海外赴任中の従業員の配偶者が出国する場合の扶養手続の留意点は?

弊社に海外赴任をしている従業員(65歳未満)がいて、その配偶者(20歳以上60歳未満)は現在国内に居住しております。配偶者は別会社で働いており、健康保険・厚生年金保険に加入しているようです。

その配偶者が近々退職をする(また出国をして非居住にもなる)ようで、弊社従業員は扶養に入れたいとのことです。弊社加入の健保組合に問い合わせをしたところ、扶養に入れられることが確認できました。年金についても通常通り、第3号被保険者として手続きができるということでよかったでしょうか?

回答

 既に海外赴任をされている従業員がいて、被扶養者となる方が後から出国する今回のケースでも、「外国に赴任する被保険者に同行する者」という海外特例要件に該当します。また20歳以上60歳未満の配偶者が健康保険上の被扶養者になるということで、第3号被保険者にも該当しますので、「第3号被保険者関係届」を日本年金機構に提出することになります。
 
 ここで留意すべき点は、出国する(非居住者となる)日と別会社を退職する日の時系列となります。すなわち、配偶者の方は現在、厚生年金保険に加入しているため、国民年金の第2号被保険者となり、出国しても当然に資格を喪失するわけではありません。➀退職後に出国するか➁出国後に退職するか③退職と出国が同時なのか、という点が重要となります。
 「第3号被保険者関係届」は第3号被保険者になった日と海外特例要件に該当した日が一緒であれば1枚の提出で事足りますが、各日が異なる場合は各々の日付を記載した書類を提出しなければならないため注意が必要となります。

 つきましては、下記を参考にして、従業員の方に改めて詳細な事実関係を確認の上、必要書類のご案内をしていただければと思います。

➀退職後に出国
→第3号被保険者になった日と海外特例要件に該当した日は異なるため「第3号被保険者関係届」を2枚、提出しなければならない。

➁出国後に退職、③退職と出国が同時
→第3号被保険者になった日と海外特例要件に該当した日は一致するはずなので「第3号被保険者関係届」を1枚、提出すればよいことになります。
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