<2019年最新版>年末調整業務の”よくある”Q&Aをまとめたみた

 

企業の給与担当者にとっての一大イベント年末調整の時期となりました。そろそろ各社申告書の配布を進めている頃かと思います。某芸能人T氏の税金申告漏れが大きく取りざたされていますが、税金をきちんと申告し納めることは国民の義務。ということで間違いなく年末調整計算を実施するために、よくある質問をご紹介!今のうちに確認しておきましょう。

 

<扶養控除等申告書 編>

Q 複数の会社から給与をもらっている従業員がいます。どの会社で年末調整を行うべきなのでしょうか?


A 年末調整は主たる勤務先で行います。一番多く給与をもらってるところに申告書を提出し、年末調整を行うのが一般的ですが、従業員本人の選択になりますので確認しましょう。

 

 

Q 記載を誤ってしまい訂正する場合、従業員に訂正印を押してもらう必要があるのでしょうか?


A 法律上訂正印は必須ではありませんので会社でルールを決めてご対応ください。

 

 

Q 年の途中で、配偶者と離婚した社員がいます。当年については離婚までは扶養をしていましたが、離婚した配偶者を扶養(控除対象配偶者)として申告できますか?


A 申告できません。申告年の12月31日時点が基準となりますので、それまでに離婚した場合(12月31日に離婚した場合も含みます)は、控除対象配偶者とする事はできません。

 

 

Q 従業員が扶養している母親が障害年金を受給していると言っています。この場合障害年金は収入(所得)として申告書に記載してもらえばいいのでしょうか?


A 障害年金は収入には含まれません。この他に、遺族年金、雇用保険失業給付、傷病手当金、出産手当金、育児休業給付金も収入には含めませんので記載してもらう必要はありません。

 

 

Q  従業員が扶養している両親(70歳以上)と二世帯住宅に住んでいます。同居老親として申告することが可能ですか?


A 両親と食事等の日常生活を共にしている場合には、『同居老親』として申告することができます。

 

 

<保険料控除申告書 編>

Q 添付してもらう保険料控除証明書はコピーでもいいのでしょうか?


A 原本の提出が必要です。(複数個所に提出して控除を受けることのないように)

 

 

Q 保険料控除証明書が保険会社より届かないと言っている従業員の申告はどうしたらいいですか?


A 生命保険会社発行の『保険料控除証明書』がない場合、控除申告できませんので、至急契約されている保険会社に確認してもらってください。保険会社より届く「お知らせ」等、申告額が分かるものをひとまず添付して頂き、後程控除証明書が届き次第提出をしてもらう対応でも問題ありませんが、最終的に必ず保険料控除証明書の回収・確認が必要です。

 

 

Q 従業員が添付してきた保険料控除証明書を確認したところ配偶者の名義でした。これは申告に入れていいのでしょうか?


A 実際に保険料を納付しているのが従業員本人であれば申告可能です。

 

 

Q 年の途中で離婚した従業員の生命保険契約の受取人が元妻のまま変更されていませんでした。この場合は申告ができるのでしょうか?


A 生命保険料控除の対象となるのは、その保険金等の受取人の全てが、自分もしくは配偶者その他の親族である保険契約のみです。これは保険料等を支払った時の状態で判断されるため、離婚するまでに支払った保険料は申告できますが、離婚後に支払ったものは申告できません。速やかに他のご家族に受取人を変更してもらいましょう。

 

 

Q 今年、昨年分の国民健康保険の保険料を支払ったということで記載してきた従業員がいます。今年分でない健康保険料でも申告できるのでしょうか?


A 申告できます。保険該当年度ではなく、支払った年に申告ができますので記載してもらって問題ありません。

 

 

<住宅借入金等特別控除申告書 編>

Q 今年住宅を買った従業員がいます。住宅借入金等特別控除を受けるにはどうすればいいのでしょうか?


A 今年分(初年度)については確定申告により控除を受けることができます。年末調整では対応がありません。

 

 

Q 従業員が税務署から送付された「給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」を紛失してしまいましたが控除は受けれないのでしょうか?


A 従業員の納税地(原則として住所地)を所轄する税務署で「年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金等特別控除関係書類の交付申請書」を提出することにより、再交付を受けることができます。

 

 

Q 転勤した従業員が持ち家を他人に賃貸中です。住宅ローンは支払っていますがこの場合は控除を受けることができますか?


A 控除を受けることはできません。控除を受けることができるのは『その家屋に入居後、本年12月31日まで引き続き居住の用に供している人』のみです。(他人に貸しているのではなく、生計を一にする親族が引き続き居住している場合は控除を受けることができます。)

 

 

<その他>

Q 前職から源泉徴収票を送ってもらえないと言っている従業員がいます。この場合は仕方ないので前職分給与等は合算せずに年末調整していいでしょうか?


A 別の会社から支払を受けた給与を含めて年末調整を行う必要がありますので、前職の源泉徴収票で給与額等が確認できない場合年末調整を行うことはできません。従業員に前職に再度依頼するように伝え、それでも出してもらえない場合は税務署への相談を勧めましょう。

 

 

Q 従業員から寄付控除・医療費控除を行いたい、と相談がありました。年末調整でどう反映したらいいのでしょうか?


A 寄付控除も医療費控除は年末調整では対応できません。確定申告を行っていただく必要があります。

 

 

まとめ

年に1度の年末調整、「去年やったから」とはいえ1年前のことはなかなか覚えていないもので、例年似たような問い合わせが来てしまうのは仕方がないことだとは思います。しかし都度担当者や各税務署に問い合わせるのは時間が惜しいです。特にこの時期の税務署はなかなか電話が繋がりにくい傾向にありますし。。

そういう時のために、事前に会社で「こういう時はどうすれば?」というルールを決めておき、従業員にも周知させることが重要です。これから年末調整が本格化する会社様については、問い合わせの対策を準備されることをお勧めします。

 

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