新卒一括採用はやめるべき!

就活がスタートして約1カ月が経ちましたね。2年連続で就活スケジュールが変更になり、普段採用に関わる人以外にも新卒採用のあり方を考えさせる年となりそうです。中には、新卒一括採用は日本の古き悪習だ。欧米を見習ってやめるべき、という意見もあります。

 

そこで今回は、新卒一括採用はなぜするのか、そして新卒一括採用をやめたらどうなるのか改めて考えてみました。やめた際のメリットデメリットを挙げてみることで新卒一括採用とは何か、その目的をもう一度考えるきっかけになればと思います。

 

まず新卒一括採用とはどういうものか定義してみると、「企業が卒業予定の学生(新卒者)を対象に年度毎に一括して求人し、在学中に採用試験を行って内定を出し、卒業後すぐに勤務させること」こういう風に言えると思います。

これを踏まえて新卒一括採用のポイントを3つ挙げることができます。

「年度毎に一定の期間で募集、選考する」

「対象は在学中の学生」

「卒業後すぐに勤務させる」

 

では、新卒一括採用をやめるということはどういうことか。新卒採用活動を下記の3つを満たした採用活動に置き換えることになります。

 

採用期間を年毎に区別しない → 通年採用

採用対象を在学中の学生に限定しない → 既卒採用

入社時期を卒業直後に限定しない → 入社時期の自由化

 

 

○新卒一括採用をやめた場合の企業側のメリット

 

1, 多様な人材の獲得の可能性が広がる

採用対象、採用期間、入社時期が限定されている新卒一括採用では採用できなかった層へのアプローチができるようになります。

具体的な例として下記のような人たちが挙げられるでしょう。

 

•海外留学などで一般的な就職活動期間に就職活動ができない人

•既卒

•9月卒業の学生など、4月入社の条件にあてはまらない人

 

 

○新卒一括採用をやめた場合の企業側のデメリット

 

1, 採用の長期化によりコストの増加。

新卒一括採用では、学生が就職活動をする機関が決まっています。

もし一括採用がなくなり通年採用になった場合、学生の就職活動期間、そして企業の採用活動期間もバラバラになります。

自社への応募者を募り候補者を集め、選考する労力・コスト共に、一括採用よりも高くなるでしょう。

 

2, 教育コストがかかる

新卒一括採用で入社した社員は即戦力ではありません。新卒採用は育成を基本としています。当然、入社後に教育研修の時間が必要になりす。新卒一括採用では入社時期は4月と決められているので、教育を一度に効率的に行うことができます。もし入社時期がバラバラになれば、1人あたりの教育コストは高くなるでしょう。

 

○学生への影響

 

これまでは企業側の視点で見てきましたが、学生側の視点でも考えてみましょう。新卒一括採用をやめた場合、学生にとって何がメリットデメリットになるのか挙げてみました。

メリット

•自分のタイミングで就職活動ができる。

•就職前に留学するなど、長期的な活動の自由度が高くなる

デメリット

•複数の企業を同時に比較検討しづらくなる

•企業採用枠が減る場合、就職できる人が少なくなる可能性も。

 

ここまでメリットデメリットを挙げてきましたが、新卒一括採用は若者の成長を重視した採用の形だといえます。新卒一括採用をやめた場合、学生も企業も自由度が増し、多様な人材と巡り合う可能性が高まる反面、採用にかかるコスト増加や長期化といった問題は出てきそうです。

ちなみに新卒一括採用は世界で見ても稀で、欧米では新卒一括採用はなく、基本的には中途採用同様に即戦力採用です。多くの学生が在学中や卒業後にインターン等を通してスキルを身につけたあと就職面接に臨むらしいのですが、職歴のある候補者を上るのは容易ではありませんよね。それにより、若年層の失業率が問題になっています。また、こういった即戦力採用は、人ではなく職務に給与が支払われる職務給主義の考えが根本になっています。

こういった、「教育を前提としない即戦力採用」や「職務給主義」など、日本とは異なる考えや文化がある中で、単純に日本の新卒一括採用は古い、欧米を見習えとは言えないですね。どのような採用の形が日本の成長、そして若者の成長につながるか、今一度考えてみましょう。

The following two tabs change content below.
人事実務の専門家集団「社会保険労務士法人人事部サポートSRグループ」のwebメディア。人事制度、採用、労務、HRtech、法改正など旬の人事ニュースを掲載。実務に役立つExcelツールも無料配信中!

最新記事 by SR人事メディア編集部 (全て見る)


公開日:

日常業務に関するちょっとした疑問から、コンプライアンス、人事戦略まで、お気軽にご相談ください。

無料労務相談のお申し込みは、以下のバナーからどうぞ!
無料労務相談のお申し込み
PAGE TOP ↑