遅刻ばかりのアルバイトから、罰金はとれますか。法律上の減給ルールを教えて!

会社で働くには、規律を守るのが当たり前です。正当な理由の無い遅刻や欠勤が社会人としての評価を下げるのは当然でしょう。特に無断欠勤、遅刻などは会社に迷惑がかかります。それを防止するため、「遅刻したら半日ただ働き」とか、「3回遅刻したら1日分減給」というようなルールを採用している会社などでは、実際に働かなかった時間以上に収入が減るという場合もあります。「働いた分以上に賃金が惹かれるのは労働基準法違反じゃないの?」なんて感じる人もいるでしょう。果たして、会社が遅刻や欠勤に対して減給による罰金を課すことは労働基準法上の違法行為となるのでしょうか?

1.減給とは

減給とは、社員のお給料を下げることを意味します。減給の理由としては、懲戒、降格人事、会社の経営難のことです。それでも、減給を実施する際、必ず労基法(労働基準法)に基づいて行わないといけません。

 

2.事前通知は必須!

減給を実施する前に、社員に知らせる必要があります。事前通知がない社員への減給は、パワーハラスメントや不当処分となる場合が少なからずあるので、事前通告を忘れないようにしてください。

 

3.減給になる3つの理由

3.1懲戒処分

一般に知られているのは、社員が企業側に不利益を被り、不適切な行為を行った場合です。不利益、不適切の判断は、就業規則で行います。就業規則に書かれていないことは、社員が不適切な行動でも、企業側では処分できないので、注意が必要です。

「あの社員はいつも遅刻や無断欠勤が多いから、減給処分にしたい」という相談も多々あるのですが、就業規則に度重なる遅刻や無断欠勤は、減給に処すと書かれていない場合、減給処分にすることができません。

3.2降格人事

降格は、人事の評価の上で、役職を下げること、責任を外すことに対して、給料も下がる結果です。

3.3会社の経営難

会社の経営難による減給は、やむを得ず社員全員の給料を下げることです。しかし、会社の経営、業績により、給料を下げることはあまり聞いたことがありません。

注意してほしいのは、会社が何も対策していないで経営難となったことによる社員への減給は、不当になるということです。

 

4. 遅刻、欠勤による減給

人事相談の多いものは遅刻や無断欠勤の場合、懲戒処分として減給ができるかどうかについてのことです。

実は遅刻や無断欠勤は、就業規則に書かれていない場合は、減給することはできません。すでに、欠勤控除されていますから、働いていない分の給料は払っていません。

なお、遅刻や無断欠勤での減給は、懲戒処分によるものと分類されます。懲戒処分が理由での減給は、就業規則に則って行われるので判定基準がないものに、減給処分は下せません。

4.1事前通告なし又は社員に同意が得られていないもの

減給は、懲戒処分によるものであろうと、降格人事であろうと、経営難であろうと社員への事前通告が義務化されています。事前通告なしの減給や、また通告はしたものの本人からは同意が得られていない減給は、不当となります。

4.2職権濫用による会社都合によるもの

事前通告なしではなく、いきなり社員に明日から減給というお知らせも不当です。会社の勝手な都合での減給はできません。場合によっては、職権乱用にもつながるので、注意してください。

4.3事前通告の仕方

減給の通告は、ビジネス文章で可能ですが、問題はその文書の書き方です。理由によっては、異なってくるので、詳しく見ていきましょう。

該当者には減給される1ヶ月前に通告することが一般的です。減給を事前通告するタイミングは労働基準法では定められていませんが、トラブルにも発展しやすいので、大体1ヶ月前に、相手に余裕を持って知らせ、本人もそれに対する準備をすることができますので、配慮をしていると言えます。

次に告知する際の形ですが、まず面談の形を取るのが好ましいです。減給の告知も、会社としての正式な場です。相手にとって、失礼にあたらないように、きちんと面談で、減給とそうなった経緯及び理由を相手に納得するように伝えてください。

その後、その話の内容を文書で渡すといいでしょう。

4.4減給の限度額

労基法(労働基準法)による減給の扱いによる限度額にも書いてあります。

労基法による上限金額は、『減給の1回の額が、平均賃金の1日分の半額を超えることはできない』及び『減給の総額が、一賃金支払期における賃金の10分の1を超えることができない』となります。

簡単に言うと、減給1回の額が1日の労働時間の半額を超えてはいけないことと、一賃金全支払期とは、1ヶ月分の給料の総額なので、その10分の1を超えないことを言います。

 

まとめ

減給をするとき、労働基準法と会社の就業規則を参考しながら、慎重に使ってください。会社の管理をしながら、社員に不当なことをしてしまわないようにご注意ください。

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