定年後再雇用施策、法的に問題があるか?

50歳以上の社員数の増加に伴い、高齢社員に対する施策検討をしております。その中で、定年退職(60歳)後の再雇用について次のようにコースを設定することを考えているのですが、法的に問題はありますでしょうか?

 

定年退職後再雇用コース、定年退職コースを作り、55歳の段階でどちらかを社員が選択する。

【1】定年退職後再雇用コース

1)55~60歳までの賃金を10%減額し、減額した分を60歳以降の再雇用時に手当として支給する。

2)社員が希望する限り、最長65歳まで契約社員として雇用する。

【2】定年退職コース

1)60歳で定年退職とする。(但し、会社が必要な人材と認め、本人も雇用継続を了承する場合は、契約社員(1年更新)として雇用を継続する)

2)55歳時点で定年退職コースを選択した社員は、56歳以降定年退職後再雇用コースに移行することはできない。

 

高齢者雇用安定法では、平成37年3月末まで再雇用年齢を段階的に上げながら、本人が希望すれば再雇用することが義務付けられていますが、

Q1:これに抵触することはありますでしょうか。

Q2:社員には説明をして同意を得ることが前提ですが、再雇用を希望する社員の賃金を減額することは不利益変更とならないでしょうか。

回答

55歳の時点で【1】定年退職後再雇用コースと【2】定年退職コースを選択させることについて以下の2点のご質問にお答えするとともに、対応案についてご提案いたします。

Q1:高齢者雇用安定法に抵触しますか?
A1:高齢者が希望した場合、65歳まで雇用が確保される仕組みを採用されていることから、高年齢者雇用安定法に定める継続雇用制度(第9条第1項第2号)には抵触致しません。

Q2:再雇用を希望する社員の賃金を引き下げることは不利益変更に該当しますか?
A2:合理的な範囲で、かつ労使間の合意があれば、65歳まで安定した雇用が確保されることを前提に労働条件を変更することは労働契約法の不利益変更(第12条)には当たりません。ただし、55歳から60歳の間に働いた賃金をカットして60歳以降の手当に充当するという考え方は、労働基準法の賃金全額払いの原則(第24条)に抵触する恐れがございます。
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maiko mashio

外資系企業の常駐と千人規模の社会保険手続きを担当。

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