非課税通勤手当を介して、各分野における、給与を考えてみる

ある社員から、自身の基本給を保険料額表と照らしてみたところ、給料から天引きされている社会保険料(健康保険・厚生年金保険)の金額が高い(等級が違う)ような気がする、との問い合わせを受けました。保険料の金額が誤っているのでしょうか?

回答

 健康保険・厚生年金保険の料額は、基本給等の固定給的金額を、保険料額表の「報酬月額」に照らし該当した「標準報酬月額」に基づき決定することになります。この「報酬」には、通勤手当も対象となります。いわゆる基本給のみで他に各種手当がない社員から、上記のような質問があった場合は、通勤手当を合算しないで「報酬」を考えている可能性がありますので、確認をしてみましょう。

上記の「報酬」では、課税・非課税での取り扱いに違いはなく、非課税分の通勤手当も含まれることになります。

 労働保険の分野に目を向けると(ここでは特に「賃金」と表現されます)、「賃金」においても通勤手当の課税・非課税の区分は関係なく、どちらも「賃金」に含めます。労災保険料や雇用保険料を計算する際に計算の対象になるように、注意が必要です。
 例えば、給与計算で課税部分の金額だけで雇用保険が計算されていないか?、普段使用しない給与項目をイレギュラー的に使用する場合に「課税・非課税」だけに注意をしてしまい、雇用保険の計算から外れるようなことをしていないか?、といった注意すべき点が挙げられます。

 税法上の取り扱いを確認しますと、月々の給与計算では、非課税限度額に注意して、課税部分に基づいて所得税の計算をしているかと思いますが、「年末調整」という1年を通して考えてみると、税法上の収入・支払金額に「非課税部分の通勤手当は含まない」という考えは当然のように思えますが、盲点かもしれません。
配偶者を税法上の扶養とする場合に考慮する「収入」、基礎控除申告書に記載する「収入」などは非課税通勤手当を除いた金額となります。「年末調整」では他にも「収入」を考慮する場面がありますので、改めて課税・非課税の考え方を肝に銘じる必要があるでしょう。
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公開日: 交通費 賃金

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