会社でインフルエンザを移されたら業務災害になる?知っておきたい冬の労災3選!

 

寒さと乾燥の厳しい季節となりました。
天候の崩れに引きずられて体調を崩している方も多いのではないでしょうか。

 

それでも休めないと無理をした結果、思わぬアクシデントに見舞われてしまうということもあるかと存じます。

 

 

外での業務中に路面凍結が原因で怪我をしてしまったら?
天候不良で普段とは異なるルートで通勤した際に起きた事故は?

会社でインフルエンザを移されたら?

 

 

今回はそんな冬に起こりがちなアクシデントに関して、労災が認められるか否かについてまとめました。

 

 

↓夏の労災に関してはこちらの記事をご覧ください↓
飲み会帰りの事故でも労災?知っておきたい夏の労災事例4選!】

 

 

1. 配達業務中に路面凍結のため転倒

 

 

 

Aさんはバイクでの配達業務の最中、凍った路面の上で転倒してしまった。
頻繁に注文を受ける家への配達であり、転倒のあった日も普段の配達で利用しているルートを通っていた。

 

 

本件は業務中に起きた災害ですので、業務災害にあたるか否かが争点となります。
業務災害は労働基準法第75条に規定されております。

 

 

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労働基準法
第七十五条 労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかつた場合においては、使用者は、その費用で必要な療養を行い、 又は必要な療養の費用を負担しなければならない。
2 前項に規定する業務上の疾病及び療養の範囲は、厚生労働省令で定める。
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業務災害が認められるためには、業務によって負傷又は疾病にかかることが必要とされます。
つまり、労働者の負傷・疾病と業務との間に因果関係がなければ業務災害とは認定されません。
業務時間内に起きた事故であれば必ず業務災害にあたるということではない、という点が重要となります。

 

では、かかる労働者の負傷・疾病と業務との間の因果関係が認められるために、着目するポイントはどこになるでしょうか。

それは、業務遂行性業務起因の2つです。

 

 

業務遂行性とは業務を行っている最中に負傷疾病が起きたということ、
業務起因性とは業務を原因として負傷疾病が起きたということです。
この2点を両方満たしていなければ業務災害は認められません。

 

業務遂行性と業務起因性は具体的にどのような場合に認められるかというと、本件のように業務を遂行している最中に、業務を原因として負傷したというような場合が一般的です。
ですので、本件は業務災害にあたると考えられます。

 

 

業務災害を起こさないためにできること

 

 

しかし、労働者としても労災を申請することに抵抗がある方もいるかと存じます。

それは負傷・疾病した本人の意識によって防げた事故ではないかと感じるから。

 

労災の認定につき本人の過失の有無は要件ではございませんが、やはり防げる事故であるならば防ぎたい、更には防ぐべきであると考えられます。

 

 

そこで職場内で事故が起きそうだった瞬間をヒヤリハット事例として共有して再発防止に努めるなど、業務災害防止策(リスクアセスメント)を講じることが推奨されています。

事故の起きやすい季節だからこそ、事故を起こさないためのより一層の意識をもって、労使一貫となった業務災害防止策を講じていきましょう。

 

 

では、業務外かつ社外での労災事例はどうでしょうか。
たとえば天候不良により通常とは異なるルートで通勤した場合は労災と認められるでしょうか。

 

 

2. 雪道など歩きにくい道を避けた先で起きた事故

 

 

 

 

Bさんは普段の通勤経路として利用している路線が、降雪により運転休止であったため、振替運転を利用することとした。

その結果、普段は利用しない駅のホームで転倒し、足首を捻挫した。

 

 

本件は通勤中に起きた災害ですので、通勤災害にあたるか否かが争点となります。
労働者災害補償保険法の補償対象となる「通勤」の定義は以下のように規定されております。

 

 

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労働者災害補償保険法 第七条
2  前項第二号の通勤とは、労働者が、就業に関し、次に掲げる移動を、合理的な経路及び方法により行うことをいい、業務の性質を有するものを除くものとする。
一  住居と就業の場所との間の往復
二  厚生労働省令で定める就業の場所から他の就業の場所への移動
三  第一号に掲げる往復に先行し、又は後続する住居間の移動(厚生労働省令で定める要件に該当するものに限る。)
3  労働者が、前項各号に掲げる移動の経路を逸脱し、又は同項各号に掲げる移動を中断した場合においては、当該逸脱又は中断の間及びその後の同項各号に掲げる移動は、第一項第二号の通勤としない。ただし、当該逸脱又は中断が、日常生活上必要な行為であつて厚生労働省令で定めるものをやむを得ない事由により行うための最小限度のものである場合は、当該逸脱又は中断の間を除き、この限りでない。
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通勤災害と認められるためには以下の3つの要件が必要となります
①業務の性質を有しない就業に関する移動を
②合理的な経路および方法により行い
③通勤経路を逸脱又は中断していないこと
本件のような事例ではこれらの要件を満たしていると言えるでしょうか。

 

やむを得ない迂回も”通勤”の範囲に含まれるのか

 

結論から申し上げますと、本件のような事例では通勤災害が認められます。

 

 

先述した要件に関し、①業務の性質を有しない就業に関する移動については、本件では条文中の「住居と就業の場所との間の往復」に当てはまると考えられます。

また、③通勤経路の逸脱とは途中で就業とは関係のない寄り道をした等の状況を指します。
就業場所から自宅への帰り道で飲み屋に寄る、といった状況が挙げられます。

 

本件では普段と通勤経路は異なるとはいえ、一貫して就業の場所に移動しているという状況であれば逸脱はないと考えられます。

 

 

さて、争点となりそうなのは②合理的な経路および方法であるかですが、合理的な経路とは必ずしも最短経路とは限りません。
合理性な判断は距離はもちろん、かかる金額や利用のしやすさなど総合的になされます。

また、人身事故や悪天候が理由で運転見合わせとなり振替乗車した場合なども、普段利用している通勤経路でなくとも合理的であると判断されます。

 

 

本件は就業に関する移動中に逸脱なく合理的な通勤経路を利用しておりますので、労災の対象となることとなります。

 

 

3. インフルエンザの流行

 

 

Cさんはインフルエンザにかかってしまった。1人暮らしで自家用車で通勤をしているCさんは、繁忙期ということもあり数週間は社外の人と接触する機会はあまりなかったが、つい先日オフィスで隣の席の同僚がインフルエンザと判明したばかりである。

 

 

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労働基準法施行規則別表一の二

六 細菌、ウイルス等の病原体による次に掲げる疾病
1 患者の診療若しくは看護の業務、介護の業務又は研究その他の目的で病原体を取り扱う業務による伝染性疾患
2 動物若しくはその死体、獣毛、革その他動物性の物又はぼろ等の古物を取り扱う業務によるブルセラ症、炭疽病等の伝染性疾患
3 湿潤地における業務によるワイル病等のレプトスピラ症
4 屋外における業務による恙虫病
5 1から4までに掲げるもののほか、これらの疾病に付随する疾病その他細菌、ウイルス等の病原体にさらされる業務に起因することの明らかな疾病

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労働基準法施行規則別表一の二において、労災補償の対象疾病の範囲を定めておりますが、その中にウイルスの感染も労災の対象として挙げられているため、インフルエンザの感染も労災として認定される可能性はございます。

 

 

しかし一般的にはいくら忙しくとも買い物に出ることもあれば、通勤電車にも乗ります。
車両通勤であってもガソリンスタンドに行くことはあります。
風邪や感染症は誰から移されたか特定は難しいため、本件のような事例では労災認定が認定される状況は極めて限られており、「業務で新型インフルエンザの研究をしていて、職場から1週間一歩も外に出ることができず、かつ当該新型インフルエンザにかかった」というような状況が必要となります。

 

 

 

4. おわりに

 

いかがでしょうか。

冬に起きやすい労災事例についてご確認いただけましたか。

 

飲み会での労災事例については夏の労災の記事に記載がございますので、そちらをご覧いただければ幸いです。

負傷・疾病が増えやすい年の瀬ですが、体調管理をしっかりとしていきましょう。

 

 

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Ari

Ari

大学では主に民事法について学んでいました。現在は社会保険手続きや給与計算業務に携わりながら、業務効率化のためのツールを開発しております。趣味は読書。某小さくなった名探偵マンガの主人公の書斎を再現することが夢です。
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