従業員の休み申請、それは振替休日?代休?それとも有給休暇?絶対に押さえておきたい制度の違いと割増賃金の要不要!

今年のゴールデンウィークは史上初の最大10連休でしたが、皆様はどのように過ごされましたか?

中には年次有給休暇を使ってさらに連休を伸ばした人、またはやむを得ず休日出勤をした人等々いらっしゃるかと思います。

 

 

そこで気になるのが休日申請の取扱い方法。

従業員の休み方と休みの日に出勤した際の割増賃金についてきちんと理解できていますか?

今回は間違えやすい振替休日と代休、有給休暇の違いに関して、それぞれの定義の違いと割増賃金の要不要についてご説明したいと思います。

 

1.休日と休暇の違いは労働日かどうか!

 

労働基準法では以下のような区別がつけられています。

 

①休日:申請などしなくともそもそも労働者が労働義務を負わない日

ex)週に1回の法定休日、就業規則による休日

②休暇:労働者が申請をすることで労働義務が免除される日

ex)有給休暇、育児休暇

 

つまり休みの日に休むのは休日扱い、休みではない日に休むのは休暇扱いです。

そこで出勤日と休日を変更する振替休日と代休は休日、出勤日の変更なく特定の日を休む有給休暇は休暇に分類されるとわかります。

 

では振替休日と代休の違いは何なのでしょうか。

その区別は申請の時期がポイントになります。

 

2.振替休日と代休の違いは申請時期の違い!

 

①休日:申請などしなくともそもそも労働者が労働義務を負わない日

a) 振替休日:休日を事前に労働日に変更。代わりに他の日を休日に変更。

b) 代休:休日労働を行なった事後に他の労働日を休日に変更

 

例えば従業員Aさんが4/10(月)に所用があり4/2(日)は出勤、4/10(月)は休日の申請をしたとします。

その際の申請日が4/2(日)よりも前なら「振替休日」となります。

しかし4/2(日)に休日出勤した後に4/10(月)の休日申請をすると、その日は「代休」ということになります。

 

この区別はなぜ必要になるのでしょうか。

それは休日の替わりに働いた出勤日に支払われる賃金が変わるためです。

 

少しややこしくなってきましたが、従業員の給与計算を行うにおいてここは重要です!

 

3.休日出勤の割増賃金は必要?不要?

 

a) 振替休日:休日を事前に労働日に変更。代わりに他の日を休日に変更。

労働日に働いているため、割増賃金の支払いなし

 

b) 代休:休日労働を行なった事後に他の労働日を休日に変更

休日労働であるため、割増賃金を支払う必要がある

 

法律により、従業員が法定休日に出勤をした場合の賃金は35%を割り増ししたものを支払う必要があります。(労働基準法第三十七条第一項の時間外および休日の割増賃金に係る率の最低限度を定める政令)

しかし振替休日は事前に労働日に変更された日に働いているため休日出勤とはならず、そのため休日出勤の割増賃金を支払う必要もありません。

 

一方、代休は休日出勤をしてから他の労働日を休日に変更する制度ですので、休日出勤をした日が法定休日にあたるのであれば、使用者は従業員に休日出勤の割増賃金を支払う必要があります。

つまり代休では結果としては所定労働日数と変わらない出勤日数であっても、支払う給料に違いが出る可能性があるのです。

 

更に振替休日は休日出勤の割増賃金を支払う必要はありませんが、他の割増賃金を支払わなければならない場合もあります。

それは休日を振り替えたことによってその週の労働時間が法定労働時間を超えるときです。

その超えた分は時間外労働となりますので、いわゆる36協定の締結や25%の割増賃金の支払いが必要となります。(労働基準法第三十七条第一項の時間外および休日の割増賃金に係る率の最低限度を定める政令)

 

 

 

因みに有給休暇を取得した日に何らかの理由で出勤することになった場合、休日出勤による割増賃金は支払われるでしょうか。

 

答えはNO!

有給休暇は労働義務を免除されている労働日であるため、休日ではありません。

よって休日出勤の割増賃金は支払う必要はないという結論になります。

もちろん必要があれば時間外労働の割増賃金は必要にはなります。

 

4.終わりに

 

いかがでしょうか。

まだまだ細かい違いはあるのですが、絶対に知っておきたい定義と制度の違いは以上になります。

 

もう一度以下にチャートを載せたいと思います。

 

①休日:申請などしなくともそもそも労働者が労働義務を負わない日

ex)週に1回の法定休日、就業規則による休日

a) 振替休日:休日を「事前」に労働日に変更。代わりに他の日を休日に変更。

→労働日に働いているため、割増賃金の支払いなし

b) 代休:休日労働を行なった「事後」に他の労働日を休日に変更

→休日労働であるため、割増賃金を支払う必要がある

 

②休暇:労働者が申請をすることで労働義務が免除される日

ex)有給休暇、育児休暇

 

従業員に休日休暇をきちんととってもらうことでストレス解消やリフレッシュができ、結果として効率的で創造的な仕事を期待することができます。

正しい休日休暇の知識で正しい運用を、そして業務改善を行なって下さい!

 

仕事のパフォーマンスを向上するために人事メディアの他の記事や無料ツールもご覧ください。

 

The following two tabs change content below.

Ari

大小様々な規模の企業の社会保険手続きや給与計算業務に携わりながら、主に自分が知りたいことを記事にしている。業務効率化のためのツールも開発中。趣味は読書。某小さくなった名探偵マンガの主人公の書斎を再現することが夢。

最新記事 by Ari (全て見る)


公開日:

日常業務に関するちょっとした疑問から、コンプライアンス、人事戦略まで、お気軽にご相談ください。

無料労務相談のお申し込みは、以下のバナーからどうぞ!
無料労務相談のお申し込み
PAGE TOP ↑