海外業務で労災保険適用はされる?

海外で業務をした際に業務中にケガや病気をした場合、労災保険の適用はされるのでしょうか?

回答

国内で業務をしていた方が海外で業務をするケースはさまざまなものがありますが、大きく区分すると、「海外出張」の場合と「海外派遣」の場合が考えられます。

海外での業務が「海外出張」として取り扱われる場合には国内での災害と同様に労災保険給付を受けることができます。
一方で「海外派遣」とみなされる場合には、海外派遣者として特別加入をしていなければ労災保険給付を受けることができません。

労災保険の適用については、法律の一般原則として属地主義がとられているため、国内の事業からの「出張」の場合には労災保険の対象となりますが、海外の事業に「派遣」され、その事業に使用される場合には労災保険の対象となりません。

なお、海外「出張」に当たるか海外「派遣」に当たるのかは、海外における勤務期間の長短によって判断されるのではなく、その労働者の海外における労働関係によって判断されます。したがって、例え海外での勤務が長期にわたる場合でも、国内の事業場の指揮命令に従って業務に従事している場合には海外出張となりますし、海外の事業場に所属して、その事業場の指揮命令に従って業務を行う場合などは、海外派遣とみなされることになります。

海外出張と海外派遣のケースを一般的に例示すると次表のようなものとなります。
●海外出張の例
1.商談
2.技術・仕様等の打合せ
3.市場調査・会議・視察・見学
4.アフターサービス
5.現地での突発的なトラブル対処
6.技術習得等のために海外に赴く場合

●海外派遣の例
1.海外関連会社(現地法人、合弁会社、提携先企業等)へ出向する場合
2.海外支店、営業所等へ転勤する場合
3.海外で行う据付工事・建設工事(有期事業)に従事する場合(統括責任者、工事監督者、一般作業員等として派遣される方)
<神奈川労働局_労災保険の特別加入制度(海外派遣者)について【労働保険徴収課】>
https://jsite.mhlw.go.jp/kanagawa-roudoukyoku/hourei_seido_tetsuzuki/rousaihoken-tokubetukanyuu_202004.html

但し、業務事情によっては海外出張か海外派遣かの判別が困難の場合もないとは言い切れませんので、そのような場合には万全を期す上でも所轄の労働基準監督署にご相談の上で特別加入有無の判断をされる事をお勧めいたします。
The following two tabs change content below.
人事実務の専門家集団「社会保険労務士法人人事部サポートSRグループ」のwebメディア。人事制度、採用、労務、HRtech、法改正など旬の人事ニュースを掲載。実務に役立つExcelツールも無料配信中!

最新記事 by SR人事メディア編集部 (全て見る)

公開日: 労働保険手続き

日常業務に関するちょっとした疑問から、コンプライアンス、人事戦略まで、お気軽にご相談ください。

無料労務相談のお申し込みは、以下のバナーからどうぞ!
無料労務相談のお申し込み
PAGE TOP ↑