就業規則上での管理監督者の定義

弊社内の管理監督者につき、就業規則上で定義したいと考えています。
弊社内の等級が7等級以上の者は管理監督者に該当すると認識しており、就業規則では例えば「管理監督者とは、7等級以上の者をいう」というように等級により定義したいと考えています。このような対応は可能でしょうか。
(ちなみに、弊社の等級は人事考課規程などには記載しておらず、社内ルールで運用しています)

回答

 まず、ご質問の「管理監督者」が一般的な「管理職」のことではなく、労働基準法の管理監督者であることを大前提として回答いたします。
 貴社内の管理職(部下がいて、例えば部長・課長やマネージャーなどの職位にある方)とは別に、「管理監督者」は労働基準法上の概念で、管理監督者に該当するかどうかは役職名等にとらわれず、労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的立場にあるかどうかにより判断されます。
 具体的には、①職務内容・権限と責任、②勤務態様、③賃金等の待遇等を踏まえて実態に即して判断されます(※以下、①~③の詳細)。


① 職務内容・権限と責任
  ・採用権限の有無
  ・人事考課権の有無
  ・経営会議等への参加の有無
  ・担当する組織部分に関する実質的権限の有無

② 勤務態様
  ・遅刻早退に伴う不利益取扱いの有無
  ・労働時間に関する裁量の有無
  ・部下の勤務態様との相違の有無

③ 賃金等の待遇
  ・基本給や役職手当等の優遇措置の有無
  ・賃金総額や時間換算した賃金額の程度
  ・非管理職の給与(残業代を含む)との逆転現象の有無


 貴社の7等級以上の方が上記要素を満たした管理監督者であるとして、就業規則上で等級によって管理監督者を定義することは特に問題ありません。
等級については、現在は人事考課規程等への記載がないとのことですが、やはり就業規則の一部である人事考課規程等で規定すべきものと考えます。現状の社内ルールを整備し、人事考課規程に入れ込む等の対応を検討いただければと思います。
 
 最後に、管理監督者かどうかはあくまで実態に即して判断されますので、就業規則に規定したからといっても管理監督者性が完全に認められるわけではない点、あらかじめご留意ください。上記の判断要素には記載がないものの、全社員に占める管理監督者とされる方々の割合なども管理監督者性の判断要素になりえます(20%くらいでも多いとされがち)ので、注意が必要です。
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公開日: 就業規則

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