【4人に1人以上】高齢者の雇用に関するあれこれ

年々増加する高齢者。平成29年10月1日時点で65歳以上人口は、3515万人となり、総人口に占める割合(高齢化率)も27.7%という高い水準になっており超高齢化社会と言われております。今後、定年や年金受給の年齢が65歳から70歳、さらにその上と上がっていく事はほぼ既定路線といっても過言ではないでしょう。そんな中で人事の世界においては、高齢者の雇用に関する制度をきちんと理解しておかなければなりません。今後も法改正が進むであろう高齢者の雇用に関する法律を簡単にですがご紹介したいと思います。

1 高年齢者とは

高齢者の雇用に関する法律は高年齢者雇用安定法という法律が定めています。この法律の第一条にはこう記されています。

この法律は、定年の引上げ、継続雇用制度の導入等による高年齢者の安定した雇用の確保の促進、高年齢者等の再就職の促進、定年退職者その他の高年齢退職者に対する就業の機会の確保等の措置を総合的に講じ、もって高年齢者等の職業の安定その他福祉の増進を図るとともに、経済及び社会の発展に寄与することを目的とする。

ここでいう高年齢者とは一体何歳のことかというと55歳以上の方をいいます。イメージだと60歳や65歳を想起される方も多いかもしれませんが、法律上では55歳以上の方から高年齢者という枠組みで捉えられています。また高年齢者等というのは

  • 中高年齢者(45歳以上の者)である求職者
  • 中高年齢失業者等(45歳以上65歳未満の失業者等)の事を指します。

    2-1 定年を定める場合の年齢

    法の第8条で定められているのが定年を定める場合の下限です。これは有名かもしれませんが60歳を下回る定めをすることができないと法律で定められています。ただ一部高年齢者が従事することが困難であると認められる業務として厚生労働省令で定める業務に関しては60歳を下回る定年を定めることができます。昔では努力義務として企業側にできるだけ60歳を下回らないようにしてくださいと国側がお願いする形でしたが平成10年の法改正によって60歳を下回らないことを義務づけるようになりました。また、65歳を下回る定年を定めている事業主はその雇用する高年齢者の65歳までの安定した雇用を確保するため次のいずれかの措置を講じなければなりません(義務)。

    1.当該定年の引き上げ
    2.継続雇用制度(現に雇用している高年齢者が希望するときは、当該高年齢者をその定年後も引き続いて雇用する制度をいう。)の導入
    3.当該定年の定めの廃止

    おそらく一番多く定められているのは2番の継続雇用制度かと思われます。以前では労使協定によって、この継続雇用制度の対象者を限定(例えばある一定の役職以上の者だったり勤続年数〇年以上などです)することができましたが、平成25年の改正によってこの限定をすることができなくなりました。つまり、希望する人は全員継続雇用させなければいけないという事です。但し、平成37年までの間は経過措置として以下のように定められています。
    平成25年3月31日までに継続雇用制度の対象者を限定する基準を労使協定で設けている場合

    平成28年3月31日まで 61歳以上の人に対して 継続雇用の対象者を限定する基準が適用できる
    平成31年3月31日まで 62歳以上の人に対して
    平成34年3月31日まで 63歳以上の人に対して
    平成37年3月31日まで 64歳以上の人に対して

    あくまでも平成25年3月31日までに労使協定を結んでいる場合ですので今から労使協定を結べばどうにかなる、という話ではありませんがまだこういった措置が設けられているという事は覚えておくと良いかもしれません。また、これに違反した場合にはどうなるのか。まずは行政からの指導・助言または勧告が行われます。そのうえで従わなかった場合は企業名を公表されることになります。厚生労働省のホームページや新聞などでここの会社は助言、勧告に従わない会社ですと言われてしまうということです。

    2-2 継続雇用制度の対象者が雇用される企業の範囲

    継続雇用制度があるからとは言え、同じ会社内で引き続き雇い続けなければならない、というものでもありません。この継続雇用制度には事業主が特殊関係事業主との間で、事業主が雇用する高年齢者がその定年後に雇用されることを希望する者を特殊関係事業主が引き続いて雇用することを約する契約をして、その契約に基づいてその高年齢者の雇用を確保する制度が含まれるのです。特殊関係事業主というのはいわゆるグループ企業などを思い浮かべて頂ければ問題ありません。Aという会社がBという会社の親会社だとして、Aで働いていた高年齢者を定年後はBで雇う事を予め定めておけばこの継続雇用制度を導入しているという判断になるという事です。もちろん、細かい数字の取り決め(議決権所有割合など)もありますがここでは割愛します。つまり、同一事業主の元で雇い続けなければならないという事ではない、という事だけ分かって頂ければ問題ありません。

    3 高年齢者が離職する場合の措置

    高年齢者が離職する場合においても事業主が講じなければならない措置もあります。

    再就職援助措置 事業主はその雇用する高年齢者等が解雇(自己の責めに帰すべき理由によるものを除く。)その他これに類するものとして厚生労働省令で定める理由により離職する場合において、当該高年齢者等が再就職を希望するときは、求人の開拓その他当該高年齢者等の再就職の援助に関し必要な措置を講ずるように努めなければならない。
    多数離職の届出 事業主はその雇用する高年齢者等のうち5人以上の者が1か月以内の期間に解雇等により離職する場合には、多数離職届を当該届出に係る離職が生ずる日の一月前までに当該事業所の所在地を管轄する公共職業安定所長に提出することによって行わなければならない。
    求職活動支援書の作成 事業主は解雇等により離職することになっている高年齢者等が希望する時はその円滑な再就職を支援するため、当該高年齢者等の職務の経歴、職業能力その他の当該高年齢者等の再就職に資する事項及び事業主が講ずる再就職援助措置を明らかにする書面を作成し、当該高年齢者等に交付しなければならない。

    このように高年齢者が会社を辞める時でも、条件に合致すれば様々な事をする責任や義務を事業主は負っているのです。

    4 その他年齢に関する事

    定年ではなく雇い入れでも同様に年齢に関わる決まり事があります。そもそもは雇用対策法によって事業主は労働者の募集及び採用について、年齢に関わりなく均等な機会を与えなければならないこととされ、年齢制限の禁止が義務化されました。そのうえでこの高年齢者雇用安定法の第20条では次のように定められています。

    事業主は、労働者の募集及び採用をする場合において、やむを得ない理由により一定の年齢(65歳以下のものに限る。)を下回ることを条件とするときは、求職者に対し、厚生労働省令で定める方法により、当該理由を示さなければならない。

    この理由は、客観的に見て合理的な理由でなければならず、合理的でないと判断されればその年齢制限自体が無効とみなされてしまう事もあります。

    5 まとめ

    今回は簡単に高年齢者雇用安定法に関してお話しました。今後少子高齢化は加速度的に進むという予測があるように、労働力も減少していってしまうのかもしれません。ただ、若い方にはない高齢者の方が持つ経験やスキルをうまく活かすことのできる業務も今は中々ないというのが現状なのではないでしょうか?適材適所という言葉があるように、それぞれ自分の力が一番発揮できる環境を作ることも人事の仕事なのではと私は考えます。ですから、先の事と思わず将来の為に今の内から就業規則や労使協定の内容を見直したり、何かアクションを起こしてみるのはいかがでしょうか?高年齢者以外の事でももちろん事業を運営する上で悩んだり分からなかったり相談したい事がおありであれば、ぜひ弊社へお問い合わせください。

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    深谷 健太

    社労士でありながらシステム系もできる人間になるため日夜努力中。労働基準法関連の動向を気にしながら、社会保険手続き等の業務に携わっている。休みの日はゲームばかりしている。

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