65歳以前に契約更新を拒否することは可能か?

弊社は60歳定年、65歳まで希望者を対象とした継続雇用制度を導入しています。
定年後は65歳を上限とする1年更新の有期労働契約になります。
この度、更新時期が到来する従業員がいるのですが、コロナの影響で業績が悪化しているため、契約期間満了をもって退職としたい意向です。
確か、65歳までは希望者全員を継続雇用しなくてはいけなかった気がするのですが、本人が雇用継続を希望した場合でも、業績悪化を理由に更新を行わないことは出来るのでしょうか。

回答

今回の契約終了はいわゆる人員整理(整理解雇)に該当するかと存じます。

高年齢者雇用安定法では、年齢のみを理由として65歳前に雇用を終了させることは認めておりませんが、能力等、年齢以外を理由として契約を更新しないことは認められますので、ご本人が合意すれば、業績悪化による人員整理は認められると考えるのが妥当でしょう。

但し、ご本人が雇用継続を強く希望する等、万が一トラブルになった際には、最高裁判所が示している「整理解雇の4要件」を満たしていない場合、解雇権の濫用として整理解雇が認められない可能性がございます。

【整理解雇の4要件】
①人員整理の必要性:相当の経営上の必要性があること
②解雇回避努力義務の履行:希望退職者の募集、役員報酬のカット、新規採用の抑制、出向、配置転換、一時帰休の実施など、解雇を回避するためにあらゆる努力を尽くしていること
③被解雇者選定の合理性:人選基準が評価者の主観に左右されず、合理的かつ公平であること
④手続の妥当性:労働者に対して整理解雇の必要性やその具体的内容(時期、規模、方法等)について十分に説明をし、誠意をもって協議・交渉を行うこと

業績悪化ということですので、整理解雇の4要件の①は満たしているかと存じますので、②③④にご留意いただき、今回の契約終了にご納得いただけるよう、誠実にご対応いただくことをおすすめいたします。
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公開日: 採用・雇用 高齢者雇用・定年

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