準報酬月額を引き継ぐ

 

・短時間労働者の場合

  支払基礎日数 算定方法
1 11日以上が1カ月以上 11日以上の月が対象
2 3カ月すべて11日未満 従前の標準報酬月額を引き継ぐ

 

2.一時帰休とは

使用者側の理由により一定期間就業が困難な場合に、企業在籍のまま一時休業させることをいいます。

休業とは、労働者がその事業所において、所定労働日に働く意思と能力があるにもかかわらず、労働することができない状態をいいます。

 

労働意思のない場合(有給休暇取得)、休日などは休業には該当しません。

労働基準法26条では、「使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の100分の60以上の手当を支払わなければならない」とされています。

 

3.一時帰休の定時決定

 

一時帰休による休業手当等が支払われた日も、支払基礎日数に含まれます。

一時帰休による休業手当等が支給された場合の定時決定では、7 月 1 日の時点で一時帰休が解消しているか否か で定時決定の算定対象月が変わります。

 

<一時帰休による休業手当等が支給された場合の定時決定等の例>
  4 5 6 7 8 9 定時決定の算定対象月 随時改定月
1 5・6月
2 従前等級で決定
3 7月改定
4 4・5・6月
5 8月改定
6 4・5・6月
7 9月改定

 

〇:通常の報酬が支給された月
☆:一時帰休解消
●:一時帰休による休業手当等が支給された月
★:一時帰休未解消

(1)7月1日に一時帰休の状況が解消している場合の算定

7月1日に一時帰休が解消しているとは、「7月1日現在、特定の従業員と事業主の間で一時帰休を解消する旨の合意が既になされているなど、7月1日以降休業される見込みがないことが保険者側で判断できる場合は、解消しているものとして取扱う。」とあるように、7月1日に一時帰休が今後ないと判断できる状況にあることとなります。

 

休業手当等を除いて標準報酬月額を決定する必要があるため、通常の給与を受けた月における報酬の平均により、標準報酬月額を算出します。上記表のケース1~2です。
4月、5月、6月の3か月間で、6月のみ休業手当を受けていた場合、4月、5月の平均のより、「9月以降において受けるべき報酬として」標準報酬月額を算出します。
この3カ月間すべての月において休業手当を受けていた場合は、直近の標準報酬月額により、算定を行います。

 

標準報酬月額を決定にあたり、一時帰休が解消されていたため休業手当を含まない報酬で定時決定を行い、その後再び一時帰休となった場合は、定時決定の訂正ではなく、随時改定に該当するか否かを判断することとなります。

 

(2)7月1日に一時帰休が解消していない場合の算定

上記表の、ケース3~7が一時帰休未解消のケースです。
休業手当の支払い有無にかかわらず、通常の算定と同じように、4月、5月、6月支給給与にて、算定を行い、月額変更に該当する場合には、7月改定、8月改定、9月改定となります。

 

(3)7月1日に一時帰休が解消されていなかったが、9月1日までに解消された場合

既に提出した算定基礎届を取消し、4月・5月・6月のうち一時帰休 による休業手当等を受けた月を除き、残りの報酬月額の平均で提出して いただくことになります。

 

4.一時帰休による随時改定(月変)

 

一時帰休に伴い、就労していたならば受けられるであろう報酬よりも低額な休業手当等が支払われることとなった場合、固定的賃金の変動とみなし、随時改定を判断することとなります。

 

被保険者を一時的に休業させる一時帰休では、1か月の間に一時帰休による休業手当が 1 日でも支払われていれば、一時帰休の月として扱います。さらに、一時帰休のため、継続して3か月を超えて通常の報酬よりも低額の休業手当等が支払われた場合は、固定的賃金の変動とみなし、随時改定の対象となります。

 

「継続して3か月を超えて」ですので、休業手当が2か月だけ支払われ、次の月は通常の報酬が支払われた場合には、随時改定の対象となりません。
一時帰休が解消され、継続して3か月を超えて通常の報酬が支払われる場合も、随時改定の対象となります。

5.Q&A

① 休業手当が支払われた日は支払基礎日数に含まれますか。
⇒含まれます。

 

② 休業手当は賃金に含みますか
⇒算定の金額に含めます。

 

③ 一時帰休中に休業手当の割合が基本給の6割から8割に変更した場合は、随時改定の対象となりますか
⇒対象となります。

 

④ 一時帰休によって通常の報酬よりも低額な休業手当を受けることとなりましたが、一時帰休中に固定的賃金の増減がありました。固定的賃金の変更月から随時改定の判断となりますか。
⇒一時帰休中に固定的賃金の増減があった場合、休業手当はその固定的賃金の変動を適切に反映しているとは言えないため、一時帰休が終了して通常の給与支払いに戻った月以降3カ月の平均報酬月額により随時改定を判断します。

 

⑤ 一時帰休により休業手当を支給していますが、時給者、月給者の基本給は100%支給しています。これは「低額な休業手当等」に該当しないとなりますか。
⇒100%であれば該当しません。

 

⑥ 一時帰休により休業手当を支給していますが、基本給の100%を支給しています。ただし、通勤手当の支給はしていません。この場合は、「低額な休業手当等」が支払われている場合になりますか。
⇒通勤手当は就労していたならば受けられるべき報酬ですので、「低額な休業手当等」に該当いたします。

 

⑦ 一時帰休により休業手当を支給していますが、基本給の100%を支給しています。残業はありませんので、残業手当の支給はありません。この場合は、「低額な休業手当等」が支払われている場合になりますか。
⇒残業手当については時間外労働を行った場合に初めて受けられる報酬であり、就労していたならば受けられるべき報酬ということではないため、「低額な休業手当等」には該当しません。

 

6.まとめ

いかかでしたしょうか。
新型コロナウイルスの影響で通常の定時決定、随時改定の手続きとは大きく異なります。
定時決定を行う際に混乱しないためにも、早めの対策をしておきましょう。

 

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宮尾 雄太

大規模企業の給与計算や社会保険手続き業務の仕事に従事しています。人事業務に活かせる情報を発信していきます。趣味はゴルフです。

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