【3月】労務情報まとめ 改正新型インフルエンザ等対策特別措置法/個人情報保護法の改正案/「身元保証契約」の見直し 他
国内外で新型コロナウイルスの感染が広まっています。首都圏でも公共交通機関を使って通勤していた会社員が新型コロナウイルスに感染していたことが判明するなど、誰もがいつどこで感染してもおかしくない状況になりました。
新年度に向けて繁忙真っ只中という方もいらっしゃるかとは存じますが、今年はさらに気の抜けない状況が続いています。
3月の法改正情報をお送りいたします。
目次
改正新型インフルエンザ等対策特別措置法成立
新型コロナウイルスの急拡大に備える改正新型インフルエンザ等対策特別措置法が 3月13日の参院本会議で可決・成立し、14日に施行されました。
【改正新型インフルエンザ等対策特別措置法の要旨】
・2012年に成立した新型インフルエンザなどを対象と規定する特措法に、コロナウイルス感染症を暫定的に追加
・期間は施行日から2年を経過するまでの間。
・国民生活や経済に甚大な影響を及ぼすと判断された場合、緊急事態宣言を宣言できる。
・首相が緊急事態を宣言した場合、知事は以下を要請可能。
①外出自粛
②学校や映画館等の施設使用制限
③臨時医療施設を解説するための土地使用
④食料・医療物資等の民間への売り渡し
<<参考URL>>
内閣官房 所管法令(新型インフルエンザ等対策特別措置法等)
新型lコロナウイルス拡大による内定取り消しに対する政府の要請
厚生労働省によると、政府は就職を控えた大学生が企業からコロナウイルスが原因で内定を取り消されたケースを1件把握しており、今後、内定取り消しを検討する企業が相次ぐおそれがあるとしています。
政府はこれを防ぐための最大限の努力に加え、やむを得ず内定を取り消したり、入社時期を遅らせたりする場合には、対象者の就職先の確保や補償の要求に誠意を持って対応することを求めています。
また、厚生労働省では、企業や学生に向けてリーフレットを発行するなど、コロナウイルス感染症に伴う内定取り消し防止のための働きかけを行っています。
<<参考URL>>
厚生労働省
個人情報保護法の改正案を決定
政府は3月10日、個人情報保護法の改正案を閣議決定しました。
個人が企業に対して個人情報の利用停止を請求できる権利が拡大した他、データ開示要求の際、本人が希望した場合は電磁的記録も選択可能になるなど、新たに企業が対応する必要のある規定が盛り込まれています。
一方、「仮名加工情報」など個人が特定されない形で企業がデータを分析に使いやすくする新たな制度も設けており、個人情報の保護と活用の両面を見据えた運用を課題としています。
2020春季生活闘争 第1回回答集計結果
日本労働組合連合会から、2020春季生活闘争の第1回回答が3月13日に公表されました。
【概要】
・第1先行組合の回答ゾーンである今週(9 日~13 日)多くの組合が賃金引上げを確保
・平均賃金方式で回答を引き出した組合の組合員加重平均は、5,841 円・1.91%(昨年同期比 812 円減・0.25 ポイント減)
・有期・短時間・契約等労働者の賃上げは、加重平均で時給30.49円(同2.95円増)、月給で5,710 円(同1,089円増)
・「働き方の見直し」については、長時間労働是正にむけた勤務間インターバル制度の導入やインターバル時間の延長、同一労働同一賃金の実現にむけ、手当の創設や労災補償の適用などの回答が引き出されている。
<<参考URL>>
日本労働組合連合会
2020年4月施行の改正民法施行に伴い、「身元保証契約」の見直しを
2020年4月施行の民法改正により、「個人保証人の保護強化」を目的に、極度額(上限額)の定めのない個人の根保証契約は無効になります。
これにより、企業において採用時に交わされる身元保証契約においても、2020年4月以降は賠償の極度額(上限額)を定める必要が生じます。
企業においては、上限額をどう設定するか等、制度の見直しを行うこととなりますが、現行の制度自体が形骸化しているケースもあります。身元保証制度に何を求めるかを含めて見直しを行いましょう。
<<参考URL>>
法務省「民法(債権関係)の改正に関する説明資料」
「年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律案」
年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律案が3月3日に閣議決定され、国会に提出されました。
【概要】
・被用者保険の適用拡大
・在職中の年金受給の在り方の見直し
・受給開始時期の選択肢の拡大
・確定拠出年金の加入可能要件の見直し等
その他、国民年金手帳から基礎年金番号通知書への切替えや、未婚のひとり親を国民年金保険料の申請全額免除基準等に追加するなどが挙げられています。
2020年4月から特定の法人について電子申請が義務化されます
行政手続コストを削減するための電子申請の利用促進を図る取組の一環として、2020年4月から社会保険・労働保険に関する一部の手続きの電子申請が義務化されます。
今回対象となるのは特定の要件を満たす法人のみですが、政府は昨年12月に「デジタル・ガバメント実行計画」を閣議決定しており、2024年度中には国の行政手続きの9割を電子化する方針です。
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