【採用活動行う前に】労働契約法で抑えるべきポイント

昨今、入社して3年以内に離職する方たちは約3割ほどに上るそうです。1年を通じて、募集から試験、面接などを行いようやく新入社員として迎えた方も3割は3年以内にいなくなってしまう。社員の採用単価が40~50万円かかると言われるこの時代、新卒の数も少子化の影響でどんどん少なくなっています。そんな新入社員の方と会社を結ぶ最初のルールが労働契約です。そのルールが間違っていれば新入社員にとって会社に対して不信感を与える最初のきっかけになってしまいます。何事も始めが肝心です。ここではその最初のルール、労働契約に関して色々と見ていきましょう。

1 労働契約法とは

労働契約に関してはその名の通り労働契約法という法律が定められています。目的として第1条にこう書かれています。

この法律は、労働者及び使用者の自主的な交渉の下で、労働契約が合意により成立し、又は変更されるという合意の原則その他労働契約に関する基本的事項を定めることにより、合理的な労働条件の決定又は変更が円滑に行われるようにすることを通じて、労働者の保護を図りつつ、個別の労働関係の安定に資することを目的とする。

一番大事なポイントとして労働者及び使用者が対等の立場における合意に基づいて労働契約を締結、または変更すべきだということを述べています。労働基準法第2条にもほぼ同様な内容が書かれています。それだけ、この対等な立場における合意というものが大切であるということです。どうしても労働者が弱い立場になり、使用者が強い立場になることが往々にしてあり、それによって個別労働関係紛争(労働条件その他労働関係に関する事項についての個々の労働者と事業主との間の紛争)が起こることが年々増加していたことがこの条文の背景にはあります。

2 労働契約の5原則

野球をしていて、表の攻撃が3アウトチェンジなのに裏の攻撃になると5アウトチェンジになる。サッカーをしていて、一方のチームだけが全員手を使えるようになる。そんな不公平なルールは誰が見ても明らかですが、労働契約に関してはなかなか不公平なポイントというのは分かりづらいものです。それは当事者にしか分からないものだからです。使用者と労働者の2人しか把握していない場合、労働者側がおかしいと思っても使用者側がこれが普通だ、と言い張ってしまえば納得せざるを得ないものです。そのおかしいと思った事が積もり積もって離職の道へと進んでしまいかねません。そうならないために労働契約法第3条には労働契約の原則として次の5つが定められています。

1 労使対等 労働契約は、労働者及び使用者が対等の立場における合意に基づいて締結し、又は変更すべきものとする。
2 均衡考慮 労働契約は、労働者及び使用者が、就業の実態に応じて、均衡を考慮しつつ締結し、又は変更すべきものとする。
3 仕事と生活の調和への配慮 労働契約は、労働者及び使用者が仕事と生活の調和にも配慮しつつ締結し、又は変更すべきものとする。
4 信義誠実 労働者及び使用者は、労働契約を遵守するとともに、信義に従い誠実に、権利を行使し、及び義務を履行しなければならない
5 権利濫用禁止 労働者及び使用者は、労働契約に基づく権利の行使に当たっては、それを濫用することがあってはならない。

労働契約とは押し付けるものではありません。お互いが守るルールを決めるわけですからどちらか一方が有利になったり、不利になったりするようなものではいけないという事です。どちらも納得ができるルールを決めるには、話し合わなければなりません。最初からルールを決めておくことも大切ですが、個々人によって柔軟な対応をしていく事が重要です。

3 労働契約は書面だけ?

せっかく決めたルールも、確認ができなければ意味がありません。言った言わないという不毛な話を避ける為にもルールを決めたのであればお互いにそれを確認できるようにすることが大切です。労働契約法の第4条には労働契約の提示について次のように定めています。

使用者は、労働者に提示する労働条件及び労働契約の内容について、労働者の理解を深めるようにするものとする。第2項 労働者及び使用者は、労働契約の内容(期間の定めのある労働契約に関する事項を含む。)について、できる限り書面により確認するものとする。

2019年4月の法改正によって労働条件通知書をFAXやメールなどの方法で交付することができるようになります。労働者側の意志や希望が必要であること、書面に印刷できること、受信を特定の者に限ること、などの所要要件はありますが、今までは書面でしかできなかった物がようやくデジタルの扱いができるようになるわけです。雇用契約書に関してはお互いにサインする必要があるものですが、電子署名などでも締結できるので労働者側が希望すればの話にはなりますが紙を使わずとも労働契約を締結し、条件通知をすることができるようになるわけです。

4 労働契約の内容の変更について

ルールを決めたとしても、それが一生の物である事はほとんどありません。様々な理由があり当初の労働契約の内容を変更しなければいけない、という事もよくあります。当然、原則として使用者は、労働者と合意することなく、就業規則を変更することにより、労働者の不利益に労働契約の内容である労働条件を変更することはできません。ただ次の要件を満たせば、使用者は就業規則の変更により労働条件を変更することができます。

1 変更後の就業規則を労働者に周知させること
2 就業規則の変更が、労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況、その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なものであること

この合理的、という部分については最終的に誰が判断するのかといえば争いになり、裁判で争ったときにそれを裁く裁判官ですから明確にこのラインまで、という話は個々の状況に置いても簡単にできることではありません。過去の判例から推測するしかないわけです。この辺りの話についてはまた別の機会にでもお話しようかと思います。同意を得ることなく、契約内容の変更をすることは簡単ではない、という事を分かっていただければ結構です。だからこそ、なんとなくで最初の契約内容を決めてしまってはいけないという事につながってくるわけです。

5 まとめ

新入社員のモチベーションを高め、生産能力を引き出すのは簡単な事ではありません。入社してからどんな教育をするか、誰の元で働かせるかは皆さんよく考えられる事だと思いますが、そもそもそれより先に重要なポイントがあるのかもしれません。労働契約の中身も当然大事ですが、労働契約の結び方も大事なファクターの一つです。今一度御社の労働契約を見直してみるのはいかがでしょうか?プロの社労士チームが採用から運用まで幅広くサポートしております。詳しくは下のリンクからどうぞ。

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深谷 健太

社労士でありながらシステム系もできる人間になるため日夜努力中。労働基準法関連の動向を気にしながら、社会保険手続き等の業務に携わっている。休みの日はゲームばかりしている。

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