交渉に勝つ!バトナ思考とは何か?
交渉とは、特定の問題について相手と話し合い、取り決めをすることです。
ではその目的は何でしょうか?相手の利害に浸るだけの取り決めでよいのでしょうか?
なんのために取り決めが必要なのでしょうか?
それは、放っておけば自分に損害が生じうる、あるいは得られるであろう利益を享受できない場合に、交渉する必要があるのではないでしょうか。その利害の対象は金銭や時間に限らず、共に戦う仲間かもしれません。
交渉を英語に直せばnegotiateとbargainになります。英語のnegotiateには上手く切り抜けるという意味もあり、bargainは「値引きする」、「値引きさせる」という意味すらあります。
上手な交渉は自分の利害と相手の利害をうまく調整し、欲しいモノを手に入れられます。
今回は瀧本哲史の『武器としての交渉術』を参考にしながら、「最強の武器『バトナ』を使いこなせ」を紹介しようと思います。
バトナとは「Best Alternative TO a Negotiated Agreement」の略語で、相手の提案に合意する以外の選択肢のなかで、いちばん良いものという意味になります。
たとえばぼったくりのお店しかはいることができなければ、ぼったくりのお店に入るorお店に入らないという選択肢しかありません。お店に入らないわけには行かない人にとっては、いやいやでもぼったくりにあうことでしょう。しかし、良心的なお店を見つけることができれば良心的なお店にも入れますし、赤字覚悟でセールをやるお店があれば赤字セールのお店にだって入れます。どの店を選ぶのかは本人次第ですが、選択肢が多ければ多いほど最適な選択肢にたどり着きやすくはなります。
このバトナがあると、選ぶ側にとってはとても有利な交渉ができます。本文を借りれば、「交渉相手に、私はあなたと合意しなくても別の良い選択肢があるので、それよりも良い条件でなければ合意しない」と宣言できるようになるのです。また逆に言えば、複数の選択肢がなければ交渉に同意せざるを得なくなるため不利な状況になります。
バトナの考え方は自分のみならず相手の立場を考える上でも有効です。
相手が自分との交渉以外にバトナをもっていれば、自分との交渉が決裂したとしても何も響きません。しかし一方で自分との交渉以外にバトナを持っていなければ、自分との交渉を決裂させまいとして、こちらからどんな条件をだそうとも相手はそれを飲まざるを得なくなります。※この考えを応用すれば、自分が交渉を有利に働かせるためには、相手が最もバトナを失っている時(もしくは新しいバトナを手にするのが難しい時)を狙うほうが良いことになります。
実際に相手に働きかける時は相手のバトナの状況を分析する必要があります。分析するには相手の話しをたくさん聞いて、たくさん提案することが大事です。そうしないと「実は他にもっと良い案件があるんですよね」と言われてしまい、交渉を飲んではくれません。分析を経れば、後はバトナの提示です。「あなたはこちらの提案に乗らなかった場合、こういう選択肢がありますよね。しかし、その選択肢よりも私の提案のほうがあなたにとって有利ですよね」と提示するのです。また自分のバトナについても、予め調べて多くを用意しておけば交渉決裂時のリスクを減らすことができます。
さらにこうした相手のバトナの分析と自分のバトナの準備という作業を、相手も同様にするという前提で交渉に行かねばなりません。つまり、相手はこちらのバトナを詮索してくるし、その解釈に基づいて交渉に迫ってきます。大事なことは、自分のバトナが相手にどう映っているのかです。相手からは強気の交渉をさせないためにも、自分がバトナを豊富にもっているように見せかけることも大事です。
以上がバトナについての説明ですが、ここで誤解を恐れずに簡単に私なりに解釈してみました。要はバトナ思考とは、相手の足周りを分析し「こちらの要求に乗らなければどうなると思いますか」と問いかけることなのではないでしょうか。それを声の大きさや力によってではなくて、論理や情報によって行うことがバトナ思考の交渉になるのではないでしょうか。
最後までお読みいただきありがとうございました。
16年新卒内定者の五十嵐潤が担当しました。
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