令和元年度の最低賃金、今のうちにこれだけはチェック!
いよいよ、令和元年度の最低賃金額が出揃いました。
今回は、そもそも最低賃金制度とは何かというところから、改定に伴って発効までにどのような準備が必要かというところまでをまとめてみました。
最低賃金制度ってなに?
最低賃金制度とは、最低賃金法に基づき国が賃金の最低額を定め、使用者は、その最低賃金額以上の賃金を労働者に支払わなければならないとする制度です。
仮に最低賃金額より低い賃金を労働者、使用者双方の合意の上で定めても、それは法律によって無効とされ、最低賃金額と同額の定めをしたものとされます。
したがって、最低賃金未満の賃金しか支払わなかった場合には、最低賃金額との差額を支払わなくてはなりません。
定期監督で最低賃金法違反が発覚した場合は、是正勧告を受け3カ月間遡及して不足分を支払うこととなり、申告監督で発覚した場合は最大で2年間遡及して支払うこととなります。
また、司法処分として、法違反を繰り返したり、あえて最低賃金額を支払わなかったり、「是正した」と虚偽の報告をするなどの悪質な場合には書類送検の上罰金が科されます。
地域別最低賃金額以上の賃金額を支払わない場合には、50万円以下の罰金、特定(産業別)最低賃金額以上の賃金額を支払わない場合には、30万円以下の罰金が科されます。
意図的に最低賃金を下回る給与額を支払っていたわけではなく、正しく時間単価を算出して対応できていなかったということに気づかなかった場合で、是正勧告を受けるケースも近年多発しているようです。
(参照:最低賃金制度とは)
令和元年度の最低賃金額は?
ではここで改めて、今回発行となる最低賃金の都道府県別の内容を確認しておきましょう。
時給が最も高いのは東京の1013円です。
昨年と同様、各都道府県の引上げ額については、 AからDの4つのランクに都道府県を分けて設定され、Aランク28円、Bランク27円、Cランク26円、Dランク26円でとなりました。
実際のインパクトはどれくらい?
「たかが20数円あがるくらいのことでしょう」と思っている方は、もちろんいらっしゃいませんよね。
時給では20数円でも、単純に考えて、月に140時間契約のアルバイトが東京の最賃で勤務していた場合、
旧)985×140=137,900
新)1013×140=141,820
134,120-130,480=3,920
1人あたり約4000円もの差額が発生します。この条件で働いているアルバイトだけに関して考えると、例えば100名いたら、392,000円のインパクトになります。
もちろん正社員にも最低賃金は適用されますから、正社員の基本給が最低賃金ギリギリで設定されてしまっていたなどということがあれば、会社の規模によっては何百万や何千万単位の人件費が変動するということです。
最低賃金は時給制だけの話ではありません
上記で述べた通り、時給制の方については試算が比較的単純な計算をすることで可能かと思います。
しかし、もちろん月給制の方も時間単価が最低賃金を下回らないように対応する必要があります。
月給制の場合は、毎月固定で支払われる基本給や各種手当を月平均所定労働時間で割って算出します。基本給だけではなく、手当等も含めて計算する必要があることに注意が必要です。
ただし、家族手当、通勤手当、住宅手当、臨時に支払われた賃金、1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金は除かれます。
また、固定残業制を採用している場合、固定残業代分は時間単価の計算の基礎には含めません。
従って、同じ給与総額であったとしても、固定残業制の場合は時間単価が低くなります。
固定残業時間が多い場合、時間単価が最低賃金を下回ってしまう可能性がありますので特に注意しましょう。
賃割れの可能性はありませんか?
最低賃金額が改定されてから、「実は最低賃金を下回っていた」なんてことがわかったら大変です。そうなる前の今の時期に、最低賃金を下回ってしまいそうな社員はいないのかということを確認しておく必要があります。
今回は、一番早くて10月1日からの賃上げです。
アルバイトであれば、時給を見て判断すればよいのですが、月給制社員の時給額を細かく割っていくのは想像以上に時間が取られてしまいます。
今回、一番オーソドックスな、「基本給と固定残業手当の金額が各都道府県の最低賃金額より低くなっていないか」をチェックすることができるシミュレーションツールを公開しております。
ご入用でしたらお役立てください。
まとめ
最低賃金の上がり幅や金額を確認し、人件費のインパクトを経営陣に報告し、最賃割れしている従業員がいないかを確認し…とやっているといつの間にかその時が来てしまいます。
急な対応になってあわてないためにも、今のうちに対策を考え、対応していくことが必要です。
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