退職時に業務引継ぎをしてもらう方法
次の就職先が決まった社員が退職を申し出てきました。
1ヵ月後の退職日までの有休の相談がありました。
人員不足で採用も難しく、業務引継ぎもあるのでなるべく勤務してもらいたいと考えています。
なんとか業務引継ぎをしてもらう方法はないでしょうか?
回答
次の就職先が決まっているとのことですので、退職日を伸ばすことは難しいでしょう。
まずは社員と引継ぎに関しての話し合いとともに年次有給休暇の取得について相談することが必要です。
まだ相談ベースの段階で本人が取得希望を申し出てきていないのであれば、本人が年次有給休暇の取得を申し出る前に業務引継ぎに出勤をしてもらうことを伝えて年次有給休暇取得を控えてもらえるように依頼することはできます。
その際に就業規則を提示しながら話を進めることも必要になる場合がありますので、事前に就業規則に「退職時には業務引継ぎを行う」旨の記載があるか確認しておきます。
懲戒規定に明記があれば、引継ぎをしなかったことによる懲戒処分の可能性もあることを話すことで業務引継ぎをするように促すことができます。
また、年次有給休暇の買い上げは労働基準法39条では原則認められておりませんが、退職時の未消化分については法令上の定めがないため買い取りができます。
なんとしても業務引継ぎを優先させるのであれば、金銭負担を考慮した上でやむを得ない事情として検討いただいてもよいかと存じます。
但し、有休の買い上げは会社が強制することはできません。あくまで提案ベースで話をします。年次有給休暇を取得するか、未消化とするかは社員本人の選択になります。
※昭和30.11.30 基収第4718号
年次有給休暇の買上げの予約をし、これに基づいて法第39条の規定により請求し得る年次有給休暇の日数を減じないし請求された日数を与えないことは、法第39条違反である。
※昭和23.10.15 基収3650号
労働者が年次有給休暇取得しなかった場合には、その未消化日数に応じて一定の賃金を支払うことは、制度の趣旨に照らして、違法というほかない。しかし、それは、あくまで労基法上の年次有給休暇についてであって、同法に定める最低基準を上回る休暇については、その買上げも違法とはいえない。
上記のように事前に調整することが望ましいですが、どうしても社員が年次有給休暇の取得をして引継ぎが進まない場合には、休日労働をして業務引継ぎを行ってもらうことを検討する必要もあります。
年次有給休暇は労働日の労働義務を免除することとなりますので労働日に取得することとなりますが、休日は労働義務のない日ですので休日に年次有給休暇を取得することは出来ないことになります。
なお、休日労働させるには以下の条件が揃っているかを事前に確認しておく必要があります。
・就業規則には休日出勤を指示する規定があるか
・時間外休日労働に関する協定が締結、届出されており、業務引継ぎが記載されているか
この場合は、引き継がれる側の社員の休日労働の負担にも配慮が必要です。
いずれの方法でも労使間でお互いに折り合いがつくように話し合いをしていただくことが重要です。
業務引継ぎのポイント
・いつまでに、どの範囲を、どのように整理するかを事前に組織として共有する
・業務フロー前後における関係性を明確にして、業務全体との関与度を明確にする
・手順は概要に留めず、可能な範囲で詳細な内容にする(特に他の社員が把握していない場合)
・単なる手順だけではなく、目的や効果も共有できるようにする(属人的業務を廃する)
⇒退職時に慌てることなく、日頃からマニュアル化を進めて共有性を高めておくこと
年次有給休暇取得義務5日の取り扱い
〜10日以上付与者には付与から1年以内に5日取得させることが義務〜
・年度途中の退職者は、在籍期間に応じて期間按分した日数以上を取得させる
・期間按分した結果の端数日は切り上げを前提にする(半日単位取得での対応も可能)
・引継ぎ期間などを考慮すると、計画的な取得の推奨・管理が大切である
・突然の退職など物理的に取得させることが困難な場合は、取得義務の対象外である
⇒実運用の可否はこれから新たな見解が出ることもあり、現時点での暫定対応と認識してください
まずは社員と引継ぎに関しての話し合いとともに年次有給休暇の取得について相談することが必要です。
まだ相談ベースの段階で本人が取得希望を申し出てきていないのであれば、本人が年次有給休暇の取得を申し出る前に業務引継ぎに出勤をしてもらうことを伝えて年次有給休暇取得を控えてもらえるように依頼することはできます。
その際に就業規則を提示しながら話を進めることも必要になる場合がありますので、事前に就業規則に「退職時には業務引継ぎを行う」旨の記載があるか確認しておきます。
懲戒規定に明記があれば、引継ぎをしなかったことによる懲戒処分の可能性もあることを話すことで業務引継ぎをするように促すことができます。
また、年次有給休暇の買い上げは労働基準法39条では原則認められておりませんが、退職時の未消化分については法令上の定めがないため買い取りができます。
なんとしても業務引継ぎを優先させるのであれば、金銭負担を考慮した上でやむを得ない事情として検討いただいてもよいかと存じます。
但し、有休の買い上げは会社が強制することはできません。あくまで提案ベースで話をします。年次有給休暇を取得するか、未消化とするかは社員本人の選択になります。
※昭和30.11.30 基収第4718号
年次有給休暇の買上げの予約をし、これに基づいて法第39条の規定により請求し得る年次有給休暇の日数を減じないし請求された日数を与えないことは、法第39条違反である。
※昭和23.10.15 基収3650号
労働者が年次有給休暇取得しなかった場合には、その未消化日数に応じて一定の賃金を支払うことは、制度の趣旨に照らして、違法というほかない。しかし、それは、あくまで労基法上の年次有給休暇についてであって、同法に定める最低基準を上回る休暇については、その買上げも違法とはいえない。
上記のように事前に調整することが望ましいですが、どうしても社員が年次有給休暇の取得をして引継ぎが進まない場合には、休日労働をして業務引継ぎを行ってもらうことを検討する必要もあります。
年次有給休暇は労働日の労働義務を免除することとなりますので労働日に取得することとなりますが、休日は労働義務のない日ですので休日に年次有給休暇を取得することは出来ないことになります。
なお、休日労働させるには以下の条件が揃っているかを事前に確認しておく必要があります。
・就業規則には休日出勤を指示する規定があるか
・時間外休日労働に関する協定が締結、届出されており、業務引継ぎが記載されているか
この場合は、引き継がれる側の社員の休日労働の負担にも配慮が必要です。
いずれの方法でも労使間でお互いに折り合いがつくように話し合いをしていただくことが重要です。
業務引継ぎのポイント
・いつまでに、どの範囲を、どのように整理するかを事前に組織として共有する
・業務フロー前後における関係性を明確にして、業務全体との関与度を明確にする
・手順は概要に留めず、可能な範囲で詳細な内容にする(特に他の社員が把握していない場合)
・単なる手順だけではなく、目的や効果も共有できるようにする(属人的業務を廃する)
⇒退職時に慌てることなく、日頃からマニュアル化を進めて共有性を高めておくこと
年次有給休暇取得義務5日の取り扱い
〜10日以上付与者には付与から1年以内に5日取得させることが義務〜
・年度途中の退職者は、在籍期間に応じて期間按分した日数以上を取得させる
・期間按分した結果の端数日は切り上げを前提にする(半日単位取得での対応も可能)
・引継ぎ期間などを考慮すると、計画的な取得の推奨・管理が大切である
・突然の退職など物理的に取得させることが困難な場合は、取得義務の対象外である
⇒実運用の可否はこれから新たな見解が出ることもあり、現時点での暫定対応と認識してください
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有給休暇 退職・再雇用・退職金