【無料ツール限定公開】労働分配率を把握しておくことの重要性
目次
労働分配率とは?
労働分配率とは「付加価値に占める人件費の割合」を意味します。会社が生み出した付加価値がどの程度人件費に使われているかを示す割合のことです。と言われても「付加価値ってなに?」「人件費って何を指すの?」と思われる方が大半だと思います。のちほどご説明するとともに、労働分配率を自動算出するツールをご用意しておりますのでご安心ください。
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労働分配率を把握しておくことの重要性とは?
会社が生み出した付加価値がどの程度人件費に使われているかを把握することで、人件費を管理しやすくなります。労働分配率が高すぎると人件費が高すぎるか収益構造に問題があることがわかりますし、労働分配率が低すぎるともしかしたら給与水準が低すぎる可能性があります。過去の自社データの推移を確認することや他社との比較を行うことで、労働分配率のポリシーが明確になります。利益増加を目的として人件費への追加投資を検討することや、人員構成の見直しなどを検討するうえでも労働分配率は重要な指標といえます。計算方法が複雑であること、様々な算出方法があることなどが理由で労働分配率を把握していない企業も多くあります。労働分配率ではなく売上高人件費率を用いる企業も多くあります。売上高人件費率は、売上高に占める人件費の比率を示しますが、人件費に関係なく変動する可能性があります。例えば、売上高が増加したとき変動費も同じだけ増加して、人件費が増えていなければ、見た目上は売上高に占める人件費の比率が下がるため、売上高人件費率は低下したことになります。そのため人件費管理の指標とすることが最適とは言えません。一方で、労働分配率は、企業の生産活動によって新たに生み出された付加価値に占める人件費の割合を示します。労働分配率が低下する要因は、付加価値が増加したことか人件費などの固定費が減少したことのいづれかということがわかります。人件費管理の指標としては労働分配率が適していると考えられます。
労働分配率の計算方法とは
付加価値に占める人件費の割合を示します。企業の生産活動によって新たに生み出された価値に占める人件費の割合のことを意味します。以下の計算式によって算出することができます。
労働分配率=①給与総額÷②付加価値×100
経済産業省「企業活動基本調査」
①給与総額とは?
労務費、給料、手当、賃金、賞与(賞与引当金繰入額を含む)、営業費用から支払われる役員報酬、役員賞与(役員賞与引当金繰入額を含む)等の合計額を意味します。
給与総額=売上原価(人件費、製造原価に含まれる労務費)+販売費及び一般管理費(給料+賞与+役員報酬・賞与+引当金等)
経済産業省「企業活動基本調査」
②付加価値とは?
企業の生産活動によって新たに生み出された価値のことを意味します。以下の計算式によって算出することができます。
付加価値額=営業利益+減価償却費+給与総額+福利厚生費+動産・不動産賃借料+租税公課
経済産業省「企業活動基本調査」
労働分配率の分析
①複数年の自社データを分析
〇労働分配率が上昇傾向にないか
労働分配率が上昇傾向にある場合、付加価値が低下しているか、人件費が増加していることが原因と考えられます。付加価値が低下している場合は収益構造の見直しを、人件費が増加している場合は何故人件費が増加しているのかを確認しましょう。
〇労働分配率が下降傾向にないか
利益は上がっているが、人件費は一定である場合は、労働分配率が下がります。このとき社員が給与水準に対し大きな不満が見られない場合は問題ないかと思いますが、より利益を出すために人件費を上げることで労働意欲を喚起するための施策を検討することも必要です。利益連動型の賞与制度を構築し分配する企業も多くあります。
②自社と他社の労働分配率を比較(同業種と比較して極端な乖離がないか)
〇経済産業省のデータと比較
経済産業省の「企業活動基本調査」にあるデータと比較することができます。労働分配率にも様々な集計方法があるため、WEB上に公開されている数字と安易に比較することは注意が必要です。算出方法を合わせたうえで労働分配率を算出し比較することが必要です。今回ご説明している労働分配率の計算式と無料公開中の「労働分配率分析シート」は、経済産業省の「企業活動基本調査」の集計方法と同じ方法を採用しています。
〇ベンチマーク企業の有価証券報告書から分析する
ベンチマークとしている企業が上場企業の場合は有価証券報告書が公表されているためベンチマーク企業の労働分配率を確認できます。EDINETなどに公表されている有価証券報告書をもとに「労働分配率分析シート」にご入力いただき、ベンチマーク企業の労働分配率を確認いただけます。注意点は、同業種であっても収益構造の違いなどにより一概に比較できるわけではないということです。労働集約型であるサービス業などは労働分配率が高い傾向にありますが、設備投資額が高くなる製造業などの業種は労働分配率が低い傾向にあります。
自社と他社の労働分配率を比較した結果
〇他社よりも労働分配率が低い場合
多くの利益を出しているにもかかわらず、従業員に利益が還元されていない可能性があります。低い賃金水準が理由で社員が流出する恐れや従業員の不満が溜まっているおそれがあります。短期利益は賞与で分配することが適していますが、恒常的な利益上昇であれば必要に応じて月額の給与水準の見直しを行います。
〇他社より労働分配率が高い場合
高い人件費が経営を圧迫している可能性があります。付加価値を出す仕組みに問題がある可能性があります。高収益である会社の場合は社員が不満を感じない水準の人件費を支払ったとしてもなお利益を十分に生み出すことができているため労働分配率は高くなりません。しかし、労働分配率が高いからといって人件費を削減することは、社員の労働意欲を失わせることに繋がるおそれがあるためおすすめはできません。社員一人あたりが生み出す付加価値を高めていく必要があります。ちなみに社員一人当たりが生み出す付加価値を「労働生産性」といいます。無料公開中の「労働分配率分析シート」で算出できます。
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労働生産性=付加価値額÷常時従業者数
経済産業省「企業活動基本調査」
結論
労働分配率を把握し適切にコントロールすることが必要です。利益を上げることを目的とし人件費を上げた場合、一時的に労働分配率は上がりますが、人件費が上がることで社員の労働意欲を喚起することができ、利益目標を達成することに繋げることができれば労働分配率は下がります。労働分配率を一定にしつつ利益を拡大させることで会社の永続的な成長を目指すために、まずは労働分配率を確認し現状を把握されてみてはいかがでしょうか。無料公開中の「労働分配率分析シート」をご活用いただければ幸いです。
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