「65歳以上」に関わる雇用保険の給付

平成29年1月1日から65歳以上も雇用保険の適用となり、今年度までは雇用保険料の徴収が免除されていました。今年の4月からは雇用保険料の徴収が始まるとのことですが、65歳以上の社員が10名ほどいるため、雇用保険の給付についてあらためて説明をしたいと思います。どのような給付があると伝えたらよいでしょうか。

回答

会社を退職した後、失業している間に受け取れる基本手当(64歳以下での失業給付)に代わるものとして、「高年齢求職者給付金」があります。受給の条件は、
1. 離職の日以前1年間に賃金支払基礎日数11日以上の月が6ヶ月以上あること。
2. 失業の状態にあること。
(積極的に就職しようとする意思(気持ち)と、いつでも就職できる能力(健康状態、家庭環境等)があるにもかかわらず 、職業に就くことができない状態にある場合に支給されます。)
です。就職する意思がない人、すぐに就職できない人、すでに就職している人などは、「高年齢求職者給付金」は受けられません。
基本手当と同様に待期の7日間と自己都合退職等では給付制限3か月があります。
高年齢求職者給付金は、
被保険者であった期間が1年以上の場合:基本手当日額の50日分
被保険者であった期間が1年未満の場合:基本手当日額の30日分
(基本⼿当⽇額は、離職前6か⽉の賃⾦総額を180で割った額のおよそ50%〜80% *上限あり)
を1回で全額支給されます。
受給中の年金が減額されることはありませんし、要件を満たせば何度でも受給が可能です。

親、兄弟、配偶者等の介護で休業する場合には、「介護休業給付金」を受給することができます。こちらは64歳以下の場合と条件、給付は同じですので、例えば、家族を老人施設に入れるまでは休業をし、入所後に復帰するなども可能です。介護離職とならないよう、介護休業を利用できること、その間、介護休業給付金の受給もできることをご理解していただくことが必要です。
なお、「育児休業給付金」(対象は子供の育児)も受給可能です。

また、「教育訓練給付」の受給もできます。これから70歳、75歳までと働く時代です。65歳以上となっても新たな資格取得を目指すこともできるでしょう。教育訓練給付の対象となっている英会話スクールなどもあります。

会社としましては、これまで雇用保険料が免除だった満64歳以上の方の雇用保険料の徴収を開始するにあたり、事前に「雇用保険適用事業所情報提供請求書」をハローワークに提出し、雇用保険に加入中の被保険者の一覧を入手することをお勧めいたします。
週の所定労働時間が20時間以上の勤務でありながら雇用保険に未加入の場合には、遡って資格取得することも可能です。逆に週の所定労働時間が20時間未満に変更になっているにもかかわらず、雇用保険がそのままという社員がいれば、喪失の手続きを行ってください。
雇用保険を活用できるよう、社員へのご説明をお願いいたします。
The following two tabs change content below.
人事実務の専門家集団「社会保険労務士法人人事部サポートSRグループ」のwebメディア。人事制度、採用、労務、HRtech、法改正など旬の人事ニュースを掲載。実務に役立つExcelツールも無料配信中!

最新記事 by SR人事メディア編集部 (全て見る)

日常業務に関するちょっとした疑問から、コンプライアンス、人事戦略まで、お気軽にご相談ください。

無料労務相談のお申し込みは、以下のバナーからどうぞ!
無料労務相談のお申し込み
PAGE TOP ↑